【感想・ネタバレ】ニシノユキヒコの恋と冒険のレビュー

あらすじ

ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ……。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、傑作連作集。

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特に目立つわけでもないけれど、なぜかモテる男性っていますよね。ニシノユキヒコはまさにそんな男。モテすぎるがゆえに、交際~浮気~別れをエンドレスで繰り返す。そんなニシノユキヒコの人生を、彼に恋したりされたりした女たちの目線から語り継ぐ物語。しかし、ニシノユキヒコは読み終わってもどこかふわふわした存在のままだ。ただ、確実にわかるのは「本気で誰かを愛すること」を理解していないという部分だけ。モテまくってはいるけれど、彼の人生に本気の愛があったのか。そもそも恋とか愛ってなんだろう。考え出すと不毛なテーマだからこそ、考えずに身を委ねて読んでみてほしい。
モテすぎる男の一生なんて、さぞスキャンダラスな物語になるんじゃないかと思いきや、川上弘美にかかればまるで深夜のお茶漬けのようにさらさらと心地よく、そしてどこか寂しく描かれる。さすが、くまと散歩にいったり、女になった蛇と暮らす話を描いてきた小説家。非日常をあっさり自然に日常へ流し込む技術にうっとりしてしまう。
竹野内豊さん主演の映画もかなり気になるところです。(書店員・えい子)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

魔性の男とその周りの女性たちとの話。
高校生の頃から死に際までニシノという1人の男について書かれているけれどずっと掴みどころがなくて、掴むものがないようなそれこそ空っぽともとれた。それでも一つ一つの話で女性たちと関係をつくろうとしていくのは素敵なのに似たようなことが無限に起きてる。
現実にいたらクズ男なのだけれどどこか憎めないのがニシノという男。
面白いかどうかは分からないけれど、私はニシノのような男が出てくる少女漫画とか好きですし、悲恋も好きなので満足感がありました。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

モテ男ニシノユキヒコの女性遍歴を、女性たちの側から語る本作。

男の側からすると、くっそぅー、あんなに沢山いい思いをしやがって、と一瞬思う。ただ、読中からその思いは消え、おかしみ、あるいは哀しみの情へと変化してゆく。

・・・
この主人公ニシノ氏は人を愛せない。

いや、もちろん、愛していると口にはする。でもそう感じられない。優しいし、偉そうでなく、夜の営みもお上手、ガツガツしていない。

ウォーターベッドやビーズクッションのように優しく気持ちよく包んでくるけど、どこか相手に対しての真摯さが感じられない。

それを本人も、そして相手の女性側も理解してゆき、最後に別れを切り出される。

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終盤でニシノ氏が心中をほのめかすのも、分からないでもない。

だってほら、人を求めず求められもせずっていうのは、寂しいし。自分が本気でないことを自分も気づいちゃうんだろうな。

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全くモテなかったけど、求める相手がいて、求められてもいてっていう奇跡が起こってよかったかなと思いました。

・・・
ということで川上弘美氏の作品は初めて読みました。

作中はひらがなも多く、フォントもたおやかな感じ。そこはかとなくユーモアが漂い、ほのぼのとしています。とてもやさしく柔らかい、それでいて輪郭のある文章だったと思います。
こういう書き味、好みかもしれません。

今後も川上氏の作品、渉猟してゆきたく思います。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どーしようもしょうがないニシノユキヒコ君と、彼を巡る女性達のお話。
と、読む前にあらすじを眺めて、もしかしたら「悪女について」ばりにどろんどろんしたお話かと戦々恐々しつつ開いたのは内緒。
そしてどうしようもなさ加減に脱力。
もし目の前にニシノ君がいたら、もーほんとダメな人だなぁ!って背中ひっぱたいてるかも。

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2025年05月28日

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