あらすじ
アメリカは、二億人を超えるキリスト教徒を抱え、その八割が「天地創造」を信じ、教会出席率・回心体験でも群を抜く保守的な宗教大国である。一九七〇年代以降、宗教右派が政治に参入し、レーガンの大統領当選に貢献するなど、表舞台に登場。二一世紀以降、ブッシュ、オバマは宗教票を無視できなくなった。本書は、世俗への危機意識からリベラル派が衰退し、保守化・政治化していく過程を中心に、アメリカの宗教の実態を描く。
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Posted by ブクログ
アメリカは良くも,悪くも宗教の国なのだろう。
キリスト教(プロテスタント,ローマカトリック),ユダヤ教、イスラム教,モルモン教
が5大宗派らしい。
それぞれにさらに細かい宗派があるようだ。
政治の保守化と宗教の関係が垣間見える。
Posted by ブクログ
いや、これは良書(と思う)。
中身は「アメリカと宗教」というより、「アメリカの宗教と政治の歴史」といった内容(宗教といってもキリスト教に偏っている)。日本人には馴染みがなく分かりづらい同テーマについて、日本人向けに浅過ぎず(退屈してしまうほど)詳しすぎず、非常によいレベルでの解説。いや、とても勉強になりました。この、宗教の影響がある程度でも見えていないと、米大統領選は見えてこないと痛切に感じる次第。
惜しいのは2010年の刊行のためオバマ政権までで終わっていること。叶うならばオバマ後つまりトランプ政権の宗教的背景についても著者の解説をお聞きしたいところ。
Posted by ブクログ
ブッシュとオバマの政権交代以降、アメリカの保守と革新の背景に興味を持った。大統領選挙からわかるように、海外沿いと南部、中西部ではっきり青(民主党)と赤(共和党)に分かれる。特に共和党の支持基盤であるキリスト教福音派の影響力がアメリカの政治を動かしている様子が見て取れる。
Posted by ブクログ
●内容紹介
アメリカは、二億人を超えるキリスト教徒を抱え、その八割が「天地創造」を信じ、教会出席率・回心体験でも群を抜く保守的な宗教大国である。一九七〇年代以降、宗教右派が政治に参入し、レーガンの大統領当選に貢献するなど、表舞台に登場。二一世紀以降、ブッシュ、オバマは宗教票を無視できなくなった。本書は、世俗への危機意識からリベラル派が衰退し、保守化・政治化していく過程を中心に、アメリカの宗教の実態を描く。
●目次
序章 アメリカ宗教概観
第1章 近代主義と原理主義の闘い―『種の起源』と高等批判
第2章 宗教保守化の背景―南部福音派のカリフォルニア流入
第3章 主流派とリベラリズムの隆盛―一九三〇~六〇年代の潮流
第4章 原理主義・福音派の分裂―新福音派・福音派左派の登場
第5章 政治的保守の巻き返し―ゴールドウォーターからレーガンへ
第6章 宗教右派の誕生―自閉から政治の世界へ
第7章 大統領レーガンと宗教右派の隆盛―一九八〇~九〇年代の政治との関係
第8章 共和党ブッシュ政権と宗教右派の結集―政策への関与と“失敗”
第9章 オバマ政権誕生と宗教左派―政教分離と左派意識
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●内容
アメリカは、二億人を超えるキリスト教徒を抱え、その八割が「天地創造」を信じ、教会出席率・回心体験でも群を抜く保守的な宗教大国である。一九七〇年代以降、宗教右派が政治に参入し、レーガンの大統領当選に貢献するなど、表舞台に登場。二一世紀以降、ブッシュ、オバマは宗教票を無視できなくなった。本書は、世俗への危機意識からリベラル派が衰退し、保守化・政治化していく過程を中心に、アメリカの宗教の実態を描く。
●目次
序章 アメリカ宗教概観
第1章 近代主義と原理主義の闘い―『種の起源』と高等批判
第2章 宗教保守化の背景―南部福音派のカリフォルニア流入
第3章 主流派とリベラリズムの隆盛―一九三〇~六〇年代の潮流
第4章 原理主義・福音派の分裂―新福音派・福音派左派の登場
第5章 政治的保守の巻き返し―ゴールドウォーターからレーガンへ
第6章 宗教右派の誕生―自閉から政治の世界へ
第7章 大統領レーガンと宗教右派の隆盛―一九八〇~九〇年代の政治との関係
第8章 共和党ブッシュ政権と宗教右派の結集―政策への関与と“失敗”
第9章 オバマ政権誕生と宗教左派―政教分離と左派意識
●感想
Posted by ブクログ
「宗教が政治とどのように結びついて、ここ一〇〇年のアメリカ社会に影響を与えてきたか」(p.269)を解説したもの。最近出た文春新書の『熱狂する「神の国」アメリカ』と内容が似ているが、文春新書の方が建国からの歴史、ユダヤ教なども含めて宗教全般を扱っているのに対して、こちらの方は二〇世紀の、宗教保守・原理主義の動きを中心に扱っている違いがあり、両者の内容はだいぶ異なる。
あやふやだった知識が少しずつ整理されていく感じがするが、それでも色んな政治家や牧師の名前が出てくるので、難しい。今回整理できたことは、まず政治的な保守・リベラルと宗教的な保守・リベラルが一致しないということで、p.259には「宗教と政治のマトリックス」が載っている。これを見ると、「政治的にリベラルだけど宗教的に保守」とか、「宗教的には保守だけど政治的にはリベラル」といった部分をちゃんと理解する必要があると感じた。同時に、保守やリベラルの意味するところが変わっていったことを理解するのも難しい。p.102には、「信仰を深める必要性から、人種差別・隔離と言った世俗社会の規範や政府の政策を支持する」のが保守で、「社会の改善によって神の国の到来を速める現世改革力を持つ人びと」がリベラルと呼ばれたが、公民権運動以降、「過激化する運動への積極参加を推進することの是非を問う人びとが、保守派と呼ばれ」、「人種差別・隔離という現実的な社会問題を迅速に解決するために運動に積極的に参加する人びとが、神学的傾向とは関わりなく、リベラル派と見なされる」というのがまた難しい。
宗教右派の成立については1970年代末、「保守的な福音派を動員し彼らの価値観や世界観を政治に積極的に反映させようとする利益集団を設立して展開する宗教・政治運動『宗教右派』(=『キリスト教右派』)の構想が誕生」(p.175)したということや、カトリックについて、「カトリックは基本的には人工妊娠中絶など声明に関する問題には反対を表明するが、積極的な社会政策には賛成で、民主党と共和党の間を行ったり来たりする浮動票である。」(p.242)など、断片的には色々分かった気はするが、結局全体像を把握する段階には至らず、もっと勉強が必要だと感じた。
あとは個人的なことで、たしか文春新書の方にも書いてあった気がするが、おれが二週間くらいホームステイしたカリフォルニア州のオレンジ郡、ディズニーランドもあるアナハイムというところは、かつての南部や中西部から移り住んだ保守的な人たちで形成され、かつては性教育の授業の是非をめぐる争いが起きる(pp.159-61)など、結構日本人にとっては怖いところなんだなということを改めて知った。(16/08/21)