あらすじ
灯がともる。涙があふれる。
『世にも奇妙な物語』にてドラマ化された
一編を含む、名手の傑作ヒューマンSFシリーズ!
街がある。
その街には、「スキエンティア(科学の女神)」と呼ばれる像が
掲げられた超高層タワーが立っている。
ひときわ高く、あたかも人々の営みを見つめるように。
主人公はその街に生きる彷徨える者たち。
彼らは今日も、己の人生を一変させたいと願い、
「禁断の科学」にすがる…
自殺願望のある女が、車椅子の老婆に身体をレンタルする
『ボディレンタル』
飲ませた相手に必ず惚れられるクスリ
『媚薬』
母親が死んだ娘のクローンを育てる
『クローン』
愛が見えると噂のドラッグを女子高生が求める
『ドラッグ』
それを使うと誰もが「天才」になれる
『覚醒機』
ほか、全7編を収録。
戸田誠二プロフィール
1969年静岡県生まれ。自身のHP「COMPLEX POOL」にてオリジナル短編漫画の無料公開を開始、「インディーズコミック」の地平を拓く。それらの作品を集めた『生きるススメ』で単行本デビュー。
代表作『しあわせ』『ストーリー』『説得ゲーム』『唄う骨』『化けの皮』『美咲ヶ丘ite』
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Posted by ブクログ
一冊完結の漫画を読みたいな、と思っていたらこちらに出会いました。
背表紙に「ヒューマンSFシリーズ」とありますが、そのとおりの内容です。
連作短編ですね。
正直パラパラめくってみた感じだと絵も下手だしあまり面白そうではなかったのですが、
読み始めると一変、1話目から話に引き込まれ、短編ながら大きく感動しました。余韻にひたりつつ2話目は後で読もうと思いつつも、つい読み進めてしまい全話イッキ読みしてしまいました。世界観を同じくするものの関連のない短編たちですが、佳作揃いで、いくつかは泣きそうになってしまいました。
SFですが、世界観の説明なども最小限、物語も蛇足のないちょうどいいところで終わる、短編の良さが最大限に生きています。いやほんとに7冊分を読んだくらいの感動ボリューム。700円じゃ安いわ。
Posted by ブクログ
デビュー後すぐの著作を読んで、すこし精彩を欠く印象があったけれど、数年飛んだこの作品集は、そういうものを乗り越えた……すこし言い過ぎると、「神さまの著作」物になっている。こういう質感のお話って、いろんな書き方が出来ると思うけれど、この作品集については、そして戸田誠ニは、「誰もが“がんばりたい”のだ」っていうたった一つのメッセージに集約させていて、この表現が正しいかはわからないけれど……強かった。静かな傑作だと思います。
Posted by ブクログ
未来の世界では、満たされない思いを「技術」によって賄える
でもそれは本当に幸せなのだろうか?幸せってどういうものか・・・
に対して挑んだ作品
どの話も、最後は心温まる描かれ方をしている
癒やされてないとか、何か鬱憤がある方は読んで欲しい
バンドマンとか、やる気が見いだせないフリーター・・・
身体が思うように動かない老人や、病気に侵され先の長くない男
自分はまだまだ幸せだし、これからもどんどん幸せになることが出来るんだなと思わされるストーリーが散りばめられています
悩みがあるかたは一旦この作品を読んで欲しいです 何か感じることがあるのではと思います。
色々な疑問が投げかけられますし、荒川弘さんの「銀の匙」銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)
に通じるところもあるかと思いますので(幸せってなんだろう?)、銀の匙好きな方にもおすすめです。
Posted by ブクログ
「禁断の科学」をめぐる、あたたかくほろ苦い傑作SF集。
描かれるのは日常をめぐるささやかなエピソードばかりだが、科学が進歩しても、人間が人間であるかぎり生きること痛みからは逃げられないし、それでいいのだと思わせてくれる。
作中で描かれる科学技術のうちいくつかは、きっと近い未来に現実化し、「禁断」でなくなるかもしれないが、そんな世界が実際にやってくるまえに、今すこし立ち止まって、この作品とラストの台詞のその意味を、何度でもかみしめたい。
読みかえすたびに、じんと胸の奥からにじむように涙が出る。
Posted by ブクログ
各話タイトルにボディチェンジ、クローン、ドラッグ等という言葉が使われており、警鐘作品なのかと思っていましたが、ふたを開けてみると素晴らしいヒューマンドラマでした。
本書の最後のセリフが全てを物語っていると思います。
読後感がこんなにも良い作品は久しぶりです。
Posted by ブクログ
個人的には5本の指に入るくらいの短編集だと思っています。
スピリッツは唯一購読してる週刊誌なのですが、時々載っていてすごい存在感があったことを覚えています。
月刊スピリッツで連載してたことは知らなかったので、未読分もあって嬉しかったです。
一番好きなのは2話の媚薬。当時読んでてマジで泣いてしまった話w
戸田誠二さんはもっと有名になって欲しい作家さんの一人ですね。
普通の人が一番偉い、という話。
人間って捨てたもんじゃないという思いにさせてくれる本です。最初読んだ時には不覚にもじんわり涙が出ました。しかしながら私自身、どこかで人間を信じきれないところがあるせいか、2度、3度と繰り返して読むうち、何やらこの作品で展開される人間讃歌が鼻につきだしました。まあ、そんな人は多くないと思います。天邪鬼なので星4つですが、基本的にはとても「ココロにいい話」がつまった漫画だと思いますよ。
Posted by ブクログ
戸田誠二の漫画らしい、SFチックな部分と人の感情を詩的な表現でまとめてあると思う。
何度読んでも、興奮するような高ぶる感覚を持てるのではなく、いつまでも心にひっかかる、そんな感じ。
この微妙な感覚は、彼の漫画ならではなんだろうと思う。
Posted by ブクログ
素晴らしい短編集だった。
重みはないのに情感があって、静かに確かに響く。
人を突き動かしているものはたくさんあるんだな。でも、なぜか節目で人は一様に泣く。
感動して泣き、怒り狂って泣き、悲しみに咽び泣き、嬉し涙を流す。質は違えど、大事な場面でことごとく人は泣く。
泣くって行為だけがある種のサインなのかもしれない。何の誰に対してのサインなのかはわからないが。
Posted by ブクログ
今より科学が少し進んだ世界。
どれだけ技術が進歩して便利なものが生まれても、すべては人しだいなんだなと感じた。今より少しだけ頑張って生きてみようかなと思える作品。
漫画でなくても、、
この著者の作品は、お話はよくできているの思うのですが、漫画として読むより小説やドラマで見た方が面白いのかなと、いつも思ってしまいます。
漫画としての面白さが(演出、コマ割、絵柄など)自分には物足りませんでした。
Posted by ブクログ
個人的に好きな戸田さんの漫画ですけれども、面白かったような気がします! もうほとんど内容の方を覚えていないのですが…また読み返す必要がありそうです…。
ヽ(・ω・)/ズコー
SF設定のお話がいくつか入っていたかと思いますけれども、就寝前、しかも酒を飲んでいたために内容の方が…
ヽ(・ω・)/ズコー
うーん、でもまあ、心に残るやうな話だったかと思います! 本当にこの作家さんはアレですね、まさにヒューマンドラマを銘打ちたくなるようなお話を描くのが上手いですねぇ…。
というわけで、さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
Posted by ブクログ
いくら文明や技術が進化しても越えるのは自分である。逆に文明や技術がいくら進化しても人はそれを越えられる。というシンプルであり力強いポジティブなテーマでついネガティブになりがちSF的な世界観を疾走していたのが、好感。