あらすじ
経済学が難しいと思っている人が多いとしたら、それは出合いが不幸だったせいではないだろうか? 本書は、数式は一切使わず、縦書きで、これだけは知ってもらいたい経済学のエッセンスを厳選し、やさしく解説する。
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Posted by ブクログ
今まで経済学に触れたことがなく、初めて学んでみようと思った時に手にとって欲しい本。
内容としては、ミクロ経済学、マクロ経済学、ゲーム理論を扱っている。
実際の社会現象に対して理論を用いて経済学的な説明をしているため、経済理論のイメージがつかみやすく、
内容も簡単でわかりやすい。
是非読んで欲しいおすすめの本。
Posted by ブクログ
ニュースなどで何十回と耳にしながら内容のわからなかったいくつかの言葉の意味が(少なくとも読んでいる間は)わかりました。
高校の政治経済で暗記したキーワードをストーリーとして理解できるのがよかったです。
Posted by ブクログ
経済学の基本がざっと書かれてる本。伊藤元重さんの本は分かりやすい!!
・マクロ経済学・・一国経済を捉える枠組み
(物価,経済成長,景気変動などの経済変動の分析)
・ミクロ経済学・・個人,企業の経済的な意思決定,選択を解明する枠組み
(個別の産業や市場の分析,価格決定)
1973年 ①石油ショック(イスラエルvsアラブ諸国の第四次中東戦争)
②固定相場制(ブレトン・ウッズ体制)→変動相場制へ移行
固定相場制・・アメリカは35ドルと金1オンスを交換
日本は1ドルと360円を交換
↓
ベトナム戦争などでアメリカが金兌換廃止
↓
変動相場制
1979年 アジア通貨危機(タイ、韓国)
1985年 プラザ合意(それまでのドル高を是正するため)
日本への影響:円安→円高、金融緩和
☆アダム・スミス(スコットランド、「国富論」1776)
それまでの重商主義を批判して自由主義を擁護。海外と自由に貿易することで国民の経済利益が高まり富も拡大する。「神の見えざる手」によって市場は調整される。個々の経済主体が自分の利益のままに動くこと自体が、経済活力の大きな源泉になる。
☆デイビット・リカード(イギリス)・・・比較優位!(自由貿易は各国が得意な分野に特化していくことによって、相互に経済利益をもたらす)
☆フリードリッヒ・リスト・・・産業保護論(幼稚産業保護論)後発国は一時的に自国の産業を保護し、産業の戸からを蓄えることによって競争力をつけるべき。
☆ジョン・メイナード・ケインズ(「雇用・利子及び貨幣の一般理論」)市場に政府が介入し、財政政策や金融政策を展開すべき。
GDP=消費+投資+政府支出+純輸出
名目GDP(物価の動きが含まれている)
↕
実質GDP(物価の動きを調整をしたデータ)
GDPに占める「消費」・・日本では60%くらい。
消費性向=消費額/可処分所得
貯蓄性向=貯蓄額/可処分所得
消費性向+貯蓄性向=1
寄与度・・・需要サイドのGDPの動きを見る手法
↕
成長方程式・・・供給サイドのGDPを見る手法
金融緩和政策・・利子率を下げる、貨幣量を拡大する
金融緩和→利子率低下→投資の拡大・消費の拡大→GDPの増大
財政政策・・政府支出の拡大、減税など
消費者物価指数:消費者が日々の生活の中で購入する様々な商品の価格の平均の動きをとったもの
交易条件:日本が輸出する財の価格を輸入する財の価格でわったもの(高ければ交易条件が改善し、好ましい影響)
ゲーム理論:相手の反応を読む
(「囚人のジレンマ」・・それぞれが自分にとって合理的な行動をとった結果、相手に対して好ましくない影響を及ぼし、両者の行動の結果として、両者ともに好ましくない状況に陥ってしまうこと)
ロビーイング:産業が業界団体を通じて、政府への働きかけを行う活動
コミットメント:相手が行動をとるよりも前にまず自分が先手をとって行動を起こし、相手の行動を自分にとって好ましい方向に変えてしまうこと
Posted by ブクログ
