あらすじ
本格的な移民導入の議論が高まる日本。人はおろか仕事や職場すら容易に国境を越える時代は、労働社会にいかなる変容を迫るのか。
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Posted by ブクログ
2020年4月から、介護保険料が大幅に増額されていることをどれだけの人が知っているのだろうか?
2017年の介護保険法の改正で、所得に応じて保険料が算出される「総報酬割」という制度が導入された
簡単に言うと
今までは基本給にだけ税金が掛かっていたが
これからは総手取りに税金が掛かるということ
元々2000年に介護保険法が施行され
40歳以上の人へ強制的に保険料徴収がはじまった(半分公費負担、半分国民負担)
ちなみに元々の法案は20歳以上全てから徴収するはずだった(今も政府は諦めてないかもしれない)
財源はすでに赤字で健康保険料だけでは持たないため導入された
さらに元々は
1963年に制定された老人福祉法で「老人は多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、健全で安らかな生活を保障される」という理念から
「65歳以上を対象に、老人健診を自治体に義務づける」と定められ高齢者は無料で健診できていた
しかしこの国には
人も、金も、物も不足している
恐らく将来財源は間違いなく不足するし
お金だけでなく
人が足りなくなる
つまり、介護難民が出現する
現場を見ていてまず間違いない
さらにいうと
介護難民に加えて障害者福祉にも行き届かなくなる(すでになっている)
もちろん外国人労働者の人権や教育なんて目を向けるどころか、殆どの人が気付きもしていないんではないだろうか?
一般的には
高齢化だ、少子化だ、担い手がいないというこの国のバイアスや当事者意識の欠けた報道を語られる
植え付けられた視点でのみで話が進み
これからもきっと本当に困っている当事者は蔑ろにされ続けるのだろう
私は提言をできるほど頭も良くないが
医療で関われる目の前の人たちに手を差し伸べられるような仕事はやっていくつもりだ
Posted by ブクログ
労働のグローバル化について。
主に読んだのはまだ序章と第二章EPA外国人看護・介護受け入れのぶぶんだけだけど、新しい本なのでいい感じの視点。
気になった点をいくつか。
EPAでフィリピンとかインドネシアから看護師・介護師が来る前に(とはいってもまだ資格を得たのは二十人に満たない)すでにフィリピン人移住者などがそれらの分野に進出していること。
外国人労働力の受け入れに関しては、バブル期の急速な労働力不足(主に非熟練)に対して整えられた1990年体制と、21世紀に入ってから労働力のダイバーシティーを求める形で整えられた現代の体制の差異があること。そして後者はリーマンショック以後急速に議論が縮小してしまったこと。
雨宮処凛の言説に顕著なように、外国人労働者に対しては従来の左右の軸が分解されてしまうこと。またそれゆえに議論が避けられていること。
海外インターンシップというキャリアアップを目指す若者に魅力的な幻想が、帰国後それを活かす場所が無いという現実に打ち砕かれること。
一部の基幹的製造業においては、外国人労働者が日本の非熟練労働市場の低賃金化を招くというよりも、彼らの存在によってそのような産業が海外移転せずに地方に残存し、雇用を創出していること。
いくつかの構造的衰退産業、たとえば農業は、きわめて日本的なものと捉えられながらも、その魅力のなさによって現在では外国人の手によって担われることも珍しくないこと。
再生産労働、例えばケア産業、においては、国際移転される形で歪なジェンダー構造が温存されていること。
ガッサン・ハージによれば、生産的多様性の称揚とパラノイア・ナショナリズムの勃興は表裏一体であるということ。
サスキア・サッセンによれば、多国籍企業の中枢管理部門が集中するグローバルシティでは、労働時間の極めて長い高給の専門職も集中するために、労働力の再生産のために多様な低賃金労働者も流入し、階層的分化が進むということ。
デヴィッド・ハーヴェイによれば、先進国の蓄積体制は大量生産のフォーディズムから多品種かつフレキシブルな蓄積へと移行するが、その過程で規格化された生産システムが第三世界へと移転され周辺的フォーディズムを生みだすということ。
なかなか刺激的な論集です。