あらすじ
きみはぼんやりしているぼくを押し倒して唇を寄せてくる。このセックスはスケルツォみたいだな、とぼくは思う──スラブ系の血をひく天才美少女、その才能を誰よりも理解し、自由を受け入れる優しい青年。作曲家志望の二人と個性豊かな友人たちの恋と友情。音楽の秘密を探し、新しい音楽を作るのに必要なものは何かを問う表題作に最新短編を併録。
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Posted by ブクログ
異国の血が流れるナジャは、首席として音大入学当初から有名人だった。
環境にも恵まれていて、生まれながらの才能を持つ、まさに音楽に選ばれた天才のナジャは
いつだって音楽のことを考えられたし、自由奔放で、人の気持ちになんて無頓着だった。
ぼくは凡人で2浪の末の入学だから学費もアルバイトで稼ぐ日々で、音楽のことを考えるのはどうしても二の次になっていた。
だけどぼくは才能のあるナジャを心から応援していたし、傷ついてもなお、彼女に恋していた。
ゲイのルツ子とピアニスト志望のキムも交えて、
互いの成長とナジャとぼくの関係。
トンボは優しいなあ。凡人でありながら天才に嫉妬して自暴自棄になるわけでもなく彼女を嫌悪するわけでもなく、彼女に惹かれていく様子。
あたたかい。ルツ子もキムもいいキャラ。