【感想・ネタバレ】駅前旅館のレビュー

あらすじ

昭和30年代初頭、東京は上野駅前の団体旅館。子供のころから女中部屋で寝起きし、長じて番頭に納まった主人公が語る宿屋稼業の舞台裏。業界の符牒に始まり、お国による客の性質の違い、呼込みの手練手管……。美人おかみの飲み屋に集まる番頭仲間の奇妙な生態や、修学旅行の学生らが巻き起こす珍騒動を交えつつ、時代の波に飲み込まれていく老舗旅館の番頭たちの哀歓を描いた傑作ユーモア小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

駅前旅館を通じ、戦後日本人の生活がいきいきとえがかれている。エンタメ度は低いが写実的。戦後のふつうの人たちの生活を盗み見ているような面白さがある。ホテルや旅行関係の仕事の人や、昭和のノスタルジーに浸りたいときにおすすめ。

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2019年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

駅前旅館

著者:井伏鱒二
発行:1960年12月15日
新潮文庫
単行本:1957年11月(新潮社)
初出:1956年9月~1957年9月「新潮」

井伏鱒二の名作ユーモア小説。森繁久弥主演で映画化された。観た人は多いことだろう。駅前旅館「柊元(くきもと)旅館」の番頭、生野次平を中心に、ライバルで親友の高沢(「水無瀬ホテル」番頭)はじめ駅前にあるいくつかの旅館の番頭たち、添乗員の中央大学学生、万年さん、吉原の引手茶屋で豆女中をしていて、後に長野の芸妓、紡績会社の寮長となった於菊(おきく)、小料理屋「辰巳屋」の女将らが、楽しくもリアルさを持った物語を展開する。映画で上記を演じたのは、森繁久弥、伴淳三郎、フランキー堺、淡路恵子、淡島千景・・・

文庫の表紙カバーの表4(裏表紙)に書かれた粗筋(「うらすじ」と言うらしい。タモリ倶楽部命名?)は下記。内容を端的に表現している。
「昭和30年代初頭、東京は上野駅前の団体旅館。子供のころから女中部屋で寝起きし、長じて番頭に納まった主人公が語る宿屋稼業の舞台裏。業界の符牒に始まり、お国による客の性質の違い、呼び込みの手練手管・・・・・・。美人おかみの飲み屋に集まる番頭仲間の奇妙な生態や、修学旅行の学生らが巻き起こす珍騒動を交えつつ、時代の波に飲み込まれていく老舗旅館の番頭たちの哀歓を描いた傑作ユーモア小説」

業界の裏話として、番頭の給与体系が出てくる。給料は2万円と安い。しかし、成果給(呼び込みなど)のようなものがあり、客からの心付けもある。翌日に泊まる別地区の旅館を団体客に紹介すれば、その旅館から謝礼をもらえる。さらに、まだ売春防止法施行前、客を吉原などに案内すれば、自分も遊べるし、遊んだふりして返金を受け、懐に入れられる。

ある日、生野は吉原の引手茶屋で豆女中をする於菊が、懐中時計を盗ったのではと疑われる。生野は時計を見つけ出し、疑いを晴らす。於菊は淡い恋心を持つ。彼女は長野で芸妓となり、客とともに4人で東京に旅行、生野の旅館に泊まる。生野が風呂に入っていると、4人が入って来て、そのうちの1人の女につねられた。於菊だと気が付かなかった。

中央大学の学生だが、東京で添乗員をしている万年さんがいる。当時、日本に添乗員という仕事はなじみがなかったのか、こまごまとその仕事や裏事情を書いている。客を国鉄に乗せるより、バスに乗せる。しかも、乗り換えさせる。添乗員にはバス会社からリベートが入る。山道を行くコースだと3%、市中なら10%、バンガロー行が10%、お土産屋からは5%、観光券のクーポンで5%、などと具体的。

また、板前は労働大臣の許可を取っている斡旋所が各旅館に斡旋するシステムもできあがっている。〝正社員〟である板長と斡旋された板前とのやりとりも。今日の非正規労働のはしりなのかもしれない。成長経済を前にいろんな職業が誕生し、システムを確立していった時期なのだろう。

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2023年01月08日

Posted by ブクログ

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購入者:長谷川
貸出:今倉(2007.12.14)
返却:今倉(2008.6.12)現在と同じ国?というほどに、女性の生活が今とは違う風に描かれています。ただ男性は今よりも悠々自適だったのかな?と感じるぐらい、旅館の番頭たちの暮らしが楽しそう。大竹まこととか高田純次っぽいおっちゃんたちのお話でした。ただ昔の口語ばかりで書かれていて、少々読み辛いかんじです。
貸出:滝口(2008.8.12)
返却:滝口(2008.8。30)読んでいて昭和40年代森繁久弥、三木のリ平、池内淳子出演、駅前シリーズとして映画化された作品です。懐かしく想い出しました。
貸出:吉田愛(2011.12.30)
昔の言葉がたくさん出て来ますが、改めて日本語ってきれいだなと思いました。いろんな人や出来事を見聞きした番頭さんが主人公なのですが、なんだか落語みたいに次から次へわ〜っと語っている感じの文章でした。
秀司
かなり古い本みたいですね。
文章が連なってる感じがして、頭に入りにくかったです。

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2013年01月05日

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