【感想・ネタバレ】アンのゆりかご―村岡花子の生涯―のレビュー

あらすじ

【NHK連続テレビ小説『花子とアン』原案】
戦争へと向かう不穏な時勢に、翻訳家・村岡花子は、カナダ人宣教師から友情の証として一冊の本を贈られる。後年『赤毛のアン』のタイトルで世代を超えて愛されることになる名作と花子の運命的な出会いであった。多くの人に明日への希望がわく物語を届けたい──。その想いを胸に、空襲のときは風呂敷に原書と原稿を包んで逃げた。情熱に満ちた生涯を孫娘が描く、心温まる評伝。 ※文庫版掲載の写真は、電子版では一部掲載していません。ご了承ください。

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Posted by ブクログ

赤毛のアンが読みたくなった。
恵まれない環境の中でも己の力で生き抜いた女性。当時としては珍しい恋愛結婚。自立した女性の生き様を見させていただいた本でした。

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2024年08月26日

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赤毛のアンから知った翻訳者「村岡花子」さんの生涯についてまとめられた作品です。

生まれ育った家庭環境は良いとは言い難いが、父親のキリスト教信仰、社会主義的なものの考えかたによって、花子さんは幼いころからいろんな人に出会い、いろんな本に出会い、いろんな文化に触れられ、この時代では珍しい自立した日本女性だったのではないかと思いました。

海外の有名な作品は日本語に翻訳されたものを読んできましたが、この作品を読んで、原文で読んでみたい、花子さんのようにその作品の国の文化や慣習も勉強したら、より興味深く作品を楽しめるかなとも思ってしまいました。

また、花子さんと花子さんが学んだ東洋英和女学校のカナダ人宣教師たちこそが、国境を越えて平和祈り、子供たちに平和な未来をという思いから行動に移していったノーベル平和賞的な人たちだと思いました。

最後に、花子さんと儆三さんのような大恋愛してみたいものですね。こんなに愛し合い、尊敬しあえる関係はうらやましい限りです。

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2023年09月26日

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ネタバレ

秋葉原の古本屋で100円で購入した。100円の元は圧倒的に取れる良い本だった。

赤毛のアンの日本語版は読んだことないと思うが、翻訳にこれだけの情熱と、歴史が積み重なっていたとは。
そもそもこの村岡さんの歴史が、自分でも名前を聞いたことある有名人たちに囲まれている。
芥川龍之介、与謝野晶子、菊池寛、宇野千代、樋口一葉、平塚らいてう…
第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして日本の敗戦… アンの翻訳をしながら、非国民と呼ばれながら原稿を守り、女性の権利向上にも協力し、翻訳文学、そして児童文学というもの自体がまず無い文化の中、子供のために海外児童文学を翻訳し続けた… うーむ、すごい。
この人の友人関係もすごすぎたので、この本は「赤毛のアンを翻訳した件」どころじゃなく、この人達が歴史を作ってきた証明だった。甘く見てた。赤毛のアン自体は正直あんまり出てこないし、出てくるのもだいぶ後半なので、どちらかというと近代史の歴史小説として楽しめるかと思う。

しかし、ラブレターが全部保存されていて、万人に公開されるってどんな地獄だよ。「帰り際のkiss…… まあなんて困る人だとあなたは思ふたでしよ。」とか気が狂いそうになる。旦那さんも墓から蘇ってそう。

そして肝心の本のタイトル、もともと「赤毛のアン」ではなく、村岡さんは「窓辺に倚る少女」にするつもりだったらしい。それだったらだいぶ違った未来になってた気がする。編集者が「赤毛のアン」を提案したが村岡さんは一旦即却下したが、娘のみどりが絶対これにするべきと推したためらしい。ただ、ちゃんとこれを読むのは若い人だから、若い人の感性に合わせるとして了承した村岡さんもあっての明断。

この間読んだ「キラキラネームの大研究」にもあったが、変わった名前は今が特徴ではなく、むしろ英語が入ってきた時代やちょっと昔も相当アレだったというのを、ところどころ感じた。特にガントレット恒子という名前が強すぎて本に集中できなかった。エドワードガントレットさんに嫁いだかららしいから当たり前なんだが…

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2022年05月04日

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「赤毛のアン」を翻訳された村岡花子さんのお話。「赤毛のアン」が好きなので読んでみました。

