【感想・ネタバレ】思い出のマーニー 下のレビュー

あらすじ

ある日、マーニーは、無人のさびしい風車小屋でアンナを置き去りにし、姿を消しました。彼女をさがすうちにアンナは、マーニーの思いがけない秘密を知りました……。ドラマチックな体験をした思春期の少女の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻を読んでみた。上巻の「よくわからない」を取り消したいくらい面白かった。
マーニーがいなくなって、それが幻だとアンナが気が付く。
しめっち屋敷の新しい住人『リンゼー家』の人々との交流が下巻のメイン。


アニメはマーニーとアンナの交流がメインで、マーニーが実は祖母だったという事までは分かったけど、『寂しい少女が見た幻』という認識しか持てず、バタバタと終わってしまった印象だった。見終わっても「だから、何?」と思ってしまった。

原作はマーニーとの交流の上巻。それと比較して下巻は『リンゼー家の人々』との交流がメインで、単なる『寂しい少女が見た幻』というだけではない事が分かってよかった。

アニメでは『自分が普通ではないと思っているアンナ』という描かれ方だったけど、原作は『自分は外側にいて、内側には入れないアンナ』が描かれている。
アニメはエンタメだからわかりやすく『普通』という単語を持ってきたのかなとも思うけど、私は『外側』という言葉の方がしっくり来た。

自分と外の世界との繋がりの物語。
「普通という誰かが作った枠」ではなくて、「自分が作ってしまった『内側』と『外側』」が原作の物語。

マーニーは『内側』の物語として語られていて、最終的に「マーニーが祖母で、祖母が元々しめっち屋敷に住んでいた」という繋がりが『外側』であるリンゼー家の人々と繋がっていく。この繋がりに読んでいて、震えてしまった。アニメではそこがなかった。



アニメではしめっ地屋敷の新しい住人「彩香」という少女が日記を見つけて、アンナに見せてくれる。それを見て、アンナはマーニーの存在に疑問を持つ……となっていたけど、原作ではマーニーとの出会いが終わってから、しめっち屋敷の新しい住人達との交流が始まる。だから、アンナは最後までマーニーの存在は疑っていない。二度と会えなくなるまでは。

新しい住人たちは『5人の子供たち』と『その母親+父親』で、彼らを通してアンナは「心をすり減らさずに人と接する事」を学んでいく。
日記を見せてくれたのは「プリシラ」という変わった少女。彼女の他に4人の兄弟たちがいる。どの子たちも魅力的に書かれている。人数が多いので若干うるさくも感じるけど、それもまた「一人きりのマーニー」との対比のような気がする。


リンゼー家の人々はすごく優しくて気さくで、アンナが「ボートの小さな錨」を黙って持ち帰っても怒ったりしなかった。何か理由があると考えてくれる思慮深い人たち。アンナは後からちゃんと謝って、錨が実は「マーニーのもの」と確定した時点でそれはアンナが所有してもおかしくないものとして、「キレイに塗り直す」ことまで提案してくれる。

リンゼー家の人々の優しさが、アンナの心を解いていくのが読んでいてわかる。そして、「おばちゃん」も彼女たちに会って、アンナに真実を話そうと決心する。実は「アンナはマリアンナという名前だという事」を。

この辺りはアニメでは一切なかった。(お金の話はあったけど)名前が実は変えられていたなんて……日本版で名前を変えるのは無理だろうけど。おばちゃんはアンナを「自分の子供にしてしまいたくて、元の名前の半分を消した」と。正直、それはないだろとは思うけど、そのありえない事をしてしまうくらいに「アンナが欲しかった」という気持ちは分かる。

アニメはなんだか、「アンナの自力と運」だけで「祖母の事を知って自分も頑張ろうと思った」と言う風に見えたけど、原作は「たくさんの人と関わる事で変わっていくアンナ」が描かれている。

最終的には「みんな自分が外側の気分になる事もある」という事にアンナ自身が気が付いてる。
「自分は一人ではなかった」という着地点ではなくて、「みんなそう思っている」「人と繋がれる瞬間はある」「そして、一人きりの気分の時もある」というのが原作だった。

私はこっちの方が好きだ。
安易な「みんな繋がっていて、一人ではない」というものよりも、「一人きりの気分(外側)のときもあるけど、繋がっている(内側)の時もある」のほうが感覚として分かる。でも、エンタメとしてはそんな中途半端な作りにしたら、売れないのかな……とは思うので、アニメはアニメで刺さる人には刺さるのだろうとは思う。私は無理だっただけで。



アニメにモヤんとした人は、原作読んで。特に下巻。マーニーと別れた後が本当に面白いし、アンナが成長していくから。とお勧めしたい。

素敵な物語、ごちそうさまでした。

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

p199が印象的だった。
映画を見たときはまだ経験が少なくて、あまり心に響かなかったけど、いま大人になって本を読んだら感動できた。目から汗が出た。p206らへん。

アンナは血のつながった家族を早くに亡くしてしまったけど、優しいひとが周りにたくさんいて、周りに恵まれていたことを自覚できてよかったなと思う。

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2023年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とっても悲しいけれども、心温まるお話でした。

