【感想・ネタバレ】沈黙者のレビュー

あらすじ

埼玉県久喜市で新年早々、老夫婦とその長男夫妻の4人が惨殺された。10日後、再び市内で別の老夫婦の変死体が発見される。一方、池袋で万引きと傷害で逮捕された男の裁判が進められているが、男が黙秘を貫いたために、彼の名は一切明かされない。埼玉の事件と男の裁判、ふたつの流れが重なった末に展開する驚愕のストーリー。 叙述トリックの最高峰「――者」シリーズでしか味わえない“脳髄をかき回される快感”に酔うべし!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

叙述トリックだと分かってはいても見事に騙され、最後まで息をつく暇がなかった。しかし、現実に照らして考えると無理がある場面が幾つか見られた。読書メーターの他の方が述べているように、沈黙者が名前を頑なに拒む動機が弱すぎる。そして、姉が留置所を訪ねた際に看守なり警察なりに自分の弟だと告げれば、彼は沈黙者から開放され、長い刑期を迎えることにならず、ひいては殺しを犯すこともなかったのではないか。

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2022年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

叙述トリックの名手、折原一の長編ミステリー。「━者」シリーズの中の一冊。
このシリーズ、以前に「冤罪者」を読んでいて、なかなか良かったので今回も期待して読み始めた。

一家四人の惨殺事件に始まり、その後、発見される別の老夫婦の他殺体。一方、池袋で万引きで逮捕された男が、自分の名前も明かさないまま裁判が進められる。この沈黙者は何者なのか。二つの殺人事件と沈黙者の関係は・・・?

読み始めてからグングン引き込まれた。謎の提示、様々な視点で語られる文章など、退屈させない進行でどんどんページが進んだ。「私」とは誰なのか?「沈黙者」はなぜ名前も住所も明かさないのか・・・?こんな謎を提示されたら、そりゃ睡眠時間を削ってでも読むのがミステリー好きの性だよな。

読み進めて半分を超えた辺りかな、ふと思ったんだが、もしかして殺人事件と沈黙者の時間軸はズレて描写されてるんじゃないか?結果的にこの予想は当たってたんだけど、細々した理由なんかは解るわけもなく、最後まで一気呵成に読破。

よく出来てる小説だと思う。
ただ、自分的にマイナス点も・・・。
・沈黙者が名前を明かさなかった理由が少し弱いように思う。
・2件の殺人事件の動機にしても、微妙・・・。
・犯人逮捕が、いささか唐突なきがする。

まぁ、ミステリーの分類でいくと本格でも社会派でもないし、この辺りは許容範囲になると思う。叙述トリックとしては上々の出来栄えの小説であることに間違いはないな。

背表紙~
埼玉県久喜市で新年早々、元校長の老夫婦とその長男夫妻の四人が惨殺された。十日後、再び同市内で老夫婦の変死体が発見される。そして一方、池袋で万引きと障害で逮捕された男が、自分の名前を一切明かさぬままに裁判が進められる、という奇妙な事件が語られていく、この男は何者か?巧緻を極める折原ミステリーの最高峰。

う~ん、最高峰ってのは褒めすぎじゃないかな。他にも面白い小説をたくさん書いてるし・・・。
「あとがき」にも書かれてるんだけど、作者は、いわゆるB級と呼ばれる事件が好きで、それをヒントに小説を書くことがあるそうだ。「冤罪者」と同じく本書にもモデルとなった事件があるそうだ。

☆4個

「━者」シリーズ、全作品を読破しようかな・・・。

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2015年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 冒頭にバリンジャーの「歯と爪」からの引用が掲げられている。折原一の作品ということもあって,叙述トリックを駆使した作品であろうことは想像に難くない。
 内容は,五十嵐友也というノンフィクション作家による作品という想定。五十嵐友也の視点,アルバイトの新聞配達員の視点,万引き現場から捜査中,取り調べ,裁判から刑に服するまで,氏名を名乗らなかった「沈黙者」についての描写,殺人者の視点といった視点から描かれている。
 校長先生の家である「田沼家」で,一家のうち4人が惨殺される事件,同じ町内で起こった「吉岡家」の夫婦惨殺事件という二つの事件が描かれる。二つの事件の描写と,田沼家の生き残りである田沼ありさと立花洋輔による捜査が描かれ,その最中に名前を名乗らない万引き犯である「沈黙者」についての話が描かれる。
 終盤に一気に真相が明らかになる。真相は,沈黙者は,田沼家で行方不明になっていた「ありさ」の弟ではなく,「ありさ」の父の田沼繁だった。田沼家事件と吉岡家事件の間に挟むことで時制を混乱させるが,実際は二つの殺人事件より遥か昔の事件という時制を誤認させる叙述トリックが使われている。
 そして,吉岡家惨殺事件の犯人は,田沼繁だった。田沼繁が,かつて,自分の捜査をした警察官だった吉岡に復讐をし,吉岡家の長男である吉岡弘が,その復讐として田沼家を惨殺したのだ。田沼繁が,懲役6年の実刑を受けてまで,氏名を明らかにしなかったのは,自分の祖母に辛い思いをさせないためだった。
 折原一が実際に裁判を傍聴し,知った氏名を黙秘した男の事件をベースに描かれた小説とのことだが,田沼繁が,氏名について沈黙を守った動機が,おばあちゃんのためというもので,イマイチ腑に落ちない。二つの惨殺事件の真相が犯人が別々でそれぞれが復讐だったというのは,衝撃的ではある。ただ,やや動機が弱いという気もしてしまう…。読んでいる途中は,どういった真相なんだ?とワクワクしたが,オチが途中の盛り上がりほどではなかった。折原一の作品はこういう傾向が強い。駄作ではないし,★3かな。

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2015年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭から引き込まれる内容で、
あっという間に読み終えてしまいました。

実は途中から
「なんかこれ、前にも読んだ気が...」と気づき、
中盤になり
「やっぱり読んでるわ...」となり、
ちょっと気持ちがペースダウンしたのですが、
幸いにも(?)ラストを全然おぼえてなかったので
そのまま突っ走りました。。
2度目なのにとっても意外なラストでした。

沈黙を守った理由が
あまりに平凡というか、なんのひねりもなかったことが
ちょっと残念。
でもぐいぐい引っ張っていく力、読ませる力はすごいです。

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2012年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 なるほどぉ……と思いつつも、オチが予測できてしまったので、若干の驚きが欠けてしまったかも。うーん。

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2012年07月03日

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