タイトル通り、経済学を始めて学ぶために書かれた本である。
文庫本サイズであるものの、分かりやすさと内容の難しさのバランスが絶妙で、経済学ってこんなに分かりやすくて楽しいんだ!と思える本である。
上巻では、経済学とは何かということから歴史・応用に簡単に触れている。続いて、GDPを考える・日本経済の分岐点(?石油ショック?レーガノミクスからプラザ合意?バブル形成と崩壊)を考察することでマクロ経済を学べる。そして、民営化というスタートから市場メカニズムを考察し、最後にゲーム理論を簡単に学ぶことでミクロ経済学を勉強できる。
さっきも書いたが、現実に起こったことに基づいて経済学を学ぶ上で重要な部分に触れていて非常に分かりやすい。経済学を本格的に勉強しようかなと思っている人の導入や、就活前及び新社会人が教養として読むのに非常に適している。
Posted by ブクログ
(上)とあるので、(下)も読んでからと言う感じもしますが、章立ては連続ですが、実際の本は独立的な内容なので、感想も独立して書いてみます。
先日、「初心者のためのやさしい経済学」を読みましたが、この本は経済学の基礎中の基礎(実は何が基礎かもわからないけど)だと思われることを、見開きという限られたスペースで説明した本でしたが、こちらは同じ経済学を扱っていても、実際の日本経済の歴史を見たりゲーム理論で、経済学が何を学ぶ学問かと言うイントロダクションとなっている感じです。難しい数式などは出てきませんが、過去に起きた出来事がどういうつながりになっているのかと言うことを知る上で大変勉強になる本です。
囚人のジレンマのゲーム理論の話は「初心者のためのやさしい経済学」にも出てきましたが、それがどう経済学と結び付くのか、また実際の企業戦略としてどうなのかという点まで、この本では具体的に説明されていて、郊外に(福井もまさにそうで、不思議だったのだけど)不必要に大きなショッピングセンターができるわけがわかってすごいなあって感心したわけです。
いずれ下巻も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
経済学を深掘りしないでサラッとコンパクトにまとめているようです。
経済史は面白そうなので別の書籍で知識を得ようと思います。
ゲーム理論における「囚人のジレンマ」は興味深く読ませていただきました。
下巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
わずか200ページ弱の新書の中に、「マクロ経済学」「ミクロ経済学」「経済学史」「戦後日本経済の流れ」「ゲーム理論」という5つのトピックスを織り込み、平易に面白く読ませるというのは、これだけ見ると至難の業に感じられるが、それに成功しているように思う。もちろん、このボリュームだと、それぞれについての詳しい説明は不可能なので、エッセンスしか書かれていないが、書かれている範囲で完結していて分かりやすい。
私自身は、「経済学史」と「戦後日本経済の流れ」のパートを面白く読んだ。
Posted by ブクログ
とっつきにくい経済学。
でもそれをきちんと説明してくれる。
非常に面白い。
実学とまでは行かないかもしれないが、
生活するうえで知っておいたら絶対役立つ
社会の要。流れる財のルール。
どのような原理が働いているのか、
どのような関係、機能がどこにどのようにあるのか、
そしてそれらによって現在の社会が
どのように動いているのか。
この読後、ニュースを聞けば、
寡占の動きへの危機感、
日本という国の比較優位(いわば産業のポートフォリオ)が
何なのか、
そして理想状態と言われる
「ナッシュ均衡」も興味深い。
面白い。
Posted by ブクログ
経済の基礎的な内容が網羅されていた。個別のトピックに対する深掘りというのはほとんどなく、物足りなく感じる点もあるかもしれないが、この一冊を足がかりに興味関心を広げていけば良いと思う。特筆すべきは4章まるまるゲーム理論に割かれている点。大学講義の導入レベルの知識は得られるので一読の価値があると思う。
