あらすじ
空き家の数だけ家族があり、家族の数だけ事情がある――。
不動産会社で空き家のメンテナンス業に携わる孝夫。
両親の介護を終えた妻・美沙は、
瀟洒な洋館で謎の婦人が執り行う「お茶会」に参加し、
介護ロスを乗り越えつつあった。
しかし、空き家になっている美沙の実家が、
気鋭の空間リノベーターによって遺体安置所に
改装されようとしていることを知り……。
元戦隊ヒーローの息子・ケンゾー、
ケンゾーを推す70代の3人娘「追っかけセブン」など、
個性豊かな面々が空き家を舞台に繰り広げる
涙と笑いのドラマ、ここに開幕!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
学生時代に読んだ『きみの友だち』で感じた
「本って面白いな」という感覚を久しぶりに思い出した。
重松清作品の魅力は、誰か一人が正しくて、誰か一人が間違っているという描き方をしないところだと思う。
同じ出来事でも、
* 空き家を負債と見る人
* 思い出の詰まった実家と見る人
* ビジネスチャンスと見る人
それぞれの見え方があり、どれもその人にとっては真実である。
『きみの友だち』を読んだ時もそうだったが、重松清は「正解」を示すのではなく、人それぞれの見ている景色を描いてくれる。
だから読んでいて、
「この人にもこういう事情があったのか」
と考えさせられる。
仕事でも同じことを感じる。
営業や不動産投資は、商品や物件を扱っているようで、実際には人と人との関係性で成り立っている。
顧客、社内、銀行、管理会社、それぞれが違う景色を見ている。
その景色を理解し、一歩歩み寄れる人は意外と少ない。
だからこそ、
「この人、わかっているな」
と思ってもらえた時に物事は大きく前進する。
私は営業や不動産投資の面白さも、そこにあると思っている。
相手の見ている景色を理解しようとすること。
重松清の小説は、その大切さを改めて思い出させてくれた。