【感想・ネタバレ】戦後和解 日本は〈過去〉から解き放たれるのかのレビュー

あらすじ

第二次大戦が終わり六〇年が過ぎ、戦争を直接記憶している人も少なくなった。だがいまだに戦争についての歴史認識をめぐり、近隣諸国との軋轢は絶えない。日本はいつ〈戦争〉の呪縛から解き放たれるのか――。一九九〇年代後半まで、日本軍による捕虜処遇問題で悪化していた英国との関係はなぜ好転し、ここにきて中国との関係はなぜ悪化したのか。講和の歴史を辿り、日英・日中の関係を比較し、和解の可能性を探る。

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Posted by ブクログ

世界大戦に無知すぎるのも問題かな、と。そう思って色々手に取るようにはしているけど、まだまだ全然ダメす。日英関係の歴史とかも全然知らんかったし、日中関係の根底にある問題も、殆ど理解できてない。その事実が分かっただけでも価値はあったし、無知に基づいたまま相手を悪く思う前に、理解するための努力が一層必要なんだと思いを改めました。

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2013年10月31日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
第二次世界大戦が終わり六〇年が過ぎ、戦争を直接記憶している人も少なくなった。
だがいまだに戦争についての歴史認識をめぐり、近隣諸国との軋轢は絶えない。
日本はいつ「戦争」の呪縛から解き放たれるのか―。
一九九〇年代後半まで、日本軍による捕虜処遇問題で悪化していた英国との関係はなぜ好転し、ここにきて中国との関係はなぜ悪化したのか。
講和の歴史を辿り、日英・日中の関係を比較し、和解の可能性を探る。

[ 目次 ]
序章 「戦後和解」とは何か
第1章 忘却から戦争犯罪裁判へ(神の前での講和;揺らぐ忘却―制裁の登場;勝者が敗者を裁く時代へ)
第2章 日本とドイツの異なる戦後(ドイツの選択;不完全だった東京裁判;曖昧化する日本の戦争責任)
第3章 英国との関係修復(日英関係に刺さった棘;さまざまな和解のかたち)
終章 日中和解の可能性

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年05月28日

Posted by ブクログ

二次大戦中に起きた出来事についての戦後の感情的対立は、法的には解決済みとされた後でも、日本に対する不信感や偏見の根拠となっている。
本書ではそれらのわだかまりを、未来のために、いかに解決していくべきか
敗戦国の日独が戦後選んだ異なる道、日英の和解例、そして、日中和解の可能性などについて触れながら、語られている。

筆者の選び抜かれた慎重な言葉が、
今の殺伐とした東アジアの空気に、無力に響くなあ、と思う。
優等生的で、相手を強く批判するトーンではなくて、
こういう感性って最近は流行らないんだろうな、と思う。
この本が出て10年、状況はずっと悪化してしまったと思う。
このトーンに、日本人が聞き飽きて、バックラッシュが起きてるのかもしれない。

「過去に根ざした感情対立の解決としての戦後和解のエッセンスは、
未来の平和と友好とを担保にした高邁な妥協である」

空襲や原爆投下などの戦争犯罪を不問にしながら欧米戦勝国によって一方的に裁かれた東京裁判の
あまりのいい加減さ、日本にとっては屈辱以外の何者でもない。
その屈辱が一部政治家たちの勘違いされかねない安易で過激な発言と、
首相の靖国神社参拝を後押ししているのだと思う。
中・韓の屈辱とは、まあ、言わずもがなだろう。

すべての国の屈辱が早く晴れればいい。
そのための「高邁な妥協」をそれぞれが出来るかどうか、
道は果てしなく長いと思うけれど(とりわけ相手が思うようにいかないという意味で)
日本と、アジアの国の傷つけられたプライドが癒されてほしいし
なんとか各国のメンツを立てる方法を探していきたいと思う。