Posted by ブクログ
中小企業診断士の経済学がなかなか理解できなかったので、本書で改めて概念を理解することにした。確かにわかりやすい。ということで、この理解をベースに再チャレンジです。
Posted by ブクログ
伊藤先生によるわかりやすい経済学。
アダム・スミスからケインズまで経済学の発展の歴史をまず学び、そこから理論へと移ってゆく。
もっとも面白かったのはゲーム理論・「囚人のジレンマ」という簡単な理論で様々な経済現象が説明できるのは面白い。
A社とB社という2社しか存在しない市場においては、2社が協調した方が互いに利得を得られるにもかかわらず、互いに競争してしまうのは何故か?といった問題も「囚人のジレンマ」で説明できる。なかなか面白い考え方だ。
Posted by ブクログ
経済の重要な概念を分かりやすく説明した良書。数式がないので、数学に苦手意識を持つ人にも優しい。
内容が若干古いので、最新版のアップデートを期待したい。
Posted by ブクログ
タイトル通り、経済学の初心者向けにマクロ経済学・ミクロ経済学について分かり易く書かれた良書。
分かり易すぎて、ちゃんと頭に入ったかしら?と思っても、読み返すのが苦にならない文庫本であるのもまた良い。
私が生まれた1970年代前半から現在にかけて、日本経済にしても世界経済にしても、さまざまな変化があったことを改めて実感した。自分の人生と、世界経済を重ね合わせて振り返ることができるのは、年齢を重ねた醍醐味だろうか。まだまだちゃんと理解できていないことは多いが、経済を学ぶことは面白いと思う。
Posted by ブクログ
日経ビジネスアソシエ2月号の特集「今、知るべき教養」で紹介されていた一冊。
平易に経済学の基本が記載されているので、本当に経済学をはじめて学ぶ人にはうってつけの本だと思います。
【サマリー】
1-1 経済学は身近な学問
・1973年の石油ショックと変動為替制による物価上昇(インフレ)
・1990年代のデフレ・スパイラル
・為替レートの(円安、円高)影響。トヨタ・Panasonicなどは1ドルあたり1円の上昇で数十億~100億円に近い利益が吹っ飛ぶ
1-2 経済学の活用
・IMF:
国際通貨システムや各国のマクロ経済の安定を目的として設立された。
経済危機に陥った発展途上国への融資機関の役割も担う
融資条件は、大胆な規制緩和と赤字を出さないような厳しい財政規律
(ワシントン・コンセンサスという)
1-3 経済学の思想の発展
(1)自由貿易か保護主義か
アダム・スミス(『国富論』)
保護主義を前提とする重商主義を批判
イギリスの穀物の輸入に制限をかける政策を巡って対立
自由貿易を重視。
利己的な利益を求めて個々の経済主体が動いたとしても、価格という調整機能によって、社会全体に秩序が生まれる
→夜警国家の思想へ
デビッド・リカード
比較優位の考え方
・限られた資源を得意な産業に集中
・不得意な産業で生み出される財やサービスについて輸入する
フリードリッヒ・リスト(ドイツ)
産業保護論
後発国のドイツとしては、一時的に自国の産業を保護し、産業の力を蓄えることによって競争力をつけることが重要
(2)ケインズ革命とマクロ経済政策論争
ケインズ
1930年代の大恐慌が背景
政府によって積極的な財政政策や金融政策の展開が必要
古典派(小さな政府を支持)への批判書となる
ミルトン・フリードマン
マネタリスト(新古典派)
経済への政府の介入を強く批判
2-1 GDPとマクロ経済
(1)GDPの意義
・成長率を図る
・他国との比較を図る
・一人あたりの生産性を図る
(2)名目GDPと実質GDPの違い
名目は、インフレ・デフレ率は勘案されない
(3)GDPの構成要素
家計部門(消費)
・GDPに占める割合が大きい
・重要指標-消費性向(消費額を所得で割った指標)
・日本の消費性向は低い(貯蓄に向かいがち)
企業部門(投資)
・景気への直接的な影響を与える
