【感想・ネタバレ】ブラック・ティーのレビュー

あらすじ

歯車が狂ったのはどこからだったろう。就職して三年目に先輩に失敗を押しつけられた、あの時だ。皆と同じようにやってきたつもりだった。結婚して子供もいるはずだった。なのに今の私は、常識さえ捨てれば、働かなくとも暮らしていけると知っている。純真でもなく、賢くも善良でもない。自分のしたことはいつか自分に返ってくるのかもしれない。でも……。心に問題を抱えた寂しがり屋たちが、懸命に生きるさまを綴った短篇集!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

本当に本当にだいすき!短編集界でナンバーワン。
軽犯罪という、小さいけれど絶妙に苦しいひりひり感がたまらん。
他人に迷惑かけるような人は心が寛大だから、自分が相手に何かされても知らないままに許しちゃってるよね〜 皮肉

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2024年10月02日

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本当に良かった。すごい好きなテーマでした。罪と共に生活する人たちの姿が胸にグッと来た。でも「少女趣味」は夜中読んでちょっとぞっとした。淡々と描いてくれるので、各話がすっきりと読めて、なのに余韻が残る素晴らしい作品。

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2022年11月20日

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ネタバレ

バラの名前だったのか、と何回読んでも思う。装丁もいいし、一編ずつの短さとそれぞれの完成度の高さ。私の理想の文庫本です。

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2016年09月01日

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短編集。
どの話も身近に溢れる「罪」がテーマ。誰もが小さな嘘や不道徳な部分はあって、それを罪と判断するかどうかは法律だったり、道徳だったり、価値観だったり、、、そういった枠に当てはめ責任を感じてしまう人の弱さや、慣れによって悪いことをしている意識すら薄れてしまう人の欺瞞なんかが、心の奥のほうをついてくる。ドキッとさせられる。自分のすんごい弱い部分がつい共感してしまう。
面白かったです。スラスラとあっという間に読めてしまいます。

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2017年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古い本なので時代設定も懐かしい。留守電、ポケベル久しぶりに聞いた単語だ。30年くらい前の日本ってこんなに平和で呑気な時代だった事に驚く。1話目のブラックティー、山手線をぐるぐる周り忘れ物の中で現金だけ取り生活するってすごい、でも羨ましいところもある。短編集なのでサラッと読める、山本文緒らしい文章。

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2025年11月10日

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ニワトリという章が1番印象的だった。
自分にとってはどうでもないことでも、人にとっては大事なことだったり、積み重ねで嫌いになってしまったり。よくあるよなって思った。

あとがきを読んで、精神状態が悪かったらあっさり犯罪を犯してしまうかもしれない気持ちがすごくわかって、危うい状況にちょっぴり足を突っ込みかけている自分を少し怖く思った。

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2024年10月19日

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 軽犯罪縛りの短編集らしい。短編集は苦手な方だが、山本文緒さんの短編集はテーマがあるので読みやすい。冒頭3作がクスリと笑える部分もありお気に入り。『少女趣味』や『誘拐犯』、『ニワトリ』は少し背筋が寒くなるような、頬がひきつる短編。寂しさを紛らわせるためだったり無自覚だったり、ほんの些細なきっかけで一線を越えてしまう人たち。決して褒められた行為ではないのは重々承知の上、彼らの生きづらさもわかってしまう。刊行当時よりさらに不寛容で息苦しい社会になっているような気がする。今読んでもまったく古さを感じない。

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2024年04月28日

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2024.03.09
「間違わない人間なんていないよ」この言葉が自分を救うため、あるいは自分を慰めるためなのか、それとも、相手のことを真に思いやっていっているのか、その解釈はあなたにお任せします。と山本先生は言っているようにわたしは受け止めている。
軽く読める一冊だが噛み締めるべきフレーズも多い。こうした一語一語を紡ぎだしたからこそ、寿命を削られて早くに天に召されたのかなと思う。もう先生の新作は読めないのだと改めてその事実を噛み締める。

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2024年03月09日

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上手いな〜どうして人の心の底にこんなに上手く入っていけるのだろう。
短編集でどの話も身近にある事だったり似たような気持になった事あるよな〜と。
でもそこはあまり触れられてほしくないとこなんだけどと思う場所。
人が今まで犯した事のある軽犯罪にまつわるお話です。
現実離れしていない誰にでも1つはありそうな軽犯罪の話にドキリとしてしまうかも。
山本文緒さんらしいちょっとチクリと刺してみたり、暖かかったり、人ってそうだよねって思える小説でした。

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2023年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 山本文緒「ブラック・ティー」、1997.12発行。テーマと展開が新鮮で味わい深い10話。ベスト3は「ブラック・ティー」「百年の恋」「ニワトリ」。面白いのは「寿」「ママ・ドント・クライ」「夏風邪」。いただけないのは「少女趣味」「誘拐犯」「留守番電話」。「水商売」は面白くなかったです。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

