あらすじ
“何か”があなたを待っている。
“誰か”があなたを待っている。
ナチスによるホロコーストを経験した心理学者フランクル。彼は強制収容所という過酷な状況に置かれた人間の様子を克明に記録し、「人間とは何か」という普遍の問いにひとつの答えを見出そうとした。人は、何に絶望し希望するか。時として容赦なく突きつけられる“運命”との向き合い方を探る。姜尚中氏の特別寄稿も新たに収載!
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おすすめのガイド本
創造価値、体験価値、態度価値という三つの生きる意味の手がかりを紹介し、絶望の中でも希望を見出す姿勢を強調されています。
姜尚中氏の寄稿も収録し、フランクルの思想や背景を深掘りされています。
読みやすく、『夜と霧』未読でも理解でき、人生の問いに向き合うきっかけを与えるおすすめのガイド本です。
Posted by ブクログ
100分de名著読もうと思った時に、真っ先にオススメされたのがこの作品でした。
直近で、自分の人生の意味を問う機会があり、そこに答えを見出せず苦労していました。
自分から問うのではなく、人生から問われているという考えは自分にはありませんでした。
絶望の淵に立たされた時にでも、希望さえ捨てなければそこに光が差し込んでくる。
苦悩は人間の精神的成長に欠くことのできないもの。
すごく深く、けど優しく、沁みこんできました。
原著も是非読みたいと思います。
Posted by ブクログ
フランクルの夜と霧を読んだ後に、補足的に読んでみた。
人生の意味を求めることにより、無力感や焦燥感を感じることがある。しかし、コペルニクス的転回をして、我々人類が人生から常に問われている存在だと理解することで、少し生きやすくなった気がする。
Posted by ブクログ
素晴らしい解説本だと思う。姜尚中さんの寄稿も非常に心にくるものがあり、私のように今人生最大の危機に陥っている方はぜひ読んでほしい。そして、人生に絶望せずに困難と向き合って生きてほしい。
印象に残ったフレーズを記載する。
——
どんな時も人生には意味がある。
あなたを待っている誰かがいて、あなたを待っている何かがある。
そしてその何かや誰かのためにあなたにもできることがある。
———
—-
あなたがどれほど人生に絶望しても、人生の方があなたに絶望することはない。
———
Posted by ブクログ
最初は、怖い印象で読み進めていたが、人生とはどんな逆境でも立ち向かえるすべを持っていることが分かり、どんどんこの本に引き込まれていきました。
生きる意味について、模索している人には読んでみるべき本だと思います。
Posted by ブクログ
フランクルの『夜と霧』のガイド本。
諸富先生の授業はとても楽しくてご本人も楽しい方なので、本文にあった苦悩された青年時代があったなんて、かけ離れていて想像できなかった。
実はまだ『夜と霧』は未読で、でもこの本を読んで、「買わねば、読まねば」という気になり、即購入した。
自分の本棚の一部を、「将来子どもに読ませたいスペース」にしたいなと考えていて、『夜と霧』そしてこのガイド本は、加えたい二冊になった。
もっと早くに出会いたかった。でも、そんな素敵な素晴らしい本に、これからもたくさん出会いたい。
Posted by ブクログ
「あなたが人生に絶望していても、人生はあなたに絶望していない」という事
「人生から問われている」立場であるという事
物事に対する姿勢や態度はどんな時も自分で選べるという事
そういう事をわかりやすく解説してもらえる本です。
少し重い気持ちになりそうで『夜と霧』を読むのに抵抗があったので、こちらを読みました。
購入して良かったと思っています。
Posted by ブクログ
人が生き方を求めるのではなく、人生から何を問われているのかを考えよ、というのがフランクルの考え方。自らの欲望や願望中心の生き方ではなく、人生から、その時々に問われるものに対して答えを出していく、意義や使命中心の生き方への転換を図る。欲望や願望は際限なく出てくるため、キリがない。創造価値、体験価値、態度価値に関する考察も面白かった。
Posted by ブクログ
わかりやすく絶望的状況に置かれた人間の陥る心理や行動を知ることができる。
「待っている人がいる」
「実現を待たれている何かがある」
自分がしたい、したくない、という主観の世界ではなく、未来への希望を抱き続ける技術として使える。
上の二つが自分がやらないといけないと強く認識することで、絶望せずに生きれるよ。という内容の本でした。
アウシュビッツでの環境と、現代のリアルの環境が、似ている!と思える人にとっては、切り開くヒントがここにあり勇気つけられます。
Posted by ブクログ
一気に1日で読みました。
NHKの100分de名著の内容をもとに書かれた本。
2012〜2013年に放送されたものとのこと。
それを一部加筆修正して、さらに姜尚中(カン・サンジュン)氏の寄稿などを収録しています。
「夜と霧」についてはあまり知らなかったのですが、勧められたことをきっかけに、原著を読むより簡単かと思い、本書を読みました。
文体もそれほど難しくなく解説されており、丁寧な本だと思いました。
ナチスのホロコーストを経験した精神科医で心理学者のヴィクトール・E・フランクルの著書「夜と霧」や、彼の著書をもとに、人生における苦難をどう捉えるかについて書かれた本です。
アウシュヴィッツ強制収容所などを経験したフランクルが言うように、「人間は苦悩する存在、ホモ・パティエンス」である、とのこと。
その苦悩を超えて得られる、「人生からの問いかけ」こそ本質であり、「人生が何を我々に期待しているか」が問題であると提唱している。よくある人生の今探しとは真逆で、ある意味でコペルニクス的転回です。
「幸福」や「自己実現」も追い求めるものではないとし、人生からの呼びかけに応える「意味と使命中心の生き方」を求めています。
また、三つの「生きる意味を見つける手がかり」として、「創造価値」「体験価値」「態度価値」を挙げています。
苦悩自体が一つの業績。苦悩を超えて、これらの価値を体験できるとしています。
そして、全ての価値が相対化した真っ平らな世界にあって「垂直性」を生きることを提唱しています。
この辺りは本書の図を参考にした方が良いと思います。
姜氐の寄稿も感慨深かったです。
Posted by ブクログ
番組を観て面白かったので読んだ本。著者の著作の中で初めて読んだ本。「夜と霧」の内