あらすじ
「教えたら旦那さんほんまに寝られんよになる。……この先ずっとな」時は明治、岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた……。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。
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Posted by ブクログ
ホラー四作品。
『ぼっけぇ、きょうてえ』
岡山の方言で「とても、怖い」という意味の「ぼっけぇ、きょうてえ」。
遊郭の女郎が客の男に語る過去。
生々しさと怖さが同時に来る。おばけ的なホラーではなくて人間の怖さ。
興味津々に彼女の過去について聞きすぎた男が怖いと思う。
『密告函』
虎烈刺の疑いがある人の名前を匿名で書いて入れる密告函を確認することになった男の物語。
お咲はお咲で怖い女性だったけど1番はトミが怖かった。
それでもお咲に浮気しトミに暴力をふるっていた弘三がいちばん悪いからしょうがない。
虎烈刺患者が出た川の近くで魚を取って弘三に食べさせていたトミの怖さと言ったらない。
『あまぞわい』
「あまぞわい」という言い伝え。尼と海女とでふたつの関連した話がある。
女の悲しみか憎しみか。
ユミは身請けしてくれた漁師錦蔵のつまとなったけど村の人々には疎まれ錦蔵自身からは暴力を受けていてただただ可哀想だった。
せっかく恵二郎という優しい人物に会うもすぐに錦蔵にばれ、錦蔵が絞め殺してしまう。さらには海に捨てた錦蔵の死体が打ち上がり、尼と海女と恵二郎とでユミを連れに来るという。
Posted by ブクログ
明治の岡山の田舎が舞台の4話。どの話も怪異と人怖の合わせ技という感じですが、怪異は後ろめたさから来る妄想のような印象も受けてどちらかというと人怖よりに感じました。
怖さ的にはそれ程でもないですが、排他的な田舎、貧しさ、村八分、因習、村社会のしがらみ、禁忌、と陰鬱とした雰囲気や匂いまで伝わってきそうな表現で物語に入り込み、じんわりとした嫌な空気とどこか悲しさが後を引きます。
物語を岡山弁で読むのも新鮮でした。
密告函の避病院の悪い噂が広まり、正しい知識のある弘三まで行動を起こせず被害が広がるのがやるせ無い。
Posted by ブクログ
4篇の短編集
どうしょうもない貧しさや排他的な村や環境。自分ではどうすることもできない立場や環境をただ生きる、沼のようなあきらめ感。
そんな中で、あぁ〜結局、人が一番恐ろしいと思ってしまう。
「ぼっけえきょうてえ」での、女郎の寝物語を聞いた客。
「密告函」での、コレラ感染者を確認する役人。
「あまぞわい」での、漁村に嫁いだ女。
「依って件の如し」での妹。
私は、それぞれのその後を思うと、、、
ぼっけえきょうてえ
Posted by ブクログ
オーディブル。
読み手のお姉さんがエロっぽくて猫撫で声なのでどうしようかと思ったが慣れるとそれはそれで癖になってきた。低くてドスの効いたお姉さんが読んだらまた印象は変わるかもしれない。
岡山弁がよい。
ホラーと身構えて聞き始めたものの、
そういう要素はあるが、大部分は人間の醜悪。
好奇心だけで見てはならんような目の背けたくなるような世界を、遊女自身の身の上が、悲哀もなく淡々と客に語られる。つらいときにはつらいことを思い出すことで心を保っているといった類のセリフが印象的だった。冒頭の方は、赤子の生々しい死が語られるので臨月の妊婦の身で聞くにはやや刺激が強かった。
語られれば語られるほど女郎のエピソードに救いはなく、それ以上の地獄はないだろうとおもわれるのに、より深い地獄が、次から次へと淡々と掘り起こされていく。
地獄の果てに、ちょこっとだけホラー要素がある。
Posted by ブクログ
岡山の方言で客に語りかける女郎の身の上話は、その悲惨さを忘れさせるほどのリズムの良さで、このまま聞いていたいなと思わされた。
『密告函』で見せられた女の怖さは、誰しもが持っている一面のような気がして、最も共感できる。厳密に言うとトミは悪くないし怖くもない。当然のことをしたまでだ。
『あまぞわい』が好みだった。時代が昔であれば男の一存で何もかもが決まっていくものだったと思うので、不安定に生きているユミの苦しみが切なかった。運命付けられたような人生に悲哀を感じて印象深い。
『依って件の如し』は別のアンソロジーで読んだことがある。すべてが繋がったときの衝撃は忘れられない。
4篇すべて濃厚な空気が流れていて楽しめた。
Posted by ブクログ
人生で初めて読んだホラー小説。明治時代あたりの話が好きだったため、読むことができて嬉しかった。
調べると映画化もされているらしかったが、思いのほかきょうてえ話だったから、視聴を躊躇っている。
読み進めていけばいくほど斜め上の展開が待っている。
色恋に妬み恨みが付随した話が主だった。
登場人物は周りから聞いた怖い話に恐怖し、事件に遭遇又は事件を起こし、化けて出た幽霊などを目撃するが、結局怖いのは人間であった。
明治時代の岡山あたりの背景もあり、今では考えられない生々しい世界があった。
Posted by ブクログ
とにかく人間関係の方が怖いというか気持ち悪いというか胸糞なお話し4本立てだった。岡山なまりのセリフが多かったのもあって、地方はおかしいんだなって読めてしまった(偏見)
・ぼっけぇ、きょうてぇ
遊女が眠れないお客さん相手に自分のことなどを話していく流れ。怪異的な怖さもあったけど、それよりも昔の日本って感じで、どす黒いところが書かれている。
・密告函
役所で働く男の話。村の中では立派といわれるが、役所内では嫌な仕事が回ってくる。コレラが流行っていて、密告函で誰がコレラに罹っているか・密告者は匿名。
告発された人とその家族は病院に連れていかれる。その外回りの確認中にずっと気になっていた女と浮気する男。それを知った妻はいつも通り過ごしているけど、浮気相手の女の家を燃やして、そのあと普通に過ごそうとする夫に対して隠れた憎悪を男はひしひしと気づく。
・あまぞわい
今でいう岡山の都心(?)キャバクラから客にお金で買ってもらって田舎の海沿いに来た女の不倫話。客(夫)は結婚してから優しくもないしDVするし、村人もハイカラな所から来た村の役には立たない女(魚捌きや漁業が全くできない)と馬鹿にされて孤立してた。その村のお金持ちの家に生まれたけど片足が不自由な男性と男女になって、それを知った夫が二人を殺したと思ったら金持ちの男性の方だけ死んでしまった。
夫婦は遺体を海へと捨てて共犯者として過ごす。浮気相手の死体が上がった後の葬式で、女はたぶんその浮気相手に死の世界へ連れていかれる。
・依って件の如し
いつも何かにおびえ幻覚が見える幼い少女の目線でホラー色をいれられながらも、異母兄弟・年上の兄とその村の事件を読み取っていく流れ。年上兄が兵隊で居なくなった後、住まわせてもらった優しくない家(牛小屋)での少女もかわいそうだったし、少女の父親がその年上の兄だったのも気持ち悪かった。性的虐待
全部岡山弁。全部ホラー描写もありながらもそれが薄れるくらいのドロドロの人間関係。これはホラー本じゃなくて胸糞本。でも読んでとても満足した。でももう読みたくない。