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2014年08月03日

Posted by ブクログ

戦後和解のあり方について、歴史的な経緯を振り返りつつ、
日中関係を論じる一冊。
日英関係に関する内容が新鮮で、
イギリスにおける日本の捕虜問題の大きさを学べた。
読みやすく入門には適しているように感じる。

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2013年03月26日

Posted by ブクログ

 日本と「戦勝国」の戦後和解の模様を特に東京裁判を軸に論じている新書。色々と興味深く読ませて頂いた。ただ、ちょっと表現が時に意図的なのか、素直に書き過ぎているのか、論争的な問題を扱うにしては、注意不足な言い回しであったりするような気がする。全体として、妥当な主張、妥当な議論なので、本書がイデオロギー的な新書だと指摘される事はあまりないと思うが、その点が気になったのと、もう一つは、ちゃんと論文レヴェルでも典拠をちゃんとしないさいよという話。これはさ、「〜〜と受け取られた」とか「〜〜という印象を与えたはずだ」という場合も、少なからずそう思う根拠を明示しないと行けないし、捕虜等の当事者でもないのに、彼らの気持ちを代弁しているような表現が見られたりしたけど、そういう点もどうしてそう思うのか、エヴィデンスを提示しないとね。

 ただ、それなりに面白く、本書そのものというより、自分の研究の異なった側面に注目する機会を与えてくれたような気がする。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

2005年におきた日本を取り巻く国々で発生した出来事の中で、特に印象深い人が多くいただろうと思うのが、中国での反日デモの激しさだったと記憶している人も多かろうと思います。

著者は、この日中間の火種を解決して、現代における過去から解き放たれるのかどうかを論じています。読んでみて印象的だったのは、日中間の対立を論じるために日英間での戦後の確執や対立が1990年代になってようやく解消され始めた点に注目し、同じような時間を経過した同じ戦後の問題をどうして日英間では解決できて日中間では解決できないのかを明らかにしようとします。

読んだ感想としては、日中間の問題を解決するために紐解かれた日英間での関係改善にむけてなされた努力から得られた教訓を、日中間の問題にうまく適応できていない感があります。

ですが、日英間での戦後補償や謝罪にかかわる国家間問題がつい10年ほど前までぎくしゃくしていた事実をイギリス側からの視点で描いている点がまずは新鮮でよかったです。

当時イギリスの植民地だった東南アジアの国に攻め込んだ日本は、泰緬鉄道での重労働を通じた非人道的捕虜取り扱いをおこないました。そこでの経験が、実はアジアとヨーロッパという地理的も違い、もちろん文化や思考も違う国々とを共通の体験を通じて日本に対する批判や非難の意識を共有化させた部分などは、考えさせられるものがあります。

ですが、そうした精緻な日英間の研究を日中間での問題解消に結びつけるとなるとやはり難しいですよね。しかも、以前とは状況がまったくことなり経済でも政治面でも日本と中国が相競う状況になるときに、本来ならばそれらとは分かたれてかんがえられるべき歴史問題を同列で論じていることも気になりますし、同列で論じないようにするにはどうしたらよいかという点への言及もありません。

新書であるためにページに限りがあるのですが、肝心の論点の帰結となる日中間問題への応用可能性があまり感じられないので3点とします。でも日英間の戦後における和解プロセスについては大いに参考になりました。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

この春以来この手の本ばかり読んでいる。日本と中国の和解はいかにしてできるかを日本とイギリスとの個人レベルでの和解
を通じて提案する。イギリスの捕虜達が日本人に恨みをもつのはもちろん過酷な労役があったのだが、それ以上に自分たちより以下と思っていたアジアの人間に使役されたことの方が大きいだろう。また、中国の政府がその正当性を日中戦争での輝かしい勝利に頼っている限り、真の和解はできない、中国がそれ以上に晴れがましい成功を収める必要があるというのは理解はできるが、かなり先のことのような気がする。

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2009年10月07日

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