【感想・ネタバレ】炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~のレビュー

あらすじ

光文社新書のロングセラー『傷はぜったい消毒するな』でも有名な「湿潤療法」のパイオニアが、自ら体験した糖質制限ダイエットをきっかけに、栄養素としての糖質の性質や、人類の糖質摂取の歴史、カロリーという概念やその算出法のいいかげんさ、ブドウ糖からみえてくる生命の諸相や進化、さらには糖質からみた農耕の起源について、新説を展開しながら様々に考える。著者の元に寄せられる糖質セイゲニストからの体験談も紹介。

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Posted by ブクログ

なかなか衝撃的な内容ではありますが、説得力があり、本の中にスーーッと吸い込まれていきました。

私は過去、このダイエットを試したことがあり、
約3か月で、各マイナス、体重12kg、ウエスト10cmのダイエットに成功した経験があります。

体調もすこぶる快調で、私には合っていたと思われます。

本を最初から最後まで熟読しましたが、きわめて理路整然と書かれています。
しかし医学界では、賛否両論あるようですね 。。。

内容を信じる方は、自己責任のもと
ご自分のご判断で試してみられたらと思います。

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2019年08月27日

Posted by ブクログ

カロリーをどうやって計算してるかがわかり、カロリーゼロで生きる生物がいることも知った。カロリーはあまりあてにならないかも。

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2019年03月25日

Posted by ブクログ

人類の進化の過程、食の変遷、そして現代人の食事と何を食べるべきか、書かれていました。
とても面白かった!
よく勉強されている方だなと感心しました。

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2016年11月11日

Posted by ブクログ

とても内容が濃い本です。糖質制限ダイエットの紹介本かと思うとヤケドします(笑)。糖質制限の健康面での素晴らしさを紹介するところから始まり、そもそも糖質とは何か?如何にして人類は炭水化物(糖質)を食べるようになってきたのかという命題に踏み込んでいます。後半部分は糖質制限ダイエットとは離れて、生命の発生と進化を食物とエネルギーの観点から論じており、読み応えのある内容になっています。数々のエビデンスに著者の考えを加えてあり、農耕の起源に関する所は特に楽しんで読めました。

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2016年07月15日

Posted by ブクログ

うーむ。本人も「大胆な仮説」と書いてあるからあれっちゃあれだけど。
とはいえ、ただの妄想では?って思うし、仮設間の矛盾も多いし(進化は何万年の時間がかかるとかいいつつ、パンダは1週間で変わるとか、、)
そもそも、炭水化物はやっぱり必要だと思う。

どこまでが真実かはわかりませんが、非常に面白かった。
よくある、血糖値が高くなるのを抑えてインスリンが分泌、しぼうを増やす、という話はもちろん、脳の唯一のエネルギーがブドウ糖であり、そのための糖新生が脂肪を減らす?という話も非常に細かくかかれている。
頭を使いすぎると痩せる、というのもあながちなくはないハナシではないのではと思った。
それだけにとどまらず、生物の誕生からヒトの誕生、その中で発達して食糧の変化、農耕の始まりと、糖質に魅了されてコムギを育てるインセンティブが生まれ、本来必要ない穀物を神とあがめて1万2千年を過ごしてきた、という仮説もとても面白かった。

p203 「食物に含まれる栄養素・カロリー数」と「その食物を食べて得られる栄養素・カロリー数」はイコールではなく、草食動物や雑食動物では、むしろ完全に乖離している。

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

いいねぇ。題名が。
このパワフルな 題名こそが 意味があるのかもしれない。
『糖質制限』というより 『糖質 ノー』と言う感じ。

なぜ 糖質制限しなければならないかを
外科医である 著者が 自ら実践し、
スマートになり、二日酔いがなくなり、よくねむれる。
そこから
糖質制限とは どんな意味があり、
なぜ間違った糖質への理解があるのかを追求する。
糖質は 栄養素ではなく まさに嗜好品だとさえ言い切ってしまう。
バランスのとれた食事とは 平均値から生み出された経験値であり
科学的根拠があるわけではないと言い切ってしまう。
現在の 栄養学会 カロリーの考え方 糖尿病患者への対処
などを 徹底的に たたきのめす。