・在庫投資(生産の積み増し)設備投資、研究開発投資などがある
・利子率、為替レートに大きな影響を受ける
政府部門
・景気の調整弁となる
海外(輸出-輸入)
(4)需要と供給
需要が着実にあること、供給能力を越えないことがGDPの拡大には必要
・供給サイド
労働、資本、土地などの生産要素がどれだけ利用可能であるかということが大事
技術水準も供給能力に影響を与える
(5)政策
財政政策:公共投資 or 減税 +国債発行
3-1 石油ショックと変動相場制
1973年:
・第一次石油ショック
イスラエル対アラブ諸国の第4次中東戦争
OPECを通じて、世界の石油産出量のコントロールを強める動き
重厚長大産業(鉄鋼、造船、石油化学など)の衰退
軽薄短小型産業(エレ、精密機械、自動車など)の資源利用の比較的少ない産業へシフト
・変動為替相場への移行
固定相場制(ブレトン・ウッズ体制)の崩壊=ニクソンショック
1ドル360円から、円高へ
・狂乱物価(悪性のインフレ)
田中角栄の日本列島改造論
各地に巨額の公共投資 → 不動産価格や諸物価の高等
マネーサプライの急激な増加 → 物価上昇
3-2 レーガノミクスからプラザ合意
1970年代後半:米国はスタグフレーション状態
1980年:レーガンによる小さな政府の政策。積極的な減税と民営化、規制緩和の徹底
財政収支の急速な赤字拡大
↓
急速なドル高、円安 → 日本企業による輸出攻勢
米国の金利上昇 → 世界的な債権の金利上昇
↓
新興国(ラテンアメリカ諸国、韓国、フィリピン)における累積債務問題の表面化
↓
ドル高を是正するための為替介入を各国で協調して実施(プラザ合意)
3-3 日本バブル
90年代中頃 住専金融機関が経営破綻
90年台後半 拓殖銀行、山一證券、日本長期信用銀行などが破綻
4-1 民営化、規制緩和
民営化から市場原理が見えてくる。
例えばJR東日本(国鉄時代の不合理性)や電電公社
↓
市場原理に従えば適切な資源配分が行われる
(市場メカニズム、価格メカニズムが重要)
ただし、独占寡占による歪みや外部効果(外部不経済:温暖化など)、情報の非対称性を勘案する必要がある
Posted by ブクログ
難解な表現も一切なく、初学者にとって経済学の基礎的フレームワークを学ぶのに非常に分かりやすいエントリー本。ゲーム理論についてはかなりのページ数を割いており、紹介されている著書もよんでみたくなった。下巻もチェック予定。
9/20/14再読
Posted by ブクログ
タイトルの通り経済学の入門書なので、自分のように体系立って経済学を学んだことのない人間には非常に助かる。
GDPとか、需要曲線・供給曲線はそれなりに分かっていたつもりだけど、経済学史や、戦後以降の日本の経済史も分かりやすくまとめられていて、「あー、この人がそうか」「あー、そういうことか」と思える。
最終章のゲーム理論についても、もう少し、別の本も読んでみたいなと思わせてくれた本です。
Posted by ブクログ
豊富な実例を通して、経済学を身近なものにしてくれています。
悩むことなく、すいすい読めました。
あー、そういうことだったのか、と何度も腑に落ちました。
インフレ、デフレと失業の関係、
GDPの分解(消費、投資、政府支出、輸出入)、
実質GDPに果たす供給サイドと需要サイドの影響、
乗数効果、
財政金融政策の役割、
経済事象である石油ショック、変動為替の導入からプラザ合意、円高、グローバル化、バブルとその崩壊などの歴史的、社会的な意味、
為替レートと日本農業の競争力、
民営化、規制緩和の意義、
需要曲線と供給曲線の見方、考え方、
計画経済の破綻の原因、
市場の失敗
など分かっているようで分かっていなかったですね。
また、最終章のゲーム理論はいささか唐突な構成ではありますが、裏切りやコミットメントなどは初めて聞いたような気がしますので、得るものはありました。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