辛い体験も多い中で、信念を持って生きる強さが感じられました。

自分の娘にも「赤毛のアン」を読んで欲しいなぁと思います。

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2021年11月04日

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朝ドラ「花子とアン」の原案作です。
時代の波に揉まれながらも、日本に児童文学の種をまいてくれた信念に強い憧れを覚えました。

翻訳を志す後輩に、まずは母国語をしっかり勉強なさいと伝えるエピソード が印象的です。

女性の地位向上のために、政治的な活動に参加していたのも意外といえば意外なのですが、そこで広岡浅子とも面識があったりして驚きました。

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2021年03月31日

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不登校できない不登校中学生時代、とりあえず、生きていくんだと、村岡花子訳「赤毛のアン」に励まされました。あらためて、「赤毛のアン」を日本語訳してくださって、うれしくなりました。

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2019年09月03日

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とても興味深く読み進めた。
今まで戦時中の話は怖さも手伝い読むことがなかったが、今回のこの本で初めてきちんと読むことができた。それは戦中に物質は貧しくとも心の豊かさを失わずに生活していた日本人の姿がはっきりと見えたからだ。
また広岡浅子やヴォーリズ、澤田美喜など明治期に活躍した人々との接点が見えてきて嬉しくなったり、教科書の中の歴史上の人物だと思っていた市川房江や、生きて動いている姿をみたことがある宇野千代が同時代に活動しているのを知り、昭和初期という時代が本当に自分たちの今につながる実在の時代だったのだなあと感じた。今更だけど本当に感じた。

今まで手にしてこなかった赤毛のアンを読んでみようと思う。いや読みたくてたまらない!!!

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2016年05月15日

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自分が小学6年生の時ひきつけを、起こして入院したさい、いとこのお兄ちゃんが見舞いに来て渡してくれた本が赤毛のアンでした。

それまで本を読む楽しさがまだわからなかった私が 最後まで読み通した初めての文庫本でした。

その時の楽しさを感じたことはその後も
読書をするきっかけになりました。

そしてそれから40年余りを経て
いま、赤毛のアンを翻訳した村岡花子さんの生きていた時代、そのころの思いなどが胸に響きました。

10代の女の子が共感し、希望を、持って生きていく力を貰っていたのだとあらためて思いました。
もう一度、アンの世界を尋ねてみようかな。

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2015年01月20日

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赤毛のアンのファンですが、毎日通っている街の当時の風景が描かれているので、違った角度から、戦争の狭間で生きた女性の生き様がリアルに味わえた!

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2015年01月01日

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この本をドラマの原作、と思って手に取ったひとはあてがはずれます。ドラマは中園さんのオリジナルであり、この本は原作ではあるけれど、ノベライズではないからです。
むしろ村岡花子の周囲にいる綺羅星のような女流作家や市川房枝のような政治家、ヘレンケラーなど訪日した偉人たちとの交流をリアルに描いています。
レビドラマはフィクションなので、こんなに実名のあるひとたちを出すわけにはいかないでしょう。そこで白蓮と花子の友情と、家族に的を絞ったのだと思うのです。
作者は、母親である花子の養女みどりが亡くなったとき、ルーツをたどりたいと花子の評伝を書いたといいます。その過程で詳しく交友関係をたどり、歴史の中に花子を置くことによって、花子の人生が浮き上がっていきます。花子の評伝にとどまらず、女性の昭和史ともなっているところが、この本の一番面白いところでした。

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2014年10月16日

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「赤毛のアン」の翻訳で有名な村岡花子。
孫娘でライターの著者が書いた、その生涯です。
NHK朝ドラの原作。

戦時中に翻訳を始めていたいきさつから、始まります。
そこから遡って、貧しい暮らしをしていた大勢の兄弟の中から、長女のはな(後の村岡花子)一人だけが東洋英和女学校の給費生として学ぶようになったこと。
東洋英和が、カナダ人宣教師が開いた学校とは知りませんでした。
奇しくも、モンゴメリと同世代のカナダ女性に教育を受けたのですね。

柳原白蓮と友情があったという、意外なつながりも。
若くして離婚した後の白蓮が女学校に入り直していた時期で、年上の美しい親友が出来たわけだったのですね。
九州の炭坑王との急に決められた再婚に怒り、純情な花子は披露宴にも出席を断ったとか。もっともすぐに和解し、後の出奔と再婚にも理解を示したようです。