4.2

たまに無性に読みたくなる山本文緒さん作品。
軽犯罪がテーマの短編集。

出てくる行動はびっくりするものもあるけど、
そこに至る過程や、人物の心情は、
いかにもありそうなものばかりで身近に感じる。

なんなら私が行ってしまったこともある。
忘れてたような小さな出来事も思い出されるんだけど、やっぱり消せないんだなと在ることを実感した。

無くなることはない。
でも、生きてる。
生きてる限りは日常は続く。

心の奥に眠らせて見ないようにしてもいいけど
思い出させられた時はあまりに辛い
向き合うことができない気がする

あぁ、在るな。って思いながら生きるのも良いのかも。

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2023年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

軽犯罪短編集。サクッと読める短さで良かった。
法を犯したって捕まらなければ、見つからなければ前科はつかないし世の中にはいっぱいいる。
あっという間に読めて楽しかった。短いからかどれもさっぱり淡々としている。
運悪く罪が重くなることもあるし話によっては主人公がすごく可哀想に思った。

特に誘拐の話は辛い内容だったな。DVも気味が悪かった。

好きなのはタイトルのブラックティーとニワトリかな。日常に馴染んでる感じがリアルだった。借りパクする人多いし。信頼簡単に失くすからやらないように気をつけよう

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2023年01月20日

Posted by ブクログ

ふと出来心でしてしまった、人には言えない自分の小さな罪(大罪ではない)。正直読むのが恐かったです。
過去にした些細なそれら、年月が経っても、その時の心情は甦り、胸が痛むと思ったから。
地道な日常に潜むささやかな罪を引っ張り出し、心の闇に入り込む10話の短編。頭ではやってはいけないと認識していても、少しくらいならとか、誰も見ていないからとか。歯車が狂って意図的にしてしまうものまで。きっかけがあり、一歩間違えば、大罪になりかねない危うさを含んでいる。「はずみ」ってのは恐い。
例えば自分が理不尽な(辛いことが)目にあったりすると、あの時のあれが返ってきたのか…なんて後悔に苛まれることがあるから、やはり真面目に、できることは精一杯するのがいちばんだと思いました。
あとがきを読みどれだけ救われたかわからない。
おそらく(大抵の人は)そういう思いを抱えてますよね。と、一安心…。
「百年の恋」この男女は全てをさらけ出し、結果とても幸せそうで、素敵。
「誘拐犯」と「夏風邪」は何とも後味が良くはないが、少しぞくっとする感じが結構すき。

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2023年02月08日

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少しずつ常識とずれた人々の物語。
ちょっとした日常の罪の物語。
「誘拐犯」がなんか悲しかった。
「夏風邪」 は痛々しく怖い。

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2021年11月19日

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すぐに読めちゃう短編集。
常識に囚われない、はみ出ている人物たちが印象的でした。
非難されても、傷つけたとしても、生きているならいいと思う。

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2021年11月06日

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日常の小さな罪をテーマにした短編集。
《1995年出版》

この人達は実在していた気がする。
90年代の東京のどこかで、
こうしてただ繰り返す日々を受け入れていただけの人達が。
今もきっと、人混みに紛れてどこかにいる。
そう思って安心した。


初読みは約10年前。今、30歳で再読。

話にポケベルが出てきたり、人物の台詞や文章にも古さを感じるのは仕方ないこと。
そうなると、今の若い子には共感できない話になってしまうのかな。
だとすると、本当に惜しいことだ。

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2015年04月10日

Posted by ブクログ

 歌手の小松未歩さんのエッセイで紹介されていたので読んだ。あとがきにもあるように、“罪”をテーマにした短編集。誰の心にもありそうな小さな罪をリアルに、抉り出すように描いていて、ところどころで胸が痛むような感覚を覚える。ひとの罪深さというのは、それを測る客観的な尺度というものが曖昧だから、罪悪感の強さや、どれほどひとを傷つけたかによって感じられ方が変わるものだ。だからこそ取るに足らないような小さな罪であっても、長い間ひとを捕えて離してくれないのだな。
 タイトルになっている「ブラック・ティー」は花の名前らしい。知らなかった。

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2022年11月20日

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軽犯罪という括りで、それぞれの人生を語っている。
軽犯罪はあくまで起きた(起こした?)出来事であり、その背景に何があり、何があったのか、どうしてそうなったのか、それをどう捉えてるのか、それぞれ違いいろんな人の人生を少しずつ覗き見しているような感じだった。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

人間の罪を並べた短編集。
誰もが経験したような罪から、「おいおい」と思うような罪まで。そしてその感じ方は人それぞれ違うのだろう。
本当に読み始めは自分と比べて、この子よりマシだなと思って自分が落ち込むことはないと思ったけれど、あんまりそう思えなかった。なんだかんだ登場人物の心情が分かるように上手に書いてあるから、ズーンとした心持ちになった。
山本文緒の人間の書き方、やっぱりうまい。

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

短編集だけどそれぞれインパクトがある。
というのも、どの作品も
犯罪やマナー・モラル違反な行為が含まれているから。

表題作のブラックティーという薔薇の名前が心に残ったのと、
夏風邪がドキッとした。

著者のあとがきも印象的だった。
誰しも過去に多少の悪事はあるものだし、一線をこえかねないことだってあった。
この作品は30年くらい前のものだけど、
昨今はその頃以上に、過去も含めた潔白性を求められるから怖いなぁと思った。

