【感想・ネタバレ】教育と平等 大衆教育社会はいかに生成したかのレビュー

あらすじ

戦後教育において「平等」はどのように考えられてきたのだろうか。本書が注目するのは、義務教育費の配分と日本的な平等主義のプロセスである。そのきわめて特異な背景には、戦前からの地方財政の逼迫と戦後の人口動態、アメリカから流入した「新教育」思想とが複雑に絡まり合っていた。セーフティネットとしての役割を維持してきたこの「戦後レジーム」がなぜ崩壊しつつあるのか、その原点を探る。

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Posted by ブクログ

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内容は難しい箇所があったが、刈谷先生の文章はわかりやすい。

「文部省=国家の統制によって、上からの力だけでこの<システム>が作り出されたわけではない。それを歓迎し、招き入れる下からの働きが呼応したことで、教育の画一化も、一元的な能力主義もその成立を見た(p269)

この日本独特の<システム>のキーワードがアンビバレンス。

読みごたえのある新書だった。

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2012年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後日本の教育史は「面の平等」といったキーワードを用いて説明できるとしている。

財政面の配分方法の分析から「面の平等」=個の平等ではなく「学級」単位の平等が標準法の制定のなかで実現したことや戦後の大きな地域格差のため次善の策としてとられた「学級」単位の平等が教育条件の均質化につながったことなどを示している。

その過程は上からの一方的な指導ではなく下からの自主的な動きも伴っていた。

単なる言説研究だけではなく統計的な手法を有効に使っていて説得力があった。特に筆者が「知られざる革命」とよぶ学校教育費の配分が逆進的なものから累進的なものへと変わっていくことを示した部分は非常に説得力があった。
教育論議でよく行われる単純な二項対立的な批判に対して歴史的な経緯を用いてそのような単純な構造ではなく良い面と悪い面を併せ持つアンビバレントなものであるとしていた。

0
2012年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
戦後教育において「平等」はどのように考えられてきたのだろうか。
本書が注目するのは、義務教育費の配分と日本的な平等主義のプロセスである。
そのきわめて特異な背景には、戦前からの地方財政の逼迫と戦後の人口動態、アメリカから流入した「新教育」思想とが複雑に絡まり合っていた。
セーフティネットとしての役割を維持してきたこの「戦後レジーム」がなぜ崩壊しつつあるのか、その原点を探る。

[ 目次 ]
プロローグ 平等神話の解読
第1章 対立の構図と問題の底流
第2章 戦前のトラウマと源流としてのアメリカ
第3章 設計図はいかに描かれたか
第4章 「面の平等」と知られざる革命
第5章 標準化のアンビバレンス
エピローグ 屈折する視線-個人と個性の錯視

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2011年04月01日

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