本書は、経済学のこれだけは知っておきたいエッセンスを、雇用、地球環境問題、出店戦略などの事例を交えてやさしく記述。
上巻では、ミクロ経済学、マクロ経済学、ゲーム理論など経済学の基本を解説する。
経済学の考え方を現実に即して学ぶために、石油ショック、円高など現在の日本経済を方向付けた事件についても解説した。
[ 目次 ]
1 経済学とは何か(経済学は身近な学問 経済学は実際の世界でどのように利用されているのか ほか)
2 経済を大づかみに捉えると―マクロ経済学の基本(GDPを中心にマクロ経済を考える GDPを分解してみよう ほか)
3 日本経済を変えた三つの分岐点―マクロの視点で考える(構造変化の原動力―石油ショックと変動相場制 グローバル化のきっかけ―レーガノミックスからプラザ合意まで ほか)
4 市場の原理を理解する―ミクロ経済学の基本(なぜ民営化、規制緩和をするのか? 市場メカニズムを科学する ほか)
5 ゲーム理論の考え方(重要性を増すゲーム理論 エッセンスは二つ ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
『まっとうな経済学』や『ヤバい経済学』を読んだのですが、少しかじってみるかなと思ってまずは日経文庫から手を出してみました。
本書の中で、この数十年の日本の為替やら、株価やら、地価やらが参照されて"わかりやすく"経済学の考え方が説明されていますが、あらためて浮き沈みってはっきり出るもんですなあ、と納得しました。
まあ入門書というところなんでしょう。数式も少なくて、分かりやすいことは分かりやすいですよ。
Posted by ブクログ
タイトル通り、履修前、一番はじめに読んだ経済学の本がこれ。
これを読めば、数学がまったくダメなひとでも経済学が身近に感じられてしまうでしょう。サイズが小さいので通勤通学中にも読めて、便利。脳みそへの負荷が小さいので眠いときでもだいじょうぶ。
Posted by ブクログ
大学の授業では時間割の都合上、経済学を履修できないため本でちょっとだけかじる。
この本はその初めの一冊であり、大学生になってから読んだ記念すべき第一冊目。
タイトル通り、初めて経済学を学ぶ人にピッタリの本で、需要・供給曲線など高校の時に習った「現代社会」で聞いたことのある話がいくつもでてきた。大学生・高校生はもちろん、中学生でも読めそうな程わかりやすく経済学について教えてくれる。経済学への導入本として相応しいかどうかは本格的に経済学をやってからでないとわからないが、とにかく気軽に読めるので少しでも興味がある初学者におすすめ。…逆に、少しでも経済学に触れている人にとっては退屈かも知れない。
上巻は大きく4つに分かれている。まず、インフレ・デフレの説明から始まって経済学の実際の世界での利用を紹介し、アダム・スミスやケインズなど経済学の思想を通じて「経済学とは何か」を教えてくれる第?章。次の第?・?章ではGDPや需要・供給を中心にして「マクロ経済学の基本」を紹介し、石油ショック・変動相場制・レーガノミックス〜プラザ合意・バブルにおけるマクロの視点で見た日本経済の変化が学べる。同じく第?章で今度は市場メカニズムを解説して「ミクロ経済学の基本」が紹介されている。最後の第?章で主に囚人のジレンマとナッシュ均衡を紹介して「ゲーム理論」について触れている。
自分が最も興味をもったのは最後のゲーム理論の考え方について。囚人のジレンマ(…という名も初めて聞いた…恥)はごくごく基本で、紹介されていた事例も単純なものだそうだから、今後別の本でゲーム理論への理解を深めていけたらな、と思う。
…ちなみに、代ゼミの超人気数学講師・荻野先生の話の一つに「信頼(WIN-WIN)」があるが、それについて話すときに囚人のジレンマを元にして説明をしてくれたことがあった。
Posted by ブクログ
テレビ東京系の番組「ワールド・ビジネスサテライト」のコメンテーターを務めていた著者による、経済学の入門書です。上巻では、ミクロ経済学とマクロ経済学の基礎のほか、ゲーム理論も扱われています。
