【感想・ネタバレ】カラシニコフ IIのレビュー

あらすじ

カラシニコフを切り口に、国家とは、武力とは何かを考える。南米、アフガニスタン、イラクなどを舞台に、アメリカをはじめとする大国のエゴと、それが引き起こす諸問題を報告。パキスタン北部にある銃密造の村ダラのルポも収録する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

私たち日本人の多くは「国家」という概念を違和感なく受け入れている。
そこには同じような顔をして同じ言葉を話す人間が住んでいる。国家には「中央」があり、そこから「地方」を通じて「辺境」まで、色の濃淡の同心円でイメージされる。大和国家でいえば、色濃い円の中心が近畿にあり、そこから始まる同心円が地方に及び、やがて東北や九州まで端々まで行き渡る。そうした国家形成の過程を、私たちはほとんど当然のように理解してしまう。そして自分はその同心円の外ではなく、内部のどこかに位置すると思っている。
しかしアフガニスタンは違う。同心円が三つも四つも、それ以上もあり、それぞれの円の中心が異なるのだ。そうした異質の同心円同士をひとくくりにして、国家を形成しようとしている。同心円の中心―国民意識の核―になるものがないかぎり、それは限りなく困難な作業なのである。p245

【文庫本へのあとがき】p291
アフガニスタン、イラクの「複数同心円国家群」。その混乱は収束の兆しさえありません。ただソマリランド共和国が、国際社会の認知がないにもかかわらず、まだ持ちこたえている。それがわずかな救いです。
国家とはいったい何なのか。「国民に安全な生活すら提供できない国家」は、これからどうなっていくか。激しく揺れ動く状況を、これからも見つめていくつもりです。

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2014年04月25日

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