あらすじ
日本の歴史は、地震の歴史だと言っても過言ではない。人の記憶になく、文書に記述がないからといって、地震が存在しなかったと速断するのは大きな間違いと言えるだろう。本書は、「地震考古学」を確立した著者による、日本歴史を地震の連鎖として描く異色の読み物である。巻末に、東日本大震災に関連して、現在の日本列島と共通点が多い九世紀の地震活動を増補し、地震活動活発期にある日本の備えを考える。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本人はまずは地震・災害の歴史授業をすべきでは無いか…。対岸の火事なんかじゃない、連動して起きる災害を俯瞰で冷静に理解しておくことが大切。勉強になった。
Posted by ブクログ
日本のどこにいようが、日本に住んでいる以上、地震にあわずに済むということはあり得ない…ということは、東日本大震災以降特に肝に銘じていたつもりだが、この本を読んでだめを押されたように思った。
自分はずっと東日本に住んでいるので、関東大震災のことや、これから起こるとされる東海地震のことについては子供のころから聞かされたり考えたりしているが、この本を読んで自分の認識不足を痛感したことと言えば、琵琶湖の周りに多くの断層が存在し地震も頻発していたということ、それから天正地震について、とても大きな地震でありながら、意外と詳細がわかっていないこと。また、近現代の地震は、地元の人は別として、一般にはあまり知られていないことも多いのではないか(特に太平洋戦争中の地震)。
マスコミなどは南海トラフや富士山噴火などをセンセーショナルに煽っているだけなので、やっぱり私たちはこのような本を通じて事実を事実としてきちんと受け止め、そこから学んでいかなければならないと強く思った。
Posted by ブクログ
地震考古学という新しい学問分野を拓いた著者による歴史書(地震含む)です。
同著者による平凡社新書の『日本人はどんな大地震を経験してきたのか』よりも,取り上げている考古学の事実が多く,やや詳しい説明があります。しかし,その分,『日本人は…』の方が読みやすいです。
個人的には1799年の金沢地震の内容を初めて知ったので,さらに調べてみたくなりました。
あとがきで「今の日本の状態は9世紀のころによく似ている」と言っています。地震への備えをする必要をさらにさらに感じました。
Posted by ブクログ
前から気になっていた一冊。3.11を期に最後の章が追加されたので購入してみた。恐怖を煽るような文面が多い今日、地震研究者の史実だけを淡々と語る姿勢に心魅かれた。引用される文献の記述に被災者の悲鳴を感じ、今まで読んだどんな地震の本よりも胸に刺さった。
京都は地震が少ないからお寺がたくさん残ってるんだよ、という話を聞いたことがあるが、この本を読むとどうやらそれは嘘のようだ。関東大震災の際、東京に火の嵐が吹き荒れたというが、それが国技館と江戸東京博物館の敷地にあった広場だったと分かり、何度も歩いていた道にそっと祈りを込める。
この本で「津波てんでんこ」という言葉を知った数日後、その言葉を広めた張本人の山下文男氏が亡くなった。
(本文同様、感想も淡々と語ってみた。)
Posted by ブクログ
地球の表面を覆うプレートがぶつかり合うところ。
その結果ひび割れ、隆起沈降が地形を形作っているのが日本列島だと頭では理解していても、自分の周辺にそれらが存在しているとの実感はなかなか持てないでいるものだ。
本著は数々の文献、調査から過去の地震の痕跡を取り上げ、日本列島の地震と歴史を語る。
短い周期の大地震に人々は注目しがちだが、1000年単位で考えると(それでも地震、火山の単位では短いが)日本の各地で被害を及ぼした地震は多く、再びそこで地震が起きないとは誰も言えない。
それが明日なのか1000年先なのかに関しても。