あらすじ
西暦2032年、未曾有の地殻変動により南西諸島に沈没の危機が迫っていた。領海と海底資源の既得権確保を優先する政府に対し、植物生態学者・南方洋司ら6人の科学者は、地殻変動阻止のため極秘プロジェクトを開始。彼らと共に与那国島を訪れた共感覚を持つ青年・伊波岳志は、島の巫女的存在である後間柚と出会う。彼女は大地の怒りを鎮めるため“14番目の御嶽”を探していた……日本SF史上最高の科学小説
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Posted by ブクログ
本作にはいろんなテーマが含まれているが、SFと言うよりも神話的なファンタジーと見る向きもあるかもしれない。タ イトルの響きで何となく沖縄方面をイメージした方は鋭い。本作の舞台は目の前がもう台湾と言う最果ての与那国島。
小松左京先生の日本沈没とダブる イメージもあるが、そこは最新の深海探査テクノロジーによってきっちり描かれている。藤崎作品でおなじみの南方教授も登場。。物語は静かに始まりやがてクライマックスに向かってまっしぐらに怒濤の進行を見せる。ISEIC理論については賛否両論あろうがストーリーにはきちんとなじんでると思う。
むろんハードSFを狙った作品ではないのは作者も計算通りであろうし、物語としての壮大さと完成度を優先したのであろう。ここらあたりが飛浩隆作品とは明確に異なる部分で、独自の世界観の完結にこだわり抜いている飛浩隆も良いが、科学的背景はきっちりと抑えつつもエンターテイナーとしての読み物をファンに与えてくれる藤崎の魅力もどちらも捨てがたい。