あらすじ
縄文を知らずして日本人を名乗るなかれ。私たちが旬の味覚を楽しむのも、南向きの部屋を好むのも、鍋料理が恋しくなるのも、主婦が家計を預かるのも、玄関で靴を脱ぐのも、家々に神棚や仏壇を祀るのも、みなルーツは縄文にあった! 驚くほど「豊か」で平和なこの時代には、持続可能な社会のモデルがある。建築学者でありながら、縄文研究を三十年来のライフワークとしてきた著者が熱く語る「縄文からみた日本論」。
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Posted by ブクログ
長年、町家を中心に「日本人のすまい」を研究してきた著者が、万博の仕事で、岡本太郎氏と出会ったのを機に縄文時代に嵌ってしまった。
それから、沖縄の続縄文時代との出逢いなどがあり、建築畑の人間が感動した縄文人の暮らしぶり。
現代日本人とも深いつながりがあることも詳細に書かれている。
歴史学者、考古学者の狭い範疇に収まってる考え方だけでは、1万2千年も続いた縄文文化の本質にせまることはできない。
想像力を駆使し、色んな学問分野の合わせ技をますます期待したいところです。
Posted by ブクログ
母性社会と父性社会の切り口による縄文人は改めて面白い。圧倒的に長期に栄えた縄文時代、自然観測民族が故に長く栄えたとは納得した。勾玉等の装飾が弥生以降に見られなかった理由にも言及。その理由は説得力があるかもしれない。
Posted by ブクログ
自然体の縄文人は母系社会
採集狩猟生活はシェアを基本として
奪い合いの諍いを起こさない
自分と相手の個性をつなぐことで視野を広くする
不安恐怖を作り出して
安全地帯を追い掛けるようなムダをしない
腐ってしまうだけの余剰生産物と権利欲を作り出す
農耕や牧畜などしない
依存による搾取に怯えて物質主義の奴隷にならない
やるべきことでやりたいことを自分で選択して
今現在を愉しく冒険して暮らす
権利や競争に明け暮れる成長型の父系社会と違い
縄文社会は母系社会で持続型である
父系原理社会は物質優先の縦社会で
文明的進歩の行き着く先は依存支配と分離と破壊
墓制原理社会は意識環境優先のトーラス型で
意識の成長が目指すものは自律と調和と共生関係
少し気になったのは
同じ医者の安田徳太郎さんの研究を取り上げていないこと
かなりツッコンだ「古代日本人の謎」と言う本を
素通りしていること
子育ての特徴である「オンブ」に触れていないのも気掛かり
イロコイ族を引き合いに出して入るけれども
現在持続中のホピ族に触れていないのも気になる
母系制を貫いた彼らは侵略者と全面戦争したのだろうか?
呑み込まれることで同化するとともに
地に足のついた継続を果たしてきたのではないだろうか?
名を捨て身をとったのではないか?
Posted by ブクログ
縄文時代の人間は「棍棒を持って獲物を追いかける野蛮な人種」というイメージを持たれがちだが、実際は芸術を嗜むこともあり(縄文土器のアート性)、食べるものも素材としては現代人とさほど変わらない物が多かったりしていて、彼らの文化に学ぶところは多い、という研究をした本。イザナキ、イザナミ、アマテラスといった神話の話も数多く登場する。
自然と共に生きるが故の価値観や習慣が面白い。家畜よりも野生動物の肉を好んで食べたのは「動物の生命力ごと採り入れる」ためだとか、この時期は女が「家」の全てを取り仕切る母系社会であり、男は「通い婿」だったとか。また、人間同士で殺し合いや戦争はこの頃はなく、農耕文化が根付いた弥生時代以降から発生したのだとか。財産や領地の概念の登場が、人間を本質的に変えてしまったのだろうか。
豊かさと便利さを追及し続けて、行き着いた先が逆に時間と情報に追われるようになった現代人と「何が本当の幸福か」を比較してみるのに適した本だ。