そこから さらに 生命の誕生から 農耕の発達による人類史にまで
切り込んでいく。その中には じつに多くの仮説がある。
これだけの仮説を立てるチカラを持っているのは なみなみではない。
常日頃 なぜだろうと 思考をしている継続したチカラが
このなかに どっぷりと 組み入れられている。
まさに 『強力な仮説力のある人』である。

パンダは肉食だったがなぜタケだけ食べるようになったのか?
牛は 草を食べるだけで 500kgをこえる 体重となったか。?
1日青汁いっぱいで 生きている人がいるがなぜか?
母乳をなぜ ほ乳類は与え オリゴ糖が入っているのか?
子供はなぜ小さいのか?
草食動物は なぜ草食か?そして、子供は 草食になるのか?
アポクリン腺とエクリン汗腺のやくわりとは?
消化器官の身体の構造を考てみると。
微生物との共存がなぜ行なわれるのか?

脳はなぜブドウ糖を欲しがるのか?
脂肪酸が エネルギーを得るには効率がいいが、脳はなぜそれを採用しなかったのか?
動物の血糖値は 草食も肉食も差異がないのはなぜか?
全球凍結によって、進化した。

なぜ穀物だったのか?
動物は 巣を持つものと 巣を持たないもの。
赤ん坊はおむつをするが イヌ ネコは ウンチする場所をわかるのか?
うさぎはなぜ糞を食べるのか?
ピスタチオが 人類の食べ物だった。そしてドングリ 小麦となった。

甘味は人類を虜にした。
大脳の能力は 穀物により 開花した。

それにしても、最後は 端折りすぎだ。
穀物の危機というのが 検証されていないね。

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2016年07月17日

Posted by ブクログ

もともと自身のダイエット経験から糖質制限には肯定的であった。
肌が綺麗になる、胃痛がなくなった、朝スッキリ起きれる、むくみがなくなる、二日酔いしない、というのは糖質制限以降、実体験として感じておりこのおかげだったのかと腑に落ちた。
しかし、フルーツは摂っても害があるようには感じられない。肌が綺麗になるし食物繊維や水分が多いため砂糖の使われたおやつを食べるくらいならフルーツをたくさん食べるのが良いと思う。
糖質制限をし、脂質を多く摂るとお腹が空きにくくなるため結局はダイエットは続けられることが大切なので我慢しないダイエットとしては最高だと思う。
多少偏りはあると感じたが、糖質制限について網羅された一冊であった。

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2023年11月23日

Posted by ブクログ

糖質と労働の関係、腸管と共生細菌、食性適応のための形態変化…まではともかく、チューブワームまで出てきた。個人的には面白かったが、化学合成生態系を持ち出すと、話が拡散し過ぎでは…?

そして、エネルギー源の変化と地球上生命体の進化を考察するVII章は、もう完全に別の話。
水素仮説を知らなくても、糖質制限はできる!きっと(笑)

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2019年10月29日

Posted by ブクログ

バランスの良い食事のいかに根拠のないことか、カロリー表示によるダイエット効果の嘘、わたしたちが日ごろ感じる空腹とは、糖分を欲している身体の禁断症状(麻薬が切れると同じこと)である。などなど・・・実に耳新しいことのオンパレード、久びりに読書の醍醐味を味わった本書である。読書の醍醐味とは:知らない知識を吸収すること

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2018年03月18日

Posted by ブクログ

ただのダイエット本かと思いきや、後半怒涛の人類歴史ものになってとても面白く読めた。
科学ものをもっと読まなければいけないですねー

あとがきで、もちろん仮説ではあるが、と著者は言っているが「コムギの甘さに人類は驚いたのではないか」という説は結構いい線をいっていると思う。

まるで、仏像のキラキラ具合に驚いた日本人のようである。

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2018年03月06日

Posted by ブクログ

糖質制限ダイエット啓発本と見せかけて、ブドウの摂取・消費やカロリーの概念など栄養学の常識に疑問を呈しつつ、生命40億年の「食」の歴史を辿る。巻末の参考文献が良い。