花子自身は出会った男性・村岡と愛し合って結婚し、出版社を営む婚家にも認められて幸福でしたが、震災で工場が倒壊してしまいます。
さらに長子を疫痢で失い、戦時中にも苦難があったそうです。
夫の村岡は最初の妻を病気を理由に離婚していたので、花子は不幸に見舞われた後になって、他の人のそんな苦しみをおもんぱかることもなかったのがよくなかったと胸を痛めたそうです。

ラジオの番組で有名だったことも、知りませんでした。
70過ぎてのアメリカ旅行で、着物姿で通し、きれいな英語を喋ると驚かれたり。微笑ましいエピソードも色々。
プリンス・エドワード島には、ついに行かなかったのですね…
機会があったのに延ばしたという、気持ちはわかるような気もします。

しかし、「赤毛のアン」て、ものすごくたくさんの版で出ていたんですね~ちょっと調べたら、感嘆しました。
私は子供の頃からずっと村岡さんの訳で「赤毛のアン」ブックスを読んでいたんですよ。一時はお気に入りのところを暗記しているほどでした。
他の翻訳にも何かしらよさはあると思いますが、いま一つピンと来ないんですよね。

村岡花子は明治26年(1893年)生まれ。昭和43年、75歳で没。
著者は1967年生まれ。
1991年より姉の美枝とともに「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」として資料を保存。
この本は、2008年6月発行。
2008年は「赤毛のアン」誕生百周年だったのですね!

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2016年09月14日

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平和でやりたいことがなんでもできる現代の人間より、村岡花子さんはじめ出てくる皆さんが命の危機を彷徨ったり辛い環境の中でも、今の人間よりよっぽど情熱をもって生きている。
学べることのありがたさや、楽しさを感じながら、自分の持つ好きなものや楽しいと感じるものの力を周囲に思う存分与えられる人になりたい。

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2025年03月27日

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朝ドラを観たのでこちらも。
お孫さんが書いた物語。

翻訳者に焦点をあてたのは、めずらしくて面白い。
翻訳って、日本語も重要なんですね。

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2025年02月06日

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ネタバレ

本作の主人公は翻訳家の村岡花子さん。赤毛のアンを翻訳した人、といえばすぐに通じるでしょうか。彼女の生涯を扱う作品です。

ただ本作、いち翻訳家の生涯というよりも、むしろ、一女性の目を通して綴られる明治・大正・昭和の女性の自立・地位向上の話、といってもよいと思います。

それほどに、熱く激動の人生を生きた女性であったと読後に感じました。

・・・
貧乏だった家庭で唯一学校通いを許された花子。キリスト教系の東洋英和で女性宣教師からみっちり英語を叩き込まれ、図書室で洋書を貪るように読み、外国に行くことなく英語を話せるようになったエピソード。日本にはヤングアダルト向けの自己陶冶的小説が少なく、自らを筆をとり文筆家をスタートさせたこと。自らの進学後一家離散となった家族のため、卒業後も必死で稼ぎに出たこと。日本女子大創設者の広岡浅子の伝手で、市川房江など女性進出のパイオニアと知己を得ていたこと。キリスト者でありながら、妻子ある身の男性と恋に落ち、所帯を持つに至ったこと。震災で夫の会社が傾き、家の生活費を自らが稼ぐ決意をしたこと。一粒種の道夫を病気で亡くしたこと。良質なヤングアダルト小説を子供たちへ届けたい一心で、空襲のさなかでも、敵性言語である英語で書かれた“Ann of Green Gable”の翻訳に注力したこと。戦後は一層、赤毛のアンシリーズの翻訳に取り組んだのは言うまでもありません。

東洋英和で学生時代の話を除くと、花子は断続的に苦境・逆境に襲われるのですが、もがきながらもたゆまず前進を続ける様子には胸が熱くなります。

・・・
加えて驚くべきは、花子が日本語、わけても詩や和歌に注力していたことです。なんと和歌・詩歌で有名な歌人佐々木信綱氏にも師事していたということです。目の付け所が違います。