そう、気づくでしょうけれども
マーニーはあるとても悲しい経験をしていました。
なぜ風車小屋を怖がったのか…

それと最後に思わぬ事実が突き付けられます。
大事な言葉がいっぱいあるので
大人でも突き刺さる要素は多いはずです。

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2023年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子供のための物語であるから、子供の時に読みたかった。子供の時にはきっと、ずっと共感できただろうと思うから。しかしこれは大人にとっても、救いの物語だった。とてもよかった。
この物語の、なにが、こんなにも心に残るのだろうと考えると、やはりアンナの心をきりとって文字にもってくる、感性だと思う。
こどもの心は混沌だ(混沌だったと思う)。うれしさ、悲しさ、悔しさ、希望、どれも鮮明すぎて、ありのままとらえることはとっても難しい(と思う)。しかし小説の中でアンナの気持ちを、いっときも作者は見失わない。アンナ、ひとりぼっちで繊細な、孤児の少女は、鮮明に存在し続ける。
マーニーのせかいとアンナのせかいが異なることはすぐにわかるけれど、だいじなところは、そこではないのだ。アンナがはじめてともだちになるマーニー。いきいきとアンナのまえに存在する魅力的なともだち。ともだちとすごす時間はなんて楽しくてみじかいんだろう。友情は、まるで魔法のように自信をもたらしてくれる。

そして、たとえば赤毛のアンを読んだ子供たちが成長してからはアンではなくマリラ・カスバートの気持ちに共感するように(しないか?)、わたしが共感するのは「おばちゃん(なんて善良なひとだろう)」であったりするわけでした。やっぱり子供の時に読みたかった。

最後に明かされた事実にはきっと願いが込められているのだろうと想像する。金持ちの娘だが愛情を与えられずに育った孤独なマーニーは、産んだ娘を愛せないままこの世を去る。うまれた娘は母の愛を知らないまま、その娘を残して世を去る。そして、ひとりきり残されたマーニーの孫はやはり、捨てられた子供として人生のスタートを切るが…、
悲しいことの連鎖がきれいに輪になって解かれるラストはとてもうつくしい。奇跡である。

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2014年05月29日

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ネタバレ

マーニーの正体がわかる瞬間、世界が逆転しミステリー小説のような驚きがあった。
めでたしめでたしの感動的ラストではあるけど、こうだったらなというような優しい世界だなあと思った。

本筋はアンネの混沌とした心の内側であったり、世界への向き合い方の変化であったりなので、生き辛さを抱えてる子どもや、かつてそんな子どもであった人には刺さる作品だと思う。

子どもって、イマジナリーフレンドを作ったりもそうだけど、現実と空想の世界が無理なく混ざり合ってるなかで生きてるんだなあ。
そんな子どもの心に寄り添って描かれている名作だと思う。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

養母の元からとある老夫婦の元へ預けられることになったアンナ。
心を開くことのできる家族も友達もいない。
そんなある日、不思議な少女、マーニーに出会う。
みるみる打ち解け、強くひかれ合う二人だったが…。

スタジオジブリで映画化、『思い出のマーニー』の原作本を読んだ。
今年は児童書を色々と読んでみたいなと思っていたので、ぴったり。
児童書…本当にあなどれない。
海外文学&上下巻の壁にドキドキしつつミーハーな気持ちから読み始めたものの…面白かった!
ざっくりあらすじのようなものを読んで何となくこういうこと?と考えていたよりももっと深く、切ないお話だった。
ミステリのようなドキドキ感も味わえるので、先入観をなるべく持たずに読まれる方がおすすめ。
映画を観る前に読んでしまって失敗したかも…!と若干後悔も。
映画を観てからこの本を読んだらどんな感想を抱くのか、今となっては味わえない感覚だけにそちらも気になっている。

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2017年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻はうーん、ちょっと情景が浮かびにくいなという感じ。でも下巻は一気に読めた。アンナが現実世界となじんでいく過程が好き。
アンナの周りにはいろんな大人がいたけど、ミセス・リンゼー、ミスター・リンゼーのようなタイプのひとはそれまでいなかったのでは。このふたりと出会えたことで彼女の価値観が大きく変わったように感じた。

映画は観ていないのでこれを機に観てみようかな。

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2015年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

原作は映画よりも、アンナとマーニーの真実についてさらっと書かれていたのだと気づけて、それもまた良いと思いました。
リンゼー家の人たちとの出会いによって、さらに変化していくアンナを感じることが出来て、自分も満たされた!
と同時に、翻訳って本当に大事なんだなと思う。
言い回しとか言葉の選び方で印象がガラリと変わると思うので、文庫で出ている方も読んでみたい。

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2015年01月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マーニーとの日々の交流を通じて少しずつ他人に心を開けるようになるアンナ。
マーニーと会えなくなるも、新しい友だちを得て充実した夏休みの残りを過ごしていく。

少し謎解きの要素もあり、少しずつ事実が明らかになる過程には心躍る。

大人たちとの関係も改善し、少し成長する少女の姿が爽やかな読後感。

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2015年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻と違って明るい内容が多くて読みやすかった。五人兄弟良い子すぎる。こういう大勢でわいわい遊んだり泊まったりするワクワク感がすごくにじみ出ていてわかりやすかった。マーニーの正体よりもアンナの成長ぶりの方が印象深い話だった。

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2014年07月14日

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