あらすじ
255基地から、命がけで脱出してきたキャッスルの分隊。非武装地帯クチンへ行くため、ボルネオの密林を抜けることになった。暗い森の中を、負傷者を運びながら歩く。だが、密林には、敵の狙撃兵がひそんでいた。こちらからは見えない、不気味な敵だ。一人また一人、仲間が死んでいく中、キャッスルたちは、前に進むしかなかった。23世紀の地球が舞台のサバイバル戦争。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「キル・ゾーン」シリーズ 第4巻
今回からは紙の書籍である。
レジスタンスの覇権拡大により、敵に前線の重要基地を奪われ、中核基地であるコタキナバルにも戻れなくなったキャッスルたち。エイゼンや脱出に一役買ったラファエルらも生きている。一行は、ひとまず中立地帯のクチンを目指すことになった、
ジャングルを這うような逃避行はつらい。負傷した人員が、次々命を落とす中、敵のスナイパーから標的にされてしまう。恐怖をわざと煽るような襲撃。
彼らは無事に密林を抜けることが出来るのか?
あいかわらずシビアな展開が続く。
ジャングルに潜み、視えない敵を警戒する。
尽きた食料の代わりに、蛇を食べる。
それは確かに怖いし、つらい。
しかし、本当に怖いものは別にある。
「こいつさえいなければ、もっと楽に行軍できる」
その、気持ち。
これだけ書けば、その言い分は、確かに身勝手なエゴに溢れているように見えるけれど。
味方を切り捨ててでも生き延びたい気持ちを、誰が笑えよう。この、重いが、ありそうな感情との対決。
そして、視えない狙撃手とエイゼンの対決が、本巻の白眉である。
エイゼンが、タバコを消すシーン……としか、今は書けないのだが、そのシーンのタバコの火の赤が、ずっと目の裏で残って消えない。
内側にある、さまざまな思いの火。
消えゆく時の、命の残り火。
どちらにも見えて。
そう長い話ではないのに、読むのに時間がかかった。
まるで行軍そのものに、かかった時間のように。
冷たい水を飲んで、息を吐く。
このまま一旦、読み進めよう。