あらすじ
●話題騒然! 経営学の本としては異例の売れ行き。たちまち5万部突破!――「驚くほどわかりやすい」「目からウロコの連続」と大好評● ドラッカーなんて誰も読まない!? ポーターはもう通用しない!?
米国ビジネススクールで活躍する日本人の若手経営学者が、世界レベルのビジネス研究の最前線をわかりやすく紹介。本場の経営学は、こんなにエキサイティングだったのか! 競争戦略、イノベーション、組織学習、ソーシャルネットワーク、M&A、グローバル経営、国際起業、リアル・オプション、ベンチャー投資・・・
ビジネス界の重大な「問い」は、どこまで解明されているのか。――知的興奮と実践への示唆に満ちた全17章。最先端の「ビジネスの知」がスラスラわかる! ◆日本でのイメージとは大違い! 驚きに満ちた「本場の経営学」
国際的な経営学界で活動する日本人研究者はほんのわずか。また国内の経営学は事例研究が中心のため、海外ビジネススクールでの科学的・実証的な研究の成果が、日本ではほとんど知られていません。ドラッカーの著作は経営学とは見なされず、ポーターの競争戦略論のはるか先の議論が白熱、ソーシャルネットワークの理論が一大潮流になっている――世界の経営学の実状は、日本でのイメージとは大きく異なります。 ◆世界トップレベルのビジネス研究の「おもしろいところ」を厳選し、エッセイ風にわかりやすく紹介。
本書は、国際的な経営学界にいる数少ない日本人研究者の一人が、世界レベルのビジネス研究の最新トピックを紹介する一冊です。話題は日本人ビジネスパーソンにとって示唆に富むものを厳選しました。膨大な学術論文の裏付けを示しながらも、語り口はあくまで平易で明解。エッセイのように気軽に読みながら、グローバル時代を生きる上で知っておきたい、世界レベルの経営学の「おもしろいところ」に触れられます。 本書で扱われるトピック(一部)
●経営学についての三つの勘違い
●経営学は居酒屋トークと何が違うのか
●ポーターの戦略だけでは、もう通用しない
●組織の記憶力を高めるにはどうすればよいのか
●「見せかけの経営効果」にだまされないためには
●イノベーションに求められる「両利きの経営」とは
●経営学の三つの「ソーシャル」とは何か
●日本人は本当に集団主義なのか、それはビジネスにはプラスなのか
●アントレプレナーシップ活動が国際化しつつあるのはなぜか
●不確実性の時代に事業計画はどう立てるべきか
●なぜ経営者は買収額を払い過ぎてしまうのか
●経営学は本当に役に立つのか
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Posted by ブクログ
良書。
オープンイノベーションに対してはパートナー同士の知の範囲の確認をするべき
知の深化、知の探索の両方が必要
DCF法、リアルオプションがなぜ注目されたか
自分が少し疑問に思っていた事がクリアになった
論文読む必要があると再認識
Posted by ブクログ
数年ぶりに再読。後に続く著書にてより広範な理論がカバーされているが、本書にしか書かれていない情報も多く、改めて楽しみつつ読んだ。定性研究中心のPhDという自分の立場に鑑みると、ややケーススタディ等が貢献できている範囲が少ないようにも思えるが、以下に記載した通り、「外れ値」の分析/理解を希求するのであれば、引き続き定性研究にも一定の価値はあると考える。Axiologyの観点では、所謂定性研究は物事の「理解」を希求するものであり、より広範な一般法則の解明を目指し物事を「予測」することを希求する定量研究中心の潮流とは少しその関心が異なる。互いの潮流の価値を疑う前に、その背後にある哲学に想いを馳せ、対話を続けていくことが極めて重要だということを改めて。
特に印象に残った箇所は以下
・世界の経営学で重視されていることは、それぞれの企業の事情が違うからといって、「だから経営の一般法則を探求しても意味がない」と安直に思考を停止させてはならない、ということなのです
・すなわちベンチマーク調査の多くは、内生性を考慮できていないのです。あるいは、その企業は何か特殊な経営資産を持っていて、その条件があるからこそ経営効果が発揮されているのかもしれません。その場合は、モデレーティング効果が考慮されていないのです
・イノベーションのジレンマの考えがその本質をどちらかといえば経営者や企業幹部の認知の問題としてとらえているのに対して、コンピテンシー・トラップはその本質を組織の問題に求めている
・なぜ反証可能であることが重要なのでしょうか。それは、理論命題は反証が可能なときだけ、それが現実世界で正しいか正しくないかを実証分析できるからです
・そもそもRBVがトートロジーであるというのは、理論の世界においてそのコンストラクトの関係がトートロジーになっている、ということです。プリムとバトラーは、「理論の世界で生じている問題は理論の世界の中で解決されるべきである」と主張します。理論の世界で問題になっていることを、「実証の世界でデータがとれるから深刻な問題ではない」と主張するのは、根本的に社会科学における理論とは何かということをバーニーがわかっていないからだ、というのが二人の意見なのです
・他方で近年になって、従来の統計手法による研究が経営学にどこまで役に立っているのか、という疑問も提示されるようになってきました。それは、統計学とは根本的に「平均」の概念にもとづいた手法であり、そのことが経営学の目的になじまないこともあるのではないか、という疑問なのです
・しかし、もし経営学の目的がそもそもガウシアン統計ではとらえきれない「外れ値」の企業を研究するためのものであれば、そのような企業の内状を定性的に深く分析するケース・スタディーはやはり有用なはずです