あらすじ
ヴェネツィアの教会の石段で、女性の死体が発見された。死体はカトリックの女性には許されない司祭の祭服を着て、腕には奇妙な模様のタトゥーがあった。憲兵隊の大尉カテリ-ナは捜査を開始する。その頃、米軍基地に赴任した少尉のホリーは、旧ユーゴ内戦時の記録の公開を求める女性と面会した。ホリーは記録を調べるが、やがてその女性の死を知る。カテリーナとホリーは協力し、ソーシャル・ネットワーク「カルニヴィア」の創設者ダニエーレとともに、二人の女性の死に潜む陰謀に迫る。
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Posted by ブクログ
ネットで見かけて。
ヴェネツィアが舞台というだけで、華やかな印象を受ける。
強力な建築規制があり、許可を得るには強力なコネが必要だとか、
憲兵隊はレストランで店主が代金を請求しないとか、
マフィアのことは誰もしゃべらないとか、
負の側面もちりばめられているが、その華やかさは失われない。
それは、世界的な観光地が登場するからなのか、
バスではなくヴァポレットに乗っているからなのか、
カソリック教会の強大な力が見え隠れするからなのか。
それだけではなく、
ヴァーチャルなヴェネツィアである「カルニヴィア」や、
オカルトのシンボルかと思われたクロアチアのタトゥー、
人身売買にユーゴスラヴィアでの虐殺、誘導砲弾による爆撃と
これでもかというぐらい詰め込まれている。
それでいて、
憲兵隊の大尉と米軍の少尉の女性二人と、
幼少期に誘拐事件に遭ったハッカーの活躍も光を放っている。
色とりどりに輝くきらめきの流れに溺れそうになりながら、
最大の証拠は人の中のDNAなのではと、
気が付いた自分をほめてあげたい。
要するに、面白かった。
Posted by ブクログ
本書はベネチアを舞台に、ベネチア貴族の引きこもり天才ハッカーとアメリカ軍の新人女性士官、情熱的なイタリア人女性警官の1男2女が、国際的な謀略に巻き込まれていくミステリー小説です。
カトリックが禁忌とする女性司祭の死体発見から始まるストーリーは、コソボ紛争をめぐる謀略、戦争犯罪、天才ハッカーが作ったバーチャル・ベネチア・サイト、カルニヴィアへの攻撃といった様々な要素が織り込まれ、これにアクションシーンやら上司との不倫やらが彩りを添えていると言う、
「ネタになるもの、突っ込めるだけ突っ込みました」的な"てんこ盛り"ストーリーでした。
これは本業が広告会社のクリエイティブ・ディレクターである著者が「売れる小説とは何か?」と言う事を考えた結果なのでしょうか?
仮にそうであれば、二転三転するストーリーや誰が敵か味方か確信が抱けない様など、ストーリーがよく練られているにも関わらずどことなくチープな印象をぬぐえないのは、この所為なのかも知れません。
正にエンターテイメントを追求した大衆小説と言った所です。
とは言え、あまりに俗すぎてうんざりしてしまうのかと言えば差にあらず。
十分楽しめますので、”歯ごたえ”のある娯楽小説をお求めの際にはお勧めです。
ちなみに本書は著者のデビュー作にして「カルニヴィア」3部作の第一作目。
まだまだストーリーは続き、第一作目で出会った3人の関係が今後どうなるのか等、読者の想像力を刺激する終わり方をしています。
尚、後書きによれば、まだ原著の方ですら次巻が出版されていないとか。
次巻が読めるのはいつになるのでしょうか・・・