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2018年01月28日

Posted by ブクログ

タイトルが結論を表してる。そのまま。

炭水化物は、人にとって、必要な栄養素ではないよ、と。

厚生労働省(と農林水産省)が提示する日本人の理想的な食生活(1日3食、一汁三菜)は、科学的な根拠のある理想ではなく、あくまで平均的な日本人の食生活きら導き出されたものってことが一番衝撃だった。

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2017年08月16日

Posted by ブクログ

すごい標題。

ダイエットを期待して手にする本と言うよりは他の糖質制限食に関する本の補完をする内容かも。

人類の歴史から穀物が、糖質がどのように根付いてきたのか、日本でどのように1日三食と米が根付いてきたかの壮大な著書の物語が描かれています。

糖は疲労回復が早いが、麻薬性があるとのこと。

昔から言われていた良いとされる常識に著書はくさびを打つ。

臆せずに仮説をアウトプットすることが研究者としての使命である、との考えには共感します。

単に妄想ではなく、なんとなく世間に存在する常識に、糖質の視点から仮説の根拠となる数多くの参考文献が紹介されていることからも研究者らしさが感じられます。

ダイエット本というより物語だと思いました。

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2017年01月17日

Posted by ブクログ

前半の糖質制限の話と後半の人類史の話との差が大きい。
とりあえず、夕食は炭水化物を抜く方向に。ためしてガッテンも参考にしつつ。
糖尿病学会への不信感は免れないね。食い扶持がなくなるってのはその通りだと思う。

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2016年09月14日

Posted by ブクログ

内容としては凄くおもしろいんだけど、自分としては糖質制限の知識が欲しかっただけなので細かい情報量が多すぎでした。

炭水化物の起源や動物の血糖値など色々な部分で掘り下げてるところは読み物としておもしろいけど、今必要ではなかった。

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2016年08月03日

Posted by ブクログ

「傷はぜったいに消毒するな」という著書

人類は数百年前まで1日2食

糖質制限
「米、小麦(うどん、パスタ、パンなど)、蕎麦
→原則的に食べてはいけない
 玄米も血糖を上げるので避ける
「砂糖が含まれているもの、砂糖が味付けに使われているもの」
→食べてはいけない
「肉、魚類、卵」
→いくら食べても大丈夫
「大豆製品(豆腐、納豆、枝豆など)」
→いくら食べても大丈夫
「野菜(葉物類など)
→いくら食べても大丈夫
「野菜(根菜類など)」
→芋類、ニンジン、レンコンなどは糖質が多く、食べないほうがよい
「キノコ類、海藻類」
→いくら食べても大丈夫
「果物」
→アボガドは食べてもいいが、その他の果糖の多い果物は肥満の原因になるので摂取を避ける
「乳製品」
→チーズはいくら食べても大丈夫
 ヨーグルト・牛乳は、よほど大量でなければ大丈夫
「ナッツ類」
→食べても大丈夫(例外はコーン、ジャイアントコーン)
「お菓子類、スナック類」
→原則的に食べてはいけない
「油類」
→いくら摂取しても大丈夫
 マヨネーズ、バターも大丈夫
「揚げ物」
→フライ、唐揚げの衣程度なら、大量摂取しなければ大丈夫
 天ぷらの衣には、けっこう糖質が含まれているので、食べ過ぎない
「ジュース、炭酸飲料、缶コーヒー、スポーツドリンク」
→無糖と表示しているもの以外は飲んではいけない
「酒類」
→醸造酒(日本酒、ビール、マッコリなど)は飲んではいけない
 蒸留酒(焼酎、ウィスキー、ウォッカ、テキーラなど)は飲んでよい
 甘くない赤ワインは飲んでもよい
 糖質オフのビール・缶酎ハイは飲んでも大丈夫