卑近な例で考えると、所謂キコクである自分の子供たちを見ていると、英語もまあ通じるし、読み書きはできるのですが、受験英語の下線部訳の問題はからっきしダメなのです。Google翻訳的直訳というのでしょうかね。

やはり日本語の語感やセンスを磨かないと、腑に落ちる訳文は生まれない、と本作を読んで改めて感じた次第です。訳者ならずとも、日本語力や言葉への造詣がないと、外国語の豊かさは汲み取れないのでは、と感じました。

日本語力、大事です。

・・・
ということで、村岡花子さんの生涯でした。

驚くほどにドラマティックな個人史でしたが、瞠目すべきは、このような傑物がそこまで注目されずにいる現状であります。もっと知られて良い方だと感じました。

本作、女性の社会進出、明治以降の現代史、児童文学に興味がある方等には楽しんでいただける作品だと思います。ぜひ「赤毛のアン」も併せて読み、気取った女子高的雰囲気を楽しんでいただければと思います。

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2023年02月08日

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大変面白かった!
朝ドラを見ていたので花子の生涯について概ね知っていたつもりではあったが、一冊の本を通じて知る花子の人生はより壮大なものであった。
花子の人生の根幹をなすのは東洋英和女学校時代のカナダ宣教師から受けた教育であるが、その後も数々の出会いを通じて児童文学翻訳への情熱と、彼女の社会改革活動への意識が醸成されていく。その過程で登場する人物たちも一人ひとりについて伝記が存在しそうなほど(実際そういう人物もいるはず)豪華な人々で、花子の人生が羨ましくもなってしまうが、そうした出会いを力に変え晩年まで子ども、女性そして社会のために尽くしてきたからこそ、これ程長く愛される翻訳作品を生み出せたのであろう。赤毛のアンも読んで見ようと思う。

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2022年09月29日

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面白かった…

「赤毛のアン」が大好きで、朝ドラにもなった村岡花子先生の生涯には興味があったので読んでみた。

アンが育ったカナダの美しい自然、おおらかな雰囲気、女性の悩みが、花子の女学校時代のカナダ人教師から花子、そしてアン・ブックスを通じてわたしにも伝わってきていることを知れて、とても良かった。

当たり前だけど、本には著者の様々な思いや人生の経験が詰まっているんだなあ…と思った。
特に大好きな「赤毛のアン」でそれを知れたことはほんとうに良かった。

近いうちに「赤毛のアン」の原文も読んでみたいし、先生とは違うけど、いつか絶対にプリンス・エドワード島にも行くぞ!と決意した。

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2021年09月09日

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生き方に矛盾を持ちながらも
自己を信じて生き生きと
そんな花子だったからこそ
アンを大事にして 世に送り出してあげれたんでしょうね

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2020年02月07日

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赤毛のアンの翻訳家である村岡花子の生涯の伝記。10年間ミッション・スクールで英語を鍛えられた花子は子供のお話を書きながら、西洋の少年少女家庭小説の翻訳にいそしむ。綺羅星のごとくの有名人との交流をもっていたのだな。テレビ・ドラマとの違いを見るのも面白い。

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2018年10月20日

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カナダ人小説家モンゴメリによる「赤毛のアン」の翻訳者、村岡花子の生涯を描いた本である。以前から読みたいと思っていた。
時代は大正から戦後までである。花子はクリスチャンの父親の意向で、カナダ人女性宣教師たちが運営する東洋英和女学院に入学し、8年間の寄宿生活を送る。そこで学んだ英語とカナダの文化の知識を活かし、現地に行かなくてもみずみずしい和訳をすることができた。
翻訳がメインの仕事ではあったが、彼女は福祉活動や教育にも力を入れていく。生涯翻訳をし続けながらも、華やかな友人たち(市川房江や宇野千代など)とともに、様々な分野で活躍し、大人も子どもも楽しめる本の出版に貢献し、働く女性たちの礎になった。
孫による著作で、自分の身内を褒め称える内容なら白けてしまうが、きちんと第三者の視点で線引きして書かれている。正直なところ、この本が出るまで村岡花子という人のことを知らなかったが、村岡氏の活躍は素晴らしいと思った。家族を大切にし、関東大震災や戦争も潜り抜け、宣教師からもらった本を世に送り出すという意志を徹した。赤毛のアンをいつかもう一度読んでみようと思う。

