あらすじ
探偵小説を愛し、戦争中は仲間と犯人当てゲームに興じた安吾。本作は著者初の本格探偵小説にして、日本ミステリ史に輝く名作である。その独創的なトリックは、江戸川乱歩ら専門作家をも驚嘆せしめた。山奥の洋館で起こる殺人事件。乱倫と狂態の中に残された「心理の足跡」を見抜き、あなたは犯人を推理できるか? 自らの原稿料を賭けた「読者への挑戦状」を網羅。感涙の短篇「アンゴウ」特別収録。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
登場人物が全員性格悪すぎるミステリー。全員好きになれないので、沢山人が死ぬけど全然悲しくならずに読めちゃいます。最終的には全員性格悪いのも、意図的なことだったんだなと感動です。
Posted by ブクログ
本格ミステリとして楽しめるだけでなく、ことばのテンポがとても良い。
一方、巻末に収録されている「アンゴウ」は別の作者かと思うほどしんみりしてまたいい。
Posted by ブクログ
目次
・不連続殺人事件
・アンゴウ
ずっと読みたかった坂口安吾のこの本。
ところが本の厚さよりも登場人物表に載る人物名の名前の多さにうんざりし、それが揃いも揃っていけ好かない人たちばかりなのにさらにうんざり。
もう、夫婦や元夫婦が不倫やら何やらで、戦後の倫理観ってどうなってるの?って感じ。
けれど、一つ一つの事件で誰が犯行可能で誰が不可能なのかを考えて読むにつれ、誰が犯人なのか、動機は何かがわからなくなってくる。
犯人捜しの再会者発表の中で安吾が書いている。
『犯人の間違った答案の多くは、消却法を用いられているが(中略)ところが、消却法による限り、必ず犯人は当たらない。いわば探偵小説のトリックとは、消却法を相手にして、それによる限り必ず失敗するように作られたものである。』
なるほど、そう考えたことはなかったな。
何度かさしはさまれる安吾からの挑戦状の最後通牒を読んだ後まで、犯人に気づけませんでした。
最後の事件が起こった後、動機から逆算して犯人に辿り着きましたが、これでは遅すぎる。
ちなみに尾崎士郎は「坂口安吾の小説はいつも「私」が悪者に決まっているから、「私」が犯人である」と推理。
太宰治は「最後の海にたった一度、何食わぬ顔で顔を出すやつが犯人」と。
どちらも「作者の挑戦状を受けるだけの素質がない」と安吾に一刀両断されている。
文壇も巻き込みながら楽しんでいたようで、いい時代だったんだなあなんて関係ないことまで思ってしまった。
だけど正解者の住所までバッチリ記載されているのもまた、時代なのね。
事件のトリック自体はそれほど難しいものではないけれど、というか、それが安吾の狙いなのだけど、事件の真相は納得のいくものだった。
そして「アンゴウ」。
安吾だからアンゴウなの?なんてふざけたことを思いながら読んだけど、最後は胸にぐっと来た。
主人公がたった一枚の紙を妻の不倫の証拠と断定するのは、それなりの理由があるにしても短絡的だなと思った。
最後にアンゴウの意味を知ると、戦争が遺した傷のむごさ、戦争がまだ身近だったころの時代感覚などを考えさせられる。
いい作品だった。
Posted by ブクログ
半年くらいかけて読んだ。
中盤からの展開は早いが、それまではほとんど人物紹介みたいなもので読みやすくはない。
登場人物が一クラス分くらいいて、そのうえ関係が複雑なので訳が分からなくなるが、そこまで覚えてなくても読める。
マトモな登場人物はほぼいないので自分の倫理観をなくして読んだ方がいい。
サスペンスの色合いは薄く、犯人当て小説としての割合が強い。
ハラハラするようなミステリーが好きという方にはあまりオススメしないが、SPIの論理的思考などが好きな方にはいいかもしれない。
個人的には微妙でした。
Posted by ブクログ
本屋さんに置いてある小冊子「カドフェス2021」に掲載されていた本。著名な作家である著者がミステリーを書いていたことに興味がわいて手に取ってみる。
人里離れた山奥の邸宅に、性格の変わった文化人の男女が集まり、次々と殺人事件が起きていく。本作が発表された時代なのか、登場人物の歪んだ性格の描写のためか、今では差別用語の連発に驚く。
「木の枝は森に隠せ」の言葉のように、犯人たちは目的の殺人を達成する前にカモフラージュとなるように犯罪に手を染めていく。殺人の動機や実際にとった犯罪行動に突っ込みどころがあるかも知れないが、探偵役の巨勢博士が犯人を炙り出す最後の独白で、犯人同士の大喧嘩に違和感を感じ疑問を膨らませた点はなるほどと合点した。
第2回探偵作家クラブ賞受賞作。昭和22年9月から翌8月まで雑誌「日本小説」に連載。