プチ糖質制限:夕食のみ主食抜き
スタンダード糖質制限:朝食と夕食のみ主食抜き
スーパー糖質制限:三食とも主食抜き

Sugar Stacksというページは角砂糖に換算してくれる

糖質を食べると眠くなる
甘くないデンプンの罠

必須脂肪酸と必須アミノ酸は食事で外部から摂取が必要だが、炭水化物は、タンパク質があれば自分で作れる

糖質は嗜好品

糖尿病はドル箱

ウシは摂取カロリーゼロで生きていける
ヒトは本来は肉食、ベジタリアン生活は適さない
ビタミンK、B7、B6、B3、B9は食事からはいらない(腸内細菌が産生)
パンダはもともと肉食だった
哺乳類全体で血糖値がヒトと大差がない
完全肉食の動物でも
つまり糖質は食事由来ではない
ヒトは本来定住しない動物だった
ヒト属の基本は遊動生活である
ウシ・ウマ・サルとかは排泄は垂れ流し、だからヒトの赤ちゃんは垂れ流し
赤ちゃんの下痢は糖質のみの食事が原因
たんぱく質や脂質が足りていないから

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2018年11月25日

Posted by ブクログ

体型に問題意識はないのだが、後半の生物学的、人類史的な視点がおもしろそうだったので読んでみた。

国が発表している食事バランスガイドは、日本人の平均的な食事を基にして作られたもので、栄養学的な根拠はない。食品のカロリーは、食べ物とそれを食べて出た排泄物をそれぞれ燃やして発生した熱量の差を基に、人間の消化吸収率や腸内の分解効率を掛けて計算したもの。

筋肉は安静時や軽度の運動時には脂肪酸を使っている。脂肪酸からはブドウ糖に比べて1分子あたり4倍のATPが作られるため、効率が高い。激しい運動のときには、肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンを分解してブドウ糖を作る。脳・網膜・赤血球は、水溶性のブドウ糖とケトン体をエネルギーとする。脂溶性で細胞膜を通過でき、情報伝達の邪魔になる脂肪酸は血液脳関門(BBB)で排除している。

人間の血液には1リットル当たり1グラム(100mg/dl)のブドウ糖が含まれている。血糖値が低下すると、脂肪酸から作られたエネルギーを用いて、備蓄されているタンパク質を分解してブドウ糖を作る(糖新生)。糖質食を摂取して血糖値が上がると、インシュリンを分泌して余分なブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に蓄える。

本書の主題である糖質制限の根拠はこれだけ。甘みの魔力によって摂り過ぎた糖分は脂肪として蓄えられるのはわかるが、糖質を摂り過ぎると太るのは常識のレベル。糖質の代わりに増やすタンパク質や脂質(肉や脂)は摂り過ぎることはないのかという疑問を抱くが、この点はよくわからなかった。著者は穀物生産の問題を多々指摘しているが、一般的には畜産の飼料に大量の穀物が消費されていることを問題視する視点の方が多い。豆腐などの豆類は栄養面でもいいので、居眠りをしなくなるのが本当なら、糖質の割合を少し減らしてみようとは思う。

以下の食事にまつわる生物学的な考察はおもしろかった。

地球上の生命のエネルギー獲得方法の歴史は、硫化水素還元→ブドウ糖代謝(嫌気→好気)→脂肪酸代謝と移り、それに伴って神経系や筋肉を発達させてきた。多細胞生物に進化する際、植物はブドウ糖を難溶性多糖類を、動物は中性脂肪をエネルギーの体内貯蔵方式として採用した。神経系の進化について著者は、多細胞生物が無胚葉→二胚葉→三胚葉と進化する過程で、体表面の外胚葉が外部情報センサー→分散神経系→中枢神経に進化したという仮説を提示している。

ウシの胃の中では、牧草はセルロース分解微生物によってブドウ糖になり、共生微生物がブドウ糖を嫌気発酵によって各種脂肪酸やアミノ酸を生成する。第4の胃で胃酸が分泌されて共生微生物が分解され、脂肪酸やアミノ酸とともに吸収される。複数の胃をもつ動物は発酵のための大きな胃袋と体が必要なため、ヤギより小さな動物はいない。

