あらすじ
まんがの仕事に邁進する明子。余命四か月を宣告された日高先生が明子に伝えたかったのは… まんが家・東村アキコのドラマチック・メモリーズ万感胸に迫る最終巻!
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嫌で嫌で逃げた時間が、願っても願っても戻れない過去になる。
本作は、地元宮崎で美大受験に臨む東村アキコ先生と絵画教室の先生・日高先生との回顧録だ。絵画教室で竹刀で頬を突かれたり、美大時代に絵が描けずヒステリーになったり、卒業式でうさぎの格好をしたりといつもの東村アキコ先生のおもしろおかしいシーンも多いのだが、日高先生との過去は少し苦しい。与えられた深い信頼と希望は、手放してはならないものなのに、重くて仕方がない。日高先生への懺悔と感謝、敬愛、悔恨……全5巻とは思えない濃さで”あの頃”が紡がれてゆく。
未熟さゆえの後悔と思い返すことで感じる因果。胸が締め付けられた後、人生の推進力を与えてくれる一冊だ。
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Posted by ブクログ
本気で画家になりたくて美大に行く人がいない現実
日高教室を継ぐ覚悟で宮崎へ降り立つ
が、自分の弟子を集めて今後の相談をしていた…
意外と元気な姿に安心し、戻って漫画の仕事を続ける
しかししばらく経って会った先生はすっかりやつれていた
ベッドで寝込みながらもずっと絵を書いていた
そしてきちんとした別れができないまま先生は死んでしまう…
ライブペインティングで立ちすくんでいた時に先生は、かすれる声で描けと言う
Posted by ブクログ
最高の一冊だった。
今ちゃんが「描け」と言って、ぼろっと泣いた瞬間に、私もぼろぼろ泣いた。
空白や間のとり方が最高で、
東村アキコさんって、こういう情緒的な話もすごく上手いんだなあと思った。
西原理恵子さんと、ちょっと似ていると思う。
タイトルの「かくかくしかじか」って「描く描く」ってニュアンスもあるのかな、なんて、先生の思い出が次々に蘇ってくシーンを見て思った。
あと、葬式に来た空気の読めない男に対して東村アキコさんがガン切れするシーンがあるんだけど、この男について かなり尺を使って描くなと思った。
「口だけど何も行動できない駄目な、一般的な人」のモチーフとして出したのかもしれないし、
この空気の読めない男が本当に心底許せなくて書いたのかもしれないと思った。
昔、ダヴィンチか何かの取材で、東村アキコさんが「私は小学校の頃、親が転勤族で引っ越しばかりだった。だから、途中で入ってきて、このクラスはこんな雰囲気で、誰が一番力を持ってて、どうやってここに溶け込むか、みたいな空気を読む能力をそこで培った」と言ってた気がする。
そういう、空気の読める東村アキコさんだから、単純にこの空気の読めない男が大っ嫌いで許せなくて物凄い印象に残ってるのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
泣いて笑った。
東村アキコの仕事量すごいしやっぱ漫画家すごい。
日高先生の「描け」、心に沁みます。
泣いたけれど、ところどころ引っかかる部分があって‥
後半はただの懺悔になってしまっていて、その懺悔の対象は絵画教室の関係者だったりするんだろうなぁっていうのがもうマンガとしてどうなの、と。
葬儀に遅れて着いたあの男の子へのあの対応もいかがなものか。
この当時、東村アキコは20代後半でしょう?大人気ない‥。
遅れてでも足を運んだ彼の気持ちを汲んであげてほしかった。
あの子もきっとすごくちょっと変な子なんだとは思うけど、個人的な愚痴をあんな形で描かれても共感できないというか。
Posted by ブクログ
良くも悪くも自分の気持ちを整理するために書いた本、という感じ。いやおもしろかったんですけど。
こういう後悔は誰に慰められたって消えない、自分で受け入れるしかないんだろうな。
先生の熱い「描け」が一貫しててかっこよかった。