あらすじ
120年以上、建設が続けられているサグラダ・ファミリア。形、数字、謎の部屋……。天才ガウディの視点に立ち、28年間、彫刻をつくってきた著者が、隠されたメッセージを読み解く。
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Posted by ブクログ
ガウディがどんな人物で、サグラダファミリアにいかなる思いを寄せて建設し始めたのか、どのようにその意志が受け継がれ今日まで建設が続いているのか...
数年前にバルセロナで見たサグラダファミリアを思い浮かべながら、ガウディをはじめ、その建設に携わる人々の思いを巡らせました。
とても、素晴らしい本に巡り会えて光栄です。
デザインが特異で芸術的な教会と思っていたことがありましたが、サグラダファミリアの魅力はそのデザイン性だけで語ることができません。
機能と芸術を両立させるところや、職人さんたちを大切にするところなど、外尾さんを通して、ガウディの知らない一面を知ることが出来ました。
ガウディの世間から注がれた視線は、決して輝かしいものではなかったのかもしれませんが、本当に良いものというのは、いつの世も、時を経て評価されるものだと思います。
完全したら、もう一度、サグラダファミリアを見たいです。
Posted by ブクログ
タイトルの通り、ガウディは建築という形で最大限の伝言を残している。そして外尾さんは、それを彫刻家として、また一人の人間として、しっかりと受け取っていることが伝わってくる一冊。
本書で1番印象的だったマラガールの詩を引用しておく。
終わりなき形成の何という喜びであろうか。
この聖堂の建設に一生の命以上のものを捧げている男が、慎み深くも、その完成を見ようとせず、後の世代の人々に建設の継続と完成を託していることを私は知っている。
この慎み深さと自己犠牲の下に、神秘主義者の夢と詩人の研ぎすまされた楽しみとが脈動しているのだ。
なぜなら、一人の命よりも長い年月を要する作品に、また、将来の幾世代もの人々がつぎ込まなければならない作品に、その人の全生涯を捧げること以上に、さらに意味深く、より美しい目的があるとでも言うのだろうか。
こうした仕事が一人の男にどれほどの安心をもたらすことであろうか。
時と死に対する何という優越であろうか。
永遠に生きることの何という保証であろうか。