あらすじ
日本の歴史は、地震の歴史だと言っても過言ではない。人の記憶になく、文書に記述がないからといって、地震が存在しなかったと速断するのは大きな間違いと言えるだろう。本書は、「地震考古学」を確立した著者による、日本歴史を地震の連鎖として描く異色の読み物である。巻末に、東日本大震災に関連して、現在の日本列島と共通点が多い九世紀の地震活動を増補し、地震活動活発期にある日本の備えを考える。
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Posted by ブクログ
前から気になっていた一冊。3.11を期に最後の章が追加されたので購入してみた。恐怖を煽るような文面が多い今日、地震研究者の史実だけを淡々と語る姿勢に心魅かれた。引用される文献の記述に被災者の悲鳴を感じ、今まで読んだどんな地震の本よりも胸に刺さった。
京都は地震が少ないからお寺がたくさん残ってるんだよ、という話を聞いたことがあるが、この本を読むとどうやらそれは嘘のようだ。関東大震災の際、東京に火の嵐が吹き荒れたというが、それが国技館と江戸東京博物館の敷地にあった広場だったと分かり、何度も歩いていた道にそっと祈りを込める。
この本で「津波てんでんこ」という言葉を知った数日後、その言葉を広めた張本人の山下文男氏が亡くなった。
(本文同様、感想も淡々と語ってみた。)