ウマには共生細菌を持つ巨大な結腸があり、胃で消化吸収した残りを分解して低級脂肪酸を吸収している。ウシのように菌体を分解してタンパク質を吸収することができないため、ウマは穀物やイモ類、豆類を食べる必要がある。ウサギは、共生細菌を持つ盲腸が発達しており、共生細菌を含む糞を食べることで草だけで生きていける。

人間の汗腺はエクリン腺がメインで、アポクリン腺はわきの下や外陰部などに限られているが、エクリン腺をもつ動物は霊長類やカモノハシなどのみで、アポクリン腺が一般的。アポクリン腺は皮膚と毛を守るために発達した器官で、獣弓類は持っていたと考えられている。成分は新生児に必要な栄養素とほぼ一致し、乳腺はアポクリン腺から進化した。一方、爬虫類の祖先である竜弓類は皮膚腺をほとんど持たず、厚い角質層で作られた鱗によって乾燥を防いだ。

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2018年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ご飯やうどんは消化には良くない。肉や魚のほうが消化が良い。
シメのラーメン、が逆流性食道炎の原因。

二日酔いの原因は、糖質。

澱粉は食べやすい。パンやご飯。
糖質は糖質を呼ぶ。糖質切れのイライラ感を解消するために、更に糖質を摂る。体は満たされているのに、更に糖質をとる。

果糖ぶどう糖液糖に注意

食べることが楽しみになったのは、澱粉と砂糖を摂るようになったから。本来、食は生存のためであり楽しみではないはず。

糖質は麻薬と同じ。ベトナム戦争のマリファナと同じ役割。

カロリーはいいかげん。

草食動物は、消化管が長く複雑。

最初に絶食断食をすることで、千日回峰行のような低栄養でも行きていける。
もともと肉食のパンダが、竹を食べて生き延びたのと同じ原理。

定住してはいけない狩猟時代と定住しなくてはいけない農耕時代。

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2024/09/19再読
緑の革命で、窒素肥料が湖沼や海に流れ出して富栄養化した。その結果赤潮が発生。穀物の生産量が減少、地下水汚染が起きている。
紀元前6000年ごろの灌漑農法と同じ。水を補給することで地下深くの岩塩が溶けて地表に現れる。
灌漑農法は、乾燥地を肥沃な農村地帯に変えた。

大豆は痩せた土地でも窒素肥料なしに育つ。
日本の一日三食は、江戸の大火事の復興のため、職人を一日中働かせるために始まった。

チューブワームは、自力で食べない。体内の硫黄バクテリアの作り出すエネルギーを利用している。

ウシの主成分はセルロースだが、セルロースを分解できる消化酵素はない。消化管内の共生微生物がセルロースを分解している。
第一の胃(ミノ)で固形成分が口腔内に戻されて再度咀嚼される=反芻。
第一から第3までは共生微生物の分解のためのもの。第4の胃であるギアラで胃酸が分解する。体内に発酵槽を抱えているので、身体が大きな方が有利。ヤギより小さい反芻動物はいない。

ウシは共生生物からタンパク質を得る。ウマは草だけでは生きられない。穀物、芋、マメ科植物を必要とする。=ウマは消化酵素が必要な草食動物。
ウサギは盲腸に共生細菌がいる。糞食で共生細菌の菌体成分を摂取している=身体が小さくても草だけで生きられる。
コアラもウサギと同様だが、摂取エネルギーが少ないため一日20時間眠っている。
胃を発酵槽として使うようになったのは、ウサギより後。

動物は食物としては理想的。必要な物質はすべて揃っている。
人間は雑食だが、消化管の構造から見る限り、大きくないため肉食と考えられる。結腸や盲腸が大きくないため、草食はできない。
ゴリラやオランウータンは草食。ツルイラクサのツルや樹皮が主食。巨大な結腸を持っている。
人間の糞便の半分以上は腸内細菌。腸内細菌はビタミンK、B7、B6、B3、B9を産生している。短鎖脂肪酸も生成していて、人間はそれを栄養にしている。
草食動物は消化管が巨大で複雑だが、消化酵素は少数でいい。肉食動物は、消化管と消化酵素は少数だが運動能力が必要。雑食動物は環境の変化に対応できるが消化管は複雑で消化酵素も自前で必要になる。

