【感想・ネタバレ】累(11)のレビュー

――クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、歴史は変わっていたかもしれない。

こんな名言が誕生するほど、昔から議論の的となっている「美醜」。
この作品は、美しかった大女優の母・淵 透世と違い、醜い容姿で周囲からいじめられている累(かさね)が、母に託された口紅の不思議な力で他者の顔と入れ替わり、望みを叶えていく物語。
口紅という変身アイテムに「テク○ク○ヤコン」的なキラキラ魔法変身少女を期待すると、大きくしっぺ返しを食らうのでご注意を。

累が葛藤するたびに母の幻影が現れ、悪魔のような囁きを続ける。さらに一度覚えてしまった「人に羨望のまなざしを向けられる快感」は、麻薬のように累を虜にし、次の欲望を生み出す。
累の名前は江戸時代に流布した「累ヶ淵」という怪談を彷彿とさせ、物語に登場する人々の執念は底知れぬ淵にも似たものがある。
累の絶望を知ってなお、「人は見た目じゃない、心だ」と言えるだろうか?

作者はまだ新人とのことですが、これが初連載作とは思えないほどの構成力で、特に目力が素晴らしく引きこまれます。表紙の美しい瞳に魅入られたら、ぜひ。

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感情タグBEST3

ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年11月24日

新しい演劇は世界公演が決まるなど順調に進む
累はこの演劇は母をモデルにして作ったものだと気づく
本番で最後に希望を指し示して終わるところを、限りない絶望で終わらせる解釈をする
(舞台から落ちてしまう)
幾と野菊の策略により野菊は逃走
幾の女優魂に圧倒され、累は美しい自分・醜い自分
そのどちらも自分で...続きを読むはないと思い詰め、失踪してしまう
自殺の直前に記憶が蘇り、母の記憶をたどる

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購入済み

怖いね

Ken
2017年07月03日

 読んでいてまず怖くなる。そして主人公の時間が足りなくて,こっちが焦る。それが巻にすすむに従って読者の心理を追い詰め,どんどん酷くなる。これからどうなるのか,全く予想が付かず,終わりが見えない。
 書評とかで「累」が上がることは無いが,これほど期待させるマンガは無いと思うのだが。確かに4巻め位まで...続きを読むは,「それは虫がよすぎる」というところはあったが,作家と編集者のタッグがよいのか,どんどん期待させるマンガになった。出版社と編集者が作家の才能を信じて良書になったのだと思う。「累」は未だ終わりが分からない「宇宙兄弟」「ヴィンランド・サガ」と共に楽しみなマンガである。

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Posted by ブクログ 2017年06月23日

相変わらずとても面白かったですが、本編は最終章に突入しているそうなので、もう少しで終わりかと思うと寂しいです。
でも、累がどうなっていくのか見守っていこうと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年07月13日

元々の知識の無さも相まって、1巻からずっと読んできても、いまいち演劇というものがよくわからなかったけど、星・ひとしずくの「この身(姿)がどう変わろうと、私が私であることに変わりは無い」という台詞で腑に落ちた。なるほど。演者による解釈の違いでこうも物語は変わるのか。すごい。
にしても五十嵐幾、やはり好...続きを読むきになれない!とはいえ、確かに一番最初に累を"視た"のは、野菊でも羽生田でもなく、幾なんだよなあ。
ここにきて漸く、本作のメインテーマ「自分とは何か」について描かれる。累が向き合うアイデンティティ。美醜の先にある"本当の自分"。どうやら累は小さな光を見つけた様子。これがバッドエンドに繋がらないことを願う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年11月15日

幾先輩わりと簡単に天ヶ崎さんに協力したなー。誰しもが、あなたみたいにくもり無く真っ直ぐ生きられるわけじゃない。とか結構印象的だった。幾先輩いい人だけど、野菊の言った、自分のしたことは正しいと思ってる人いるよなーと思ってしまった。今まで累や野菊の側面で読んできたからか、幾先輩のしていることが偽善っぽく...続きを読む感じちゃう。自殺しかけた累を止めた母親の言葉ってなんだったんだろう。もう最終章に入ってるようなのでこの先が楽しみ。

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