【感想・ネタバレ】もしもし、還る。のレビュー

あらすじ

異様な暑さに目を覚ますと、「僕」は砂漠にいた。そこへ突如降ってきたのは、ごくごくありふれた電話ボックスだった。――いったいなぜ? 混乱したまま電話ボックスに入り、助けを求めて119番に電話をかける。だが、そこで手にした真実はあまりにも不可解で……。過去と現在が交錯する悪夢のような世界から、「僕」は無事に生還することができるのか。ミステリアスな傑作長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ジャンルをどう表したら良いのだろう。SF?ミステリー?その両方か。
目が覚めたら唐突に沙漠、しかもどうやら現実ではないらしい空間。ここは一体何なのか?に終始するかと思いきや、話は主人公の過去に繋がっていく。
SFな部分はどこまでも理解不能なものであり続け、しかし現実の謎に対して答えを与えていく。分断されているようですべてが繋がっているという感覚が、物語の展開とも重なり、不思議な感動のようなものを覚えた。

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2017年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スリリングな展開や、少し不思議のSF設定、ミステリー仕立ての流れが良かった。

電話ボックスが不気味で超時空的なモチーフとして効果的。スマホや携帯、パソコンでは、この回顧と現代が交錯する切なさは出ない。

エンディングが「生」と「死」どちらに転ぶかで、この作品が駄作になるか良作になるか決まる、と思って読んでいた。
全体に立ち込めるペシミスト、アイロニー、空虚感から、「生」でないことを願いながら読んだ。「生きる希望を見出して前を向く」結末なら、あまりに陳腐で三文芝居。だか、そこはある程度期待通りでよかった。多少予測のつく結末でありながら、表現は退屈にはならず、まぁまぁよい。

気になったのは人物像。もう少し深みのある描写をしてほしかった。
年齢や「セックスフレンド」の設定、デートのシーンや会話の端々…それらが短絡的で、エンタメ小説のチープさを感じて興醒めさせる。
描写されていないバックボーンまで想像を膨らませ、登場人物それぞれに自分の過去を重ね合わせられるような描き方があればなお良かった。

伏線は右往左往に撒き散らしてあるのを回収するので、何度も読み返した。それはマイナス点ではなく、星と星を繋ぎ合わせて浮かび上がる星座のような構成で楽しめた。

忘れた頃にまた読みたい。

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

白河三兎は『私を知らないで』に続いて二作目。
粗いけど、「砂漠」という設定も最後まで読めば意味があって、面白い。
しかし何より、『私を知らないで』同様、タイトルが秀逸。



「私はひた向きに愛し続けた。割に合わないこともたくさんあったけど、見返りなんて求めていなかった。ただ心の赴くままに愛したい人を愛しただけ。」

「自分で真実を見つけろ。真実は自分の中にしかないんだから。あるジャングルの奥地で暮らしている原住民たちは市h急が平らだと信じている。でも彼らは丸い地球の上で穏やかに暮らしている。彼らには『地球は平らだ』っていうのが真実であって、それに満足して過不足なく暮らしている。
 彼らの真実心にこそ真実があるんだ。」

「今、こうしている間にも砂漠が広がっているのをシロは感じることができる?」
「できない」
「それと同じこと。見えた時には手遅れなのよ」
「僕はどうすればいいんだ?」
「私としっかり手を繋いでいれば平気よ」


「そしていか僕の背中に手をかける。逃げ切れないのだろう。なら、振り返る必要はない。見えないものの正体を探そうとするのは、時間の無駄だ。
 振り返る暇があるなら、少しでも遠くへ逃げよう。一歩でも遠くへ逃げて、一秒でも長く平穏な生活を送ろう。」

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2014年02月27日

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