肉食だったパンダが短期間でセルロース分解できるようになったのは、エサについていた細菌を食べたからではないか。既存の腸内細菌がエサがなくなり元気がないときに、外来菌排除機能が働かなくなり、新しい細菌が腸内に住み着いた。その結果、セルロースを分解できるようになった。
一日に青汁一杯だけで生活している人や、千日回峰行は栄養学が崩壊してしまう。絶食療法で腸内細菌は元気がなくなる。その後経口的にセルロース分解菌が入れば大腸に定着して青汁を消化できる。

哺乳類の子どもはなぜ小さいか。
ダチョウより大きい卵を産む動物はいない=卵が大きくなると殻を厚くしなければならず、殻を破れなくなるから。
草食動物は身体が大きくないと消化管で細菌分解ができないため、大きくなるまでミルクが必要。
水中の肉食動物は、プランクトンをすぐに食べられるので小さくても生きていけるが、陸上の肉食動物は、エサを取れないのでミルクが必要。

ミルクとは。
汗はエクリン汗腺、アポクリン腺は腋窩部や外陰部などにある。乳腺はアポクリン腺から発達した。

脳が脂肪酸を使わない理由
脳は水溶性のブドウ糖とケトン体だけを使う。血液脳関門でほかの物質は通さない。
脳に必要な血糖値は決まっている。
ヘビ、亀、ナマケモノなどは低血糖(30くらい)、哺乳類とトカゲは中血糖(100くらい)、鳥は300くらいの高血糖。血糖を維持するのは、食べ物のブドウ糖ではない。血糖を維持するのは糖新生=アミノ酸から糖を作る、グリセロールから作る、など。
脳が血糖しか使えないのは、初期の代謝システムをそのまま引き継いでいるから。筋肉などは脂肪酸も使って有酸素代謝を行えるようになった。

全球凍結を3度経験している(異説あり)。シアノバクテリアの光合成で二酸化炭素が減り、地殻プレートで赤道付近の超大陸ロディニアが形成=陸地は海に比べて暖まりやすく冷えやすい。氷は太陽光を反射して地球外にエネルギーを放出する。その結果、全球凍結となった。
全球凍結の終わりは、火山活動の活発化、大陸の移動などの原因による。
真核細胞は酸素を消費する好気性代謝を行う。

グリコーゲンの合成促進はインスリンだけだが、分解はグルカゴン、アドレナリン、成長ホルモンなど複数ある。グリコーゲンは肝臓に100g、筋肉に300gほどしか蓄えられないので、合成促進はインスリンだけでいい。

小麦の灌漑農法は人類最大の革命。穀物とはデンプンが多い種子を食用にしたモノ。
種子の胚乳は栄養庫。イネ科はデンプン、アブラナ科には脂肪、マメ科は胚にたんぱく質を蓄えている。
小麦の天水農法では種子から1.7倍しかとれないが、灌漑農法は200~300倍取れた。

巣を持つ動物と持たない動物。
猫や犬は子育てをするので巣を持つ。定住する動物は排泄の場所が決まっている。犬や猫にトイレを教えるのは難しくないが、牛や馬やサルには難しい。芸を覚えるサルでもおむつを着けている。
ヒトも本来誘導生活。赤ちゃんは垂れ流し。犬や猫はトイレを覚える。本能の違い。

農耕よりも定住が先。定住できないと農耕はできない。
ホモサピエンスは最終氷期の始まりには2000人くらいになった、という研究もある。500万年変化がなかったホモサピエンスが、5万年くらい前に新しいものを作り出す脳を手に入れて、針で衣服を作り始めた。
地中海沿岸はビスタチオの産地。肉食の代用になった。定住が始まった。ドングリも石臼でひいて食べ始めた。定住+長時間労働が始まった。
平地でエンマーコムギを発見、メソポタミアで感慨農法を発明。
自生の小麦は最初は家畜の餌だったのではないか。小麦の甘さに惹かれて食用を始めたのではないか。

