あらすじ
古来、暦は人々の生活に不可欠であり、その変遷をひも解けば、各時代の生活・文化・社会が鮮やかに見えてくる。日本人にとって暦とは何か。日本最古の暦から明治の改暦まで豊富な事例とともに語る暦のすべて。
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Posted by ブクログ
著者は、日本史、殊に暦についてを専門にしてきた人だという。
プロフィルによると、その道に進んだきっかけは、神武天皇の紀元の計算方法に疑問を持ったことだそうだ。
本書第二章にも、その話が出てくる。
ここか一番、目からウロコの話だった。
聖徳太子は、隋と対等な国交関係を築こうとして、中国で権威のあった「讖緯説」により建国の年代を定めた。
まだ若い国家だとして軽視されないよう、後漢の鄭玄の説に則り、当時(推古天皇九年)から、1260年遡ったところを神武天皇の建国と定めた、というのだ。
そのために、当時残っている伝承と整合的な説明が出来ず、国史の編纂者たちは混乱して、天皇をやたらに長寿することでつじつまを合わせたのだ、と。
それ以外にも、面白い話はたくさんある。
大学の日本史の講義で聞いた、明治の改暦も、聞いた以上に詳しく説明されていて、満足。