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2016年05月27日

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「赤毛のアン」は、いかにしてうまれたか。
時代へ必死で抗う女性の力、偉大なり。

連ドラつながりですが、村岡花子さんも広岡浅子さんとの交流があったとのこと。あささん、本当にバイタリティに溢れた女性だったんだな。

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2016年03月09日

Posted by ブクログ

同僚に借りた本。
赤毛のアンの映画は学生時代 録画して何度も観た洋画のひとつ。
戦時中に文学誌においてこぞって軍国主義を主張していたのにはこんな背景があったとは驚き。 そして今 当たり前にある女性の地位や参政権など、 この時代の女性や海外の人々の協力と努力あってこそのことであると改めて理解し、感謝。 またその逞しさと頼もしさに憧れと尊敬。
 NHKの朝ドラも多少見ていたけれど伝えようとしていたこのの少しも理解できていなかったことに我ながら情けなく 反省。
 今ある いろいろな意味での自由は先人たちの努力と感謝しつつ 有意義に過ごさなくてはと改めて奮起。
 次回赤毛のアンの映画を観る時は カナダの島に思いを馳せる 花子たちの時代に生きた人たちのことも思いながら観ることになるだろう。 より一層楽しく観れるのではないだろうか。

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2015年02月21日

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著者の祖母である村岡花子さんの足跡を知りたいとの思いからかとてもあたたく読みやすかった。村岡花子さんはじめここに登場する様々な人たちの思いと足跡があって今があるのだと思うと感慨深い。上品な言葉使いも心地よさを感じる一因かもと感じた。「非凡に通じる洗練された平凡」いいな。

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2015年01月24日

Posted by ブクログ

たくさんの子どもたちへ、物語は続いていく。

ようやく読んだ。村岡花子の生涯だけでなく、その時代の雰囲気や女性の姿もわかる一冊。女子高校生におすすめしたい。英語の力(そしてもちろん国語の力)や、我が子だけでなく日本の子どもみんな(もちろん世界の子どもたちにも)のためなど、時代が変わっても変わらない「働く」「生きる」ことの教えがある。

『アン・オブ・グリン・ゲイブルス』が作者にとって、どれほど生きる力の源になったか。そのような本に出逢えることは幸せだと思う。

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2014年12月17日

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「花子とアン」が放送されていたある日、母が、朝ドラを見ていると、中学生時代の私を思い出す、と言ってきた。

なるほど、田舎から華族のお嬢様が通う学校に編入し、馴れない英語に悪戦苦闘する花子の様子は、確かに、医者、大学教授、社長や老舗の娘や帰国子女が多い女子校に、中小企業に勤める父を持つ女の子が入学し、外国人のシスターに英語の発音を厳しく指導された、という中学時代の私が懐かしく思い出される。

その後、花子は震災や戦争、愛する息子の死など、幾多の困難に直面するが、花子の生きる力を培ったのは、紛れもなく、女学校時代の教育だと思われる。いつの時代も、若く多感な年頃に受ける教育が、その後の人生に大きく影響する。

私も、自分が受けてきた教育に感謝し、社会に還元できるよう、努めていきたい。

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2014年10月06日

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翻訳そのものと言うより、昔の女性はとても強いと思いました。
戦火の中や、震災の時でも翻訳をしたい社会を学びたいと言う気持ちがすごいと思いました

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2025年06月25日

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翻訳家・児童文学作家村岡花子の伝記。
なるほどこれは朝ドラになるわ。

花子がその英語力を培った東洋英和女学校時代の描写が楽しい。「燁さま」として登場する柳原白蓮が魅力的。

花子は社会主義者の父のもとに生まれ、女学校時代を除いて(その女学校での教育自体が父の思想方針によるものではあるが)社会活動を身近に過ごしているが、それに共感しながらもその性質はあくまで文学的だったのだろう。キリスト教に対しても似た距離をもっている。アンもそんな感じだよねえ。勝手に符合を見出して愉快がっている。

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2021年08月15日

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「赤毛のアン」を日本語に翻訳した村岡花子さんの一生をお孫さんがまとめたもの。2014年上半期の朝ドラ「花子とアン」の原案。2021年1月からNHK総合で再放送中。朝ドラは結構設定変えてるし、登場人物も違ってるので、ドラマから入ると少し違和感あるが、それでも村岡さんってすごい方だったのはよく分かる。こんな方がおられたのが凄い