ミクロ経済学とマクロ経済学の解説に関しては、本書で扱われるのはごく初歩的な内容に限られています。その一方で、現代の日本経済の流れを分かりやすく説明するなど、初心者にとって親しみやすいような工夫がなされているように感じました。また、ゲーム理論についても1章を割いて、そこでどのようなことが問題になっているのかを印象に残るような例を引いて説明しており、ユーザー・フレンドリーな入門書だと思います。
Posted by ブクログ
忘れている事も多く良い復習になった。経済学の基礎が簡単に書かれていて分かり易い。『経済財政白書』等を実践として読むといいだろう。
GDPの構成要素を需要サイドで見ると消費(最も巨大な支出で全体の60%を占める)、投資(最も激しく変化する)、政府支出(景気の調整弁)、輸出・輸入である。経済的な指標で考えるならまずその国のGDP関連を詳しく見ると色々分かる。その国が一年間に生み出す付加価値、一人あたりGDP、消費者物価指数の変動、投資指数の変動、輸出・輸入品目の構成(公易条件)、GDPデフレーター(名目GDPから実質GDPに評価しなおすための指標)、寄与度(実質経済成長率に占める各需要項目の割合)等。
GDPの構成要素を生産サイドで見ると資本、労働、土地、技術。供給能力から想定されるGDPの動きを潜在成長率と言い、実際の成長率を上回っている時は供給が需要より多い状態になっていると考えられる為、デフレギャップと言う。
日本経済を変えた3つの分岐点は、①石油ショックによる軽薄短小工業への移行及び日本列島改造論(巨額公共投資による日本経済活性化)と金融緩和並びにアメリカの相対的な経済力弱体化やベトナム戦争等による財政赤字を補填するための変動相場制への移行、②レーガノミクス及びプラザ合意による円高への急転換、③①と②を受けてのバブル発生と崩壊である。
ゲーム理論は現実の様々な事象を分析できる。エッセンスは相互依存関係と合理性である。互いの意思決定が互いに影響を及ぼす前提のもと、意思決定者は合理的な選択をした場合、その後は選択を変えないナッシュ均衡が起こる。実際には協調が発生したり、コミットメント(先手をとって相手の行動を自分にとって好ましい方向に変えさせる事)が発生する。
Posted by ブクログ
「震源地はアメリカ」
二度の石油ショックとそれに伴う世界的なインフレ。そしてグズグズと引きずっていたベトナム戦争による財政赤字。70年代後半のアメリカは全くもって最悪だった。
そこでアメリカの金の流れを管理している偉い人が金融政策を実施した。金の供給を抑えたのだ。そしてアメリカ国内の金利が上昇し始めた。
次に80年にレーガンが大統領に就任した。このアメリカのトップは「小さな政府」を目指した。
・積極的な減税措置
・政府の経済活動の縮小
つまり、リベラリストであり今もはやっている「民営化」だ。だけど、そのころのアメリカは冷戦の真っ最中で、莫大になっていた軍事費は削ることができなかった。故にアメリカの財政は大赤字。それを補填するために国内資金がどんどん吸収されることになった。これで金利の上昇がさらに推し進められることとなり、次はその高金利を狙って海外の資金が流入しだし、為替レートをドル高へ引き上げることとなった。
ドル高で喜ぶのはアメリカ以外の国の輸出企業、他の国がせっせと輸出をしたからアメリカではレイオフとか企業倒産とか大変なことになった。これが貿易摩擦。
ドルはアメリカの通貨であり、同時に国同士の取引で最も使われる国際基軸通貨。その為替レートが暴騰したら何かとマズい。メインの貨幣なんだから安定してもらわないと困る。だから先進国の偉い人たちがドル高を是正するために一致団結して介入をした。これがプラザ合意であり、バブルの始まりである。
震源地はアメリカであり、彼らの尻拭いのおかげでバブルは起きて、そしてはじけたんじゃないだろうか。無茶な融資をした銀行もダメだけど、その背中を押した政府だって結構なダメダメぶりだ