狩猟採集時代は健康だが人口密度が低い。
農耕時代は、栄養のバランスが悪いが人口が増える、時代。
カラハリ砂漠のコイサン民族は週2日程度しか働かない。
5万年前に突然、脳が進化した。穀物に感謝するとともに、穀物なしが人類本来のもの。

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2024年09月20日

Posted by ブクログ

炭水化物が身体に良くないのは分かってはいるんですけどね…。これからも摂るのを止める事はないでしょう。だって美味しいんだものwでもちょっと控えめにするかも。
個人的には8章の糖質から見た農耕の起源が面白かったです。穀物栽培や定住生活の歴史や考察を興味深く読みました。面白かった。
7章はちょっと難しかったです。専門用語が頻発して。でも自分がいかに地球の歴史についてなにも知らないか再確認できました。全球凍結とか初めて知りました。今度勉強してみよう。

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2025年02月10日

Posted by ブクログ

人間初期のライフスタイルや穀物の歴史などについても書かれており、読み物としては面白く、論理的であると思います。これで本当に健康になるなら手軽です。

ただ、様々な本を読んでいると、炭水化物抜きには賛否あります。
脂質過多になり、血液がドロドロになるとか、筋力がおちるとか、眠りの質が落ちるとか。
本書では、炭水化物を昼食で食べると午後眠くなると書いてありますが、他の本では、昼食で脂質が多いと午後眠くなると書かれていました。
大混乱です。

炭水化物の良し悪しや、睡眠時間はどれくらいが適切かなど、書籍によって意見が分かれるものは、本を鵜呑みにせず、個人が自分に合う方法を試行錯誤することが大事なのかなと思いました。

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2024年03月21日

Posted by ブクログ

 個人や周囲の糖質制限による効果から始まり、人類が小麦を手に入れる前と後、人類が生物の頂点にたつまで、経済の発展、に炭水化物の果たした役割を書いてある。
 なかなか興味深い内容であった。
 ただし、本人があとがきに書いてある通り、あくまで『仮説』である。根拠はあまりないし、正しいことは証明できていない。
 それを念頭に置いて読みすすめると良い。

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2020年09月13日

Posted by ブクログ

創傷治療の夏井さんが女性に贈るダイエット本。後書きで現代病の原因は穀物であると言い切っているが、根拠を書いて欲しいところ。参照本に鉄・銃・病原菌や文明崩壊がないのは、書き漏らしだろうか?

注目点
・糖質制限すると、二日酔いしなくなるが、誘惑に負けて茶碗一杯でも食べると翌日は猛烈な二日酔い。
・糖質制限すると、ビールや日本酒が不味くなる。
・糖質を食べると眠くなる、糖質を食べないと眠くならない。
・糖質制限すると、うまいものを食いたいという気持ちがなくなる。
・農耕生活を始めたことで、初めて赤の他人と共同生活するようになった。

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2018年11月12日

Posted by ブクログ

最初に読んだ「ケトン体が人類を救う」が著者の経験と臨床に基づく、人類のエネルギーはケトン体だった説(胎児、新生児への検査を踏まえて)だったのに比べて、こちらは人類がなぜ炭水化物食に転換したかという壮大なテーマのため、著者が想像の翼をはためかせた仮説感が強い。もちろん、そこは著者自身も承知の上なので、一つの面白い話として読むにはいいかもしれない。例えば、牛やパンダがなぜ草や竹だけで生きていけるのか、当然のこととして考えたこともなかったし、人間も食べた物の栄養がそのまま変換されて生きているように思っていたが、体内に共存する菌がいて、しかもそれが作り出すものを栄養とするというのは私にとって新鮮で目からウロコだった。ただ、上記の本ほど糖質制限してみようという気持ちにはならないのは確か。

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2018年09月23日

Posted by ブクログ

脂質やカロリーを制限しなくても、糖質制限だけで健康になる。そもそも人類は、長い間糖質なしで生きてきた。穀物栽培が定住と人口増加をもたらしたが、淡水資源が枯渇しつつある今、糖質からフリーになった方がよいのでは。