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

日常の中の ふとその気になってやってしまった
ちょっとした罪の短編集

第一話 ブラックティーから
第十話 水商売 全10話
少し重い罪から 無自覚な罪まで 様々な思い

「ブラックティー」は 薔薇の名前
山手線で置き引きで生計を立てる女性が
手をつけた大きな薔薇の花束
その花束の送り主との遭遇
女の罪の意識が張り裂ける

好きな作品は、第8話「ニワトリ」
横を向くだけでいろいろ忘れてしまうニワトリの
脳ぐらいの女性
過去の様々な事を忘れて周囲に迷惑をかけてきた
それを自分で確認して後悔する
だけど それを気づかせた妹も振った彼氏も
彼女のそんなゆるさが好きだったのだ

あとがきで 山本さんが自分が犯した、ちっちゃな罪を告白している
そうですよね、余程の善人でもない限り
日常生活の中でも何かしら罪を犯してしまっている事がある
1話短めの短編ですが、ぎゅっとしておもしろかったです

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2024年09月13日

Posted by ブクログ

自分のうしろめたい過去について、「みんなやってるよね。もっとやってる人もいるよね」と、思わせてくれるような内容。でも、一線を超えてしまった時点までしか書いてないので、その後主人公達はどうしたのだろう?現実には、人生は続いていくからなぁと、思ってしまう。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

読みやすい短編集で良かった。
内容は期待しすぎちゃったけど、身近にある小さい【罪】わかるわーと思いながら読んだ
"ブラック·ティー"が1番好きかな

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2023年11月30日

Posted by ブクログ

人間の重ねる「罪」の短編集…というと暗く聞こえるけれど、実際はなんだか読んでいて自分にも似たような経験があるなと思い出す身近なお話が多かったです。

罪悪感や恥ずかしさ、後悔などもありありと蘇ってくるように感じましたが、それと同時にその時は特に悪いと思ってやってなかったんだなぁ…と思い出しました。誰にも言えないというか、言うほどでもない秘密がどこの誰にでも潜んでいると思うと少し気が楽になります。

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2023年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めての山本文緒さん。
ポケベルが出てきて、そんなに古いお話なのかとびっくりしました笑
表題のブラックティーのラストは希望がなさすぎて吐き気がしました。短編でよかった。
吐き気がしそうになったり、これ自分もやっちゃってるかも…と少しドキドキしたり、ドン引きしたり、おもしろかったです。

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2023年06月15日

Posted by ブクログ

山本文緒さんの短編集
この方の文章は読みやすいから、短編なら尚更あっという間に読み終わった軽犯罪だからこそ、余計に人間の悪意は怖いと思った。ちょっとした見栄や人間関係のトラブルで法を犯す可能生があると思うと怖い

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2023年05月06日

Posted by ブクログ

怖いくらい、自分に似てる人が出てきた
知らぬうちに人から恨まれてる
それは、気が付かないフリをしてるのか、本当に気が付かないのか
人間関係が面倒に思える
そう思ってしまう私はダメ人間なんだろう

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

いくつかの話で共通して感じた「明らかに汚い方が比較的汚くない(でも汚いところも確実にある)方の汚さを責める」感じが、やけにリアルで納得した。

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2023年01月27日

Posted by ブクログ

大なり小なり、罪を苛み罪に溺れる人たちを描いた短編集。

「寿」
過去の男遊びをなかったことにして幸せな結婚をしようとする女の子の話。
元カレを切り捨てたり、親友を踏み台にしたり。
それが婚約者にバレてしまったときの、婚約者の言葉がとても重かった。
幸福になろうとする者は、とびっきりの傲慢な笑顔で傲慢にならなければならない、という。

「ママドントクライ」
アイドルにハマってしまい貢ぎまくる主婦。
家財を売り払って子供の預金にも手をつけ、家出同然で追っかけをするその主婦に最初は嫌悪感しかなかったのだけれど、後半から見方が変わった。
彼女にとっての唯一のよすがで、救いなんだ、と思うと、純粋に可哀想だった。

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2017年04月05日

Posted by ブクログ

タイトルは「ブラックティー」。
バラの名前らしい。
花、そして「ティー」、乙女チックなタイトルなのに「闇」を感じるのはやはり「ブラック」とあるからだろう。
そして読み終わった後の、なんだろうこの心がチクリとする感じは・・・
この感覚、この短編集が「軽犯罪」がテーマだから、ということにあとがきでようやく知った。
そうか、だからか!なるほど・・・
犯罪とも言えないほどの小さな罪、「欠点」「個性」と言えるほどのものも。
そして社会のものさしにしてみたら悪かもしれないけど、価値観、つまり時代や場所が違えば悪ではないかもしれないもの。
最近会社で大きな失敗をしたからなおさら分かるわ〜。
しかも社会的には全く犯罪とはよべないもの。
ルール違反にもならないくらいの・・・
でもそれ以前の重要なこと!
そんなん会社のものさしだ、と少し開き直れてしまった。
気にしない気にしない。

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2015年09月16日

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