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2021年03月04日

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花子は外国で暮らしたこともないのに
将来あの『赤毛のアン』を訳し、日本の女の子たちをとりこにし
翻訳家になって村岡花子女史として活躍した人が
どのようにして英語に堪能になったか

ひとこと言えば父親の教育方針がよかったのである
しがない地方の商人であった父
8人きょうだい、けして暮らしは楽ではな
父親が彼女の利発さを見抜き、父親の期待、夢があっても

明治36年(1903年)当時
カナダ系メソジスト派の東洋英和女学校の編入させるなど
なまなかなことでは実現できない
お金持ちや華族のお嬢様ならいざ知らず

しかし、クリスチャンであり、社会主義者でもあった父は奔走し
10歳で給費生(奨学生)として寄宿舎に入れてしまうのである
人道的な意味で平等精神からも受け入れてくれたのである

彼女も賢かった、期待に応えて10年間みっちり学ぶのである
カナダ人の女性宣教師に囲まれて
書籍室(図書室)で好きなだけ洋書の世界文学が読めるように実力もつく

洗練されたすばらしい上級生、友人たちにも恵まれ
文化水準も高い、学校のしつけも厳しい環境で
知的にもおおいに成長するのである

と、ここまで読んできて、昨今の学校教育の現状が心配だ

田中真紀子文科大臣が先走って間違えたのはお粗末だが
問題は

「誰のために、なんのために、学校というものががあるのか?」

「国を作るには教育が一番はじめにある」
ということを日本人は忘れてしまったのではないか

いつからそうなってしまったのだろう?
戦争に負けて腑抜けにされてのやはり戦後からだろうし

あるいは経済大国になるため
即戦力を重視するあまり
中身のない機械的人間をところてん式に作ってきたらしい

簡単に言うと
学校とは人間として社会に出ていくときに
必要な知識と考える力を引き出すところ、文字通り学問

そのような学校が今、あるのかどうか
登校拒否だの中途退学などがものすごく増えたのも
子どもたちが無気力や悪いのではなく
学校が学校らしくないからかもしれない

戦後に教育を受けたわたしたちも本当の学校で、ではなかったのかもしれない
今教育者となっているひとたちも正しい教育を受けていないのかもしれない

そんなことではいい学校はできない
それではもうどうしょうもないではないか
絶望的気分になってきた

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2020年07月19日

Posted by ブクログ

翻訳家、作家としてだけでなく、出版、ラジオ放送などにも携わり、教育、政治、社会運動にも活躍された方とは初めて知りました。非常に純粋、情熱的な少女時代の理想を、人生の荒波に揉まれても手放そうとせず、貫いた人という印象。同時代の女流作家や女性活動家たちとの交流も興味深く、面白く読みました。

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2016年04月16日

Posted by ブクログ

NHK連続テレビ小説にもなった「赤毛のアン」シリーズの訳者である村岡花子の生涯を孫が書いたもの。書きぶりとしては、よくもまあ見ていたかのように書けるなあと思いもするが、そこは身内だからあまり気にしなくていいのかな。また一方では、よくもまあ身内のことを讃えられるものだなあとも思ったりもするが、ヘンにお行儀よくならず、また生涯を順に書いているだけにもかかわらず、面白いしテンポよく読めるなかなかよくできた本。
村岡花子というと、もの静かに翻訳だけやっていたかのような気がしていたけれど、実は社会運動家的な活動や女流文学者としての活動もしていたのだと知った。以前、『男女という制度』(斎藤美奈子編、岩波書店)という本のなかで、小倉千加子さんが『赤毛のアン』はお転婆で大学に行ったり教師を目指したりするのに、結局ギルバートと結婚して家庭に入ってしまうし、作者のモンゴメリも訳者の村岡花子も同じような人物だと書いていて、そのときはなるほどと思ったのだが、この本を読んでみると、少なくとも村岡花子は家庭に収まった人物というわけでもないように思った。家庭についたような印象があるかもしれないが、キリスト教の考え方が彼女のベースにあったり、また時代があまりに進歩的な女性の活躍を許さなかった面も影響しているのではないかと。

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2015年10月11日

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