カロリー神話と言われますが、食べたものはすべてカロリー換算、というのがデフォルトとして組み込まれていることに改めて気付きました。

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2018年04月09日

Posted by ブクログ

方法は至ってシンプル。やってみて体質、生活習慣に合うなら続けてみようかと思う。論理、背景は分かっても、やはり個人ごとの体質に合う合わないはあると思われる。

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2018年03月04日

Posted by ブクログ

前半だけ面白かった。後半は難しくて読み飛ばした。
糖質制限やって、私もかなりいいことだらけ。
多分、炭水化物って必要ないのだと私も思う。
でも
フルーツは必要!!!あれは糖質とは異質なもの。
これは断言できる。
何かと一緒にフルーツ食べるから駄目なんであって、
フルーツだけ食べる場合は
身体にいいことだらけ。
結論
できる限り糖質制限をする。フルーツはやめない。

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2017年09月10日

Posted by ブクログ

前半は、糖質、炭水化物ダイエットの本なんだけど、how toではなく、その科学的根拠みたいなことの解説というところ。

後半、その議論を踏まえつつ、生命の進化、人間の農の進化、文明論に展開していく。仮説ではあるけど、かなり説得力のある話しだな。とてもスリリング。

一番、「へ〜」だったのは、草食動物の話し。例えば、牛とか、草を食べているけど、草自体は、牛の栄養にはなっていない。腸内細菌がコロニーをつくっていて、最近が草を分解して、栄養に転換する。で、その栄養とか、細菌自体を牛は吸収している、という話し。なので、胃袋がたくさんあるらしい。

人間も腸内に細菌がいるわけで、人間と腸内細菌は、共生しているんだね。生物学的に考えても、確固たる「私」なるものがあるわけではない。「私」とは、細菌と一体になったコロニーなんだね。

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2017年05月03日

Posted by ブクログ

炭水化物(糖質)がもたらす人体への悪影響から糖質制限の重要性を説く話としては面白かったのですが、後半は動物の体のメカニズムや人類の歴史上、穀物がいつから産み出され、人間が狩猟系から穀物重視に生活スタイルが変化したことでもたらしたものとはというテーマを科学的に解説していくという内容で興味深いものではありましたが、やや難解な話で読むのに難儀しました。
でも糖質制限が健康体にとって重要であることは理解しました。

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2017年04月15日

Posted by ブクログ

傷を消毒しない話は、自分が読んだ当初、その概念を知らなかったこともあって、かなり衝撃的な内容だった。個人的な印象をもとに、話を広げる手法は、上記書と共通するものだったけど、こちらはそんな斬新とも言えない内容のこともあって、それほどの感銘は受けなかった。確かに、炭水化物は必須と思い込んでいる考え方に楔を打ち込むって意味では、ちょっと画期的だったけど。

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2017年01月30日

Posted by ブクログ

「炭水化物が人類を滅ぼす」
タイトルがショッキングだったので買ったが、そのまま放ってあったので読んでみた。
糖質制限でやせることが書いてあるのだろうと思ったがそれははじめの方だけで、デンプンを含む糖質というものが体にとってどういうものであるかを説明している。
そして、糖尿病治療のやり方の問題点や食物カロリーの問題点など身近な問題を解説している。
後半は生命進化から見た糖質(ブドウ糖)役割、哺乳類にとっての糖質の必要性、そして農耕と穀物(デンプンを含む糖質)と人類の関係などが書かれており、糖質制限でやせると言うこととはまるでかけ離れた内容だ。
面白くはあったが、本書のタイトルはあまり適切とは言いがたい。何しろ書いてあるのは糖質(デンプン)を中心とした生命科学、人類の食に関する歴史の仮説と言ったところである。考え方は少し極端な言い方もあるが、なるほどと思うところもいくつかあった。
著者は医師であることから医学的な内容はともかく生命科学や農耕の誕生、食の歴史などは相当勉強したようで後書きに参考文献がたくさん書いてある。しかし、それらの本は読んだことのある科学物の本も多く、タイトルのから想像されるような人類学者の本ではなかったので少々残念。

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2016年12月03日

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