あらすじ
性に耽溺し、政治に陶酔する右翼少年の肖像『セヴンティーン』。痴漢をテーマに“厳粛な綱渡り”という嵐のような詩を書こうとする少年と青年Jを主人公に、男色、乱交などあらゆる反社会的な性を描き、人間存在の真実に迫る問題作『性的人間』。現代社会の恐るべき孤独感を描いた『共同生活』。政治的人間と性的人間との交錯に、60年安保闘争前後の状況を定着させた3編を収める。
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Posted by ブクログ
今回も著者の問いが感覚的にわかりやすく面白い作品集だった。
3作品に共通して、「視覚」による拘束からの、逸脱や脱走がテーマに描かれている。
現在は、監視カメラやSNS等の「視覚の権力が」強いパノプティコン的な社会だからこそ、本作のような視覚からの逃避を目指す作品は痛烈に、現代社会への問いを提示するのでは無いか。
全部面白かったな。まじで。
Posted by ブクログ
『性的人間』の「痴漢は捕まって罰せられるまでが痴漢」という考え方や、『セブンティーン』の漠然とした不安から一時的に逃れるために自涜するところがすごく良かった。
ただ、最近は本を読めるタイミングが早朝か公園で子どもを遊ばせているのを横目で見ているときくらいしかないので、精神的にも環境的にもこの本を楽しめる状況というのがなかなか整わなくて読み進められなかった。
大江健三郎の積ん読はまだまだあるのでまた読み進めていきたい。