あらすじ
「あなたが天国へ行った瞬間を知ってたわ。だって真夜中にきたわよね、私の部屋に。ごめんねって泣きながら…」「兄弟、おれに黙って、なぜ先に逝った。バカヤロー!」親友の葬式で、勝手に死者との絆を強調する自己陶酔型の弔辞に嫌気がさした会社社長の本宮は、自分自身の生前葬を企画する。だが彼は知らなかった。妻の涼子が重い病に冒されて、余命幾ばくもないのを隠していることを……。
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Posted by ブクログ
自分の不倫相手がかつて妻の母が不倫をして滅びさせた家の娘であり、最終的に妻はその不倫相手に殺されるという話。よくできた小説。生前葬という考え方も面白かった。
生前葬は現役を退く際に実施するのがタイミングとのこと。
生前葬という考え方。
P26 ずっと会っていない方たちだけお招きして、再会するパーティーなんです。
P27 気がつくと、もうあの人は自分の人生から消えてしまったのだ、という別れがたくさんあることを知っておいていただきたいんです。その真実を意識していると、一期一会を心から大切にしていく気持ちになれるんですね。
P52 葬式は、そのセレモニーの実行のために遺族を忙しくさせて、悲しみを忘れさせるためにあるという効用を説く人間もいるけれど、むしろ身内は、悲しむだけ悲しんだほうがいいような気がする。
Posted by ブクログ
しばらくはミステリーぽくない物語。
社長を務める男の妻、愛人との関係が描かれていて、しょーもない男だなーとか思っていたけど、途中から一気に解き明かされる妻の過去と愛人とのつながり。ジッ…と復讐を待つ人間の執念深さにゾワっとできた。
Posted by ブクログ
「おわりに」までがストーリーだったんだなぁ。最終章の最後の最後で気付いてびっくりしたけど、どうするのが正解だったんだろう。難しい。おわりにの最後も気になるけど、命を絶つとは思えないから、純粋に弔いに行くのかもしれない。ドキドキしてる。すごいお話だった。
Posted by ブクログ
これはたしかに驚愕のどんでん返しミステリーでした。最後の最後までわからんところも語り口調で話が進んでいくところも、「バイバイ」って息子の敬が読んで終わるところも、これまあ面白い!
Posted by ブクログ
前半死ぬほど主人公が面白くないかつ読んでてストレスが溜まるので読むのをやめようかと思ったが、最後まで読んでよかった。この胸糞さこそ人間味を感じさせる気もするが、私は主人公を9割型好きにはなれなかった。
後半からの加速が読んでいて楽しかった。読みやすくはあった。
Posted by ブクログ
思った感じとは違った。
悪くはない。
お葬式でのひどい振る舞いには心底腹が立った。
でも途中から方向性が変わってきて。
涼子の若い頃の恋まで含めて息子の目についてしまった。
でもこれは、息子にとっては知っておいてもよい事実だったのか。
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「あなたが天国へ行った瞬間を知ってたわ。だって真夜中にきたわよね、私の部屋に。ごめんねって泣きながら…」「兄弟、おれに黙って、なぜ先に逝った。バカヤロー!」親友の葬式で、勝手に死者との絆を強調する自己陶酔型の弔事に嫌気がさした会社社長の本宮は、自分自身の生前葬を企画する。だが彼は知らなかった。妻の良子が重い病に冒されて、余命幾ばくもないのを隠していることを……。
Posted by ブクログ
最後の最後に、あまりに耐え難い「おわり」があります。
隠れたどんでん返し名作小説。
…の帯に惹かれて購入した1冊。
基本、それなりに厚くて、読み応えのありそうな本を買いたい派なんですけど(笑)。
通勤の電車内(わりと短時間)でしか読まなくても、2~3日位でさらっと読めてしまう本。
題名からして、生前葬に関するお話かと思われそうですが。
まぁ、古い友人の死を経験し、人生をリセットする意味での生前葬を考えた主人公の話ではありますね。
<以下、ネタバレです。>
傾きかけた親の会社を建て直す為、家庭を顧みずに仕事に没頭してきたワンマン社長の本宮。
親の勧めるままに結婚した妻との仲は冷え切っており、愛人をとっかえひっかえしてきたが、現在の愛人だけは、長く続いていて、結婚という形に拘らずとも、この先ずっと一緒にいたいと思っている所に、妻の病気を知り、動揺する本宮。
妻を理解する為に、今まで気にもとめなかった妻の生い立ちを知ろうと、妻の生まれ故郷に足を運ぶ事になり…。
そこで知ったのが衝撃の事実。
本宮の妻である涼子は過去に、妻子ある男性と不倫関係にあり、そのせいで男性の妻は幼い娘を残して自殺。
その後、涼子と男性は無理心中を計るが、亡くなったのは男性のみ。
という事実が分かった辺りで、ぴーんときますよね。
案の定、本宮の愛人の正体は、両親を亡くした幼い娘で、涼子に復讐する為に、本宮に近づいた訳ですよ。
ここまではありがちな展開ですけど、最後の最後はちょっとびっくり。
この話、みーんな不幸ですね。
本宮息子の言い分も分かるけど、そもそも、そういう事になった原因は涼子だろう! という気がしないでもない。
話としては面白かったけど、スッキリするようなしないような。