あらすじ
あいまいさになりがちなソフトウエアの見積もり技術に焦点を当てた一冊。「エンジニアリング」と「マネジメント」の観点から、合理的・論理的に見積もる方法を解説する。規模、工数、期間、コスト、価格など、ソフトウエア開発に関するあらゆる見積もりの手順や技法を体系的に紹介。見積書の具体的なサンプルを収録するほか、見積もり査定の手順を解説する。「プロジェクトの成否は開発前の見積もりで5~8割が決まる」と言われるだけに、見積もりを作成するプロジェクトマネジャーやITエンジニア、営業担当者をはじめ、見積もりを精査するユーザー企業の担当者の方にも参考になる。
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Posted by ブクログ
ソフトウエア開発を成功に導く
本当に使える見積もり技術 改訂第3版
著:初田 賢司
出版社:日経BP
開発見積の中身がどうなっているのか、逆に開発費用をどう算定しているのかを解説している書
管理工数をどれだけ見るか
内外のレビューなどの工数、回数をどう見るか
顧客との打ち合わせは、2回でいいのか
自動化ツールや、フレームワークなどは、工数をどれだけ低減できるのか
等の疑問はあるが、粗いものさしを当てているという状況かと思います。
SAPのごとく、機能毎に、特大(2カ月)、大(1カ月)、中(2週間)、小(1週間)などでもいいのだが、まあ、こまかく、算定するにこしたことはないかという気もします。
算定に当たっている項目は以下です。
見積もりとは
規模見積もり 何ステップの開発規模か?
工数見積もり 作業は何人月の規模か
類推見積もり トップダウン
係数見積もり 見積もりモデルをつかった見積もり
ボトムアップ見積もり 作業をWBS分解して積み上げ、精度高い、工数が大きく出る可能性あり
見積もりのタイミングは5つ
①試算見積 予算確保、経営戦略上の試算、ベンダー主導でのコスト試算
②概算見積 RFPの回答、引合い段階での見積
③詳細見積 要件定義・基本設計終了時、発注のための見積もり、下流の見積
④変更見積 契約条件に変更が生じた場合
⑤追加見積 仕様追加時の見積もり
ベースライン
①成果物スコープ 何を作るのか
⇒要求仕様⇒最終成果物⇒各サブシステム、業務機能を積み上げる⇒規模見積もり
②プロジェクトスコープ どう作るか
⇒規模見積の結果⇒どう作るかを決める⇒作業項目を洗い出し⇒役割分担⇒基準工数の算定・調整⇒工数
③コスト いくかかかるのか
⇒工数をベース⇒職種別単価⇒人件費+経費+予備費(リスク)⇒コスト
④価格
⇒コスト+戦略的要素の加味⇒価格(提案価格のこと)
見積もりのメトリックス(数値)
LOC プログラム行数
FP数
画面・帳票数
ユースケース、ポイント数
ドキュメントページ数 等
FP法
利用者要件を3つに分ける
①機能要件
②非機能要件
③技術要件
①機能要件を機能規模で見積もる
アプリの境界設定
データファンクションの計測
ILF:内部論理ファイル
EIF:外部インタフェースファイル
DET:データ項目数
RET:レコード種類数
外部入力:EI
外部出力:EO
外部参照:EQ
トランザクションファンクションの計測 ⇒ FP数
外部入力:EI
外部出力:EO
外部参照:EQ
ILF:内部論理ファイル
EIF:外部インタフェースファイル
FP数の係数調整 ⇒ 調整済みFP数
基準値法
数式法
推論法
WBSによる工数見積もり、および、期間見積もり
大項目:基本設計……
中項目:業務設計……
小項目:業務フロー設計……
明細: データフロー図作成……
母体部分の工数見積もり
母体係数法
母体分析法
作業清算法
プロジェクトコスト
人件費
経費
予備費(リザーブ)⇒リスクコスト、これにもうけをのせて、価格で提案
組織標準
①ガイドライン
FP計測マニュアル
LOC定義マニュアル
生産性係数(基準値)……工程別になっている
職種越人月単価
最適開発期間モデル
見積もり決裁基準
②テンプレート
標準WBS
見積調書
見積書+条件書(ドラフト)
③ツール
見積支援システム
専門性の高い支援ツール
見積管理システム
エンドユーザの見積査定プロセス
①選考委員の選出
②評価シート、配点基準、チェックシートの用意
③提案書、見積書の記述内容の確認:RFPの用意
④提案書説明会の準備
⑤提案書説明会開催、提案評価
⑥見積査定会議
CONTENTS
はじめに
第1章 見積もりとは
1-1 見積もりはなぜ難しいのか
1-2 主な見積技法
1-3 見積もりとプロジェクトマネジメントの関係
第2章 見積もりの準備
2-1 最初にやるべきこと
2-2 メトリクスの選定
第3章 規模見積もり
3-1 FP法によるデータ・ファンクションの計測
3-2 FP法によるトランザクション・ファンクションの計測
第4章 工数見積もりと期間見積もり
4-1 係数モデルによる工数見積もり
4-2 WBSによる工数見積もりと期間見積もり
4-3 保守開発における工数見積もり
第5章 コスト見積もりと価格の設定
5-1 コスト見積もり
5-2 リスク分析と価格の設定
第6章 見積書の作成と組織的な取り組み
6-1 見積書の作成
6-2 組織的な取り組み
第7章 見積もり査定とプロジェクトへのつなげ方
7-1 見積もり査定
7-2 プロジェクトへのつなげ方
索引
ISBN:9784822277048
判型:B5変
ページ数:200ページ
定価:3200円(本体)
2006年10月02日第1版第1刷発行
2010年06月09日第1版第7刷発行
2011年11月08日第2版第1刷発行
2013年07月16日第3版第1刷発行
2014年08月19日第3版第2刷発行
Posted by ブクログ
PMBOKやFP法といった、1980年 代なかばから今日に至るまでに開発された プロジェクト管理手法が歴史とともに学べる一冊。
しかし究極は、システム開発における「暗黙知は排除できない」からこそ完璧な見積 り方法は無く、完璧な見積り方法がないからこそ、曖昧さのノイズを排除して見積り に必要な「情報が本当に集まっているところを明確にする」努力が正しくなされる必要があることを知る事なのだと認識させてくれました。