あらすじ
敗戦直後の東京。未だ自身の戦争体験に引きずられている川島徳太郎と、元戦友の黒田門松。死に損なったふたりの男は、かつて泥沼化した戦争末期の中国大陸で出会い、やがて失う仲間と共に、いかに生きていたのか……。ふたりの過去に迫る、怒濤の《戦中編》!
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Posted by ブクログ
時代をさかのぼり戦時中。中国での川島と黒田の出会いと兵営での生活が描かれる。
下級兵たちの抗争で黒田はその巨大な体躯を生かし、存在感を発揮する。休暇になると女郎屋へと突撃。次々に女を抱くが、絶倫ぶりはとどまるところを知らない。とうとう将校専用の店に行ってしまい、そこで浮子と出会う。
上官たちは新兵に八路軍のスパイたちを試し切りさせる。川島の分隊は軟弱だとみられていたが、川島がちゅうちょせずに捕虜を切ったことから、見直される。
黒田の周囲ではいじめにあっていた滝川が自殺する。
川島も黒田も浮子も、登場人物たちにとって死は日常であり、だから余計、性に向かって自らを慰撫している。エロスとタナトスが生々しく交錯する。