あらすじ
戸田城聖の後を継ぎ、創価学会第三代会長となった山本伸一の峻厳な「弟子の道」が綴られている。日蓮大聖人の仏法のヒューマニズムの光をかかげて、世界を舞台に繰り広げられる民衆凱歌の大河小説。
<各章の概要>
【智勇】昭和44年5月3日の本部総会で、山本伸一は750万世帯の指標を示すとともに、過激化する学生運動について「第三の道」を開いていくよう学生部員に提案。やがて学生部員は新学生同盟(新学同)を結成する。学会の平和運動の先駆的試みとなった。
【使命】この年、女子部の看護婦(現・看護師)による白樺グループが結成。鼓笛隊はアメリカでのパレードに参加した。また伸一は、夏季講習会では、海外の友に、渾身の激励を重ねた。文芸部の結成式では、新しきルネサンスの担い手が陸続と育つことを願った。
【烈風】師走、伸一は急性肺炎による高熱と咳に襲われる。医師も危ぶむなか和歌山に入り、学会歌の指揮をとる。その激闘は全同志を鼓舞した。一方、言論・出版問題に事寄せ、国会まで巻き込んで学会と公明党への攻撃が沸騰。同志は烈風をはね返し、会員750万世帯を突破。伸一も体調の悪いなか、小説『人間革命』第6巻の執筆を再開した。
【大河】45年5月3日、伸一は、学会の組織形態について、紹介者と新入会者のつながりで構成されたタテ線を改め、地域を基盤としたヨコ線への移行を提唱した。さらに少年少女の人材グループ「未来会」のメンバーを激励する。9月、聖教新聞社の新社屋が落成。全国通信員大会で伸一は、通信員と配達員こそ新聞の生命線と訴えた。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
―1969年(昭和44年)5月3日の本部総会の席上、山本伸一は750万世帯の指標を示すとともに、創価大学に「人間教育の最高学府たれ」等の三つのモットーを示した。
また、過激化していく学生運動について「第三の道」を開いていくよう学生部員に提案する。教育の自主性、独立性を確保するために、立法、司法、行政の三権分立に教育権を加えた「四権分立」構想を提唱。
―ガンジー「私は人間の活動から遊離した宗教というものを知らない。宗教は他のすべての活動に道義的な基礎を提供するものである。その基礎を欠くならば、人生は「意味のない騒音と怒気」の迷宮に変わってしまうだろう」(p.95)
―児童文学者 長田若葉(「桜の国の少年」等)の入会から文芸部結成までが印象的だった。闘病しながら執筆する長田に対して、若い女性編集者が「長田先生、仏法は自分の最高の生命力を湧現させる法則なんです。また宿命を転換し、崩れざる幸福を確立する生命の哲学です。~私はぜひ先生に健康になっていただきたいのです。そして二十一世紀に生きる子供たちの。心の財産となるような作品をたくさん残してください。」と訴える。入会前に戸田先生の出版社で出版した経緯も。
入会後、仏法の深遠な生命哲理を学ぶにつれて、その仏法を基調にした人間主義の文学を創造したいとの思いを深くした。(p.176~)
―”なんで学会員は、人のために、あれほど一生懸命になれるんやろう。苦しんどる人がいると、一緒に悩み、励まし、手を取り合って喜び合う。打算も、利害もない。きれいごとを並べたてたりはせえへんが、なりふり構わぬ誠実の行動がある。地に足が着いた善意を見る思いがする。”(p.185~)
―”民衆を守り、幸福にするために、みんなしっかり勉強してほしい。全員が何かの道で、最高のものを目指してください。
それには努力です。天才とは何か。人より10倍、100倍、努力した人のことです。
また、人生の勝負は何歳か。いろいろな考え方ができるが、1つの目標として私は50歳だと思っています。その時に人間の真価が決まると言って良い。
人生と言うのは絶対にこうしよう。こうなっていこうと心を定め、真剣に頑張り抜いていけば、必ず、自分が納得できる結果が得られるものです。大切なのは、毎日毎日の精進です。”(p.323)
―”頭が良い人と言うのは、常に疑問を持っている人である。一つ一つの事柄をただ鵜呑みにするのではなく、『どうしてそうなるのだろう』『本当にそうなのだろうか』『もっと他に方法はないのか』と考える人です。先生に質問したり、本を読んで考えてみることもいいでしょう。その探究心が大切なんです。”(p.326)
―”落胆して情熱を失うのか。今度こそ、と闘魂を燃やすのかーその積み重ねが、自身の生き方となり、それが、人生の幸不幸を決定づけていくことになる。”(p.385)
ーーー
智勇 / 1969年、学園紛争のさなか「学生運動の第三の道」を提案。「新学同」結成し、人間主義の運動を展開。創価大学
使命 / 白樺グループ結成。アメリカでの日米総会で鼓笛隊がパレード、文芸部も結成、信心と出会い、研鑽していく文学者たち
烈風 / 病魔と闘い、関西各地の友を激励する闘争の日々。言論問題の嵐を越え、創価の陣列は進む。
大河 / 70年5月3日、会長就任10周年。ブロック組織など、新たな広布の前進を開始。聖教新聞社屋も完成。※未来部育成のための指導、新聞の取材、体験原稿作成の努力