あらすじ
半生を西域に捧げた後漢の人・班超の苦難に満ちた道と孤独な魂の彷徨を追った「異域の人」、留学僧・行賀の在唐31年の軌跡と、入唐した日本人のさまざまな生の選択を描いた「僧行賀の涙」、謀反へと明智光秀を導く心の闇に巣くった亡者に迫る「幽鬼」など、歴史小説の名作8篇を収録。時代の激動を生きぬいた人間の姿を比類なき語りの力で描破する井上文学の魅力溢れる1冊。
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Posted by ブクログ
足立美術館で王昭君の肖像画をみた時、どこかでこの美女の物語を読んだ、と記憶をたどり、この本の「明妃曲」をもう一度読んでみました。
王昭君は前漢時代に匈奴に嫁がされた(多分実在する)悲劇の女性です。この「明妃曲」では「私」と「田津岡」という、ともに匈奴という民族に心惹かれた二人の交流から、王昭君の物語が語られます。
王昭君は後宮から匈奴へ貢物のように嫁がされ、好意をいだいた王の息子ではなく、年老いた王に娶され、自殺をはかりますが未遂に終わります。その息子から「しばらく待ってほしい、父はまもなく死ぬ」と言われ、老王が亡くなった後、息子が王となり、王昭君を娶ります。その後は子供を産み、2度と祖国へ帰ることはなくたくましく生き抜きました。
伝説とは異なり、たくましく幸せに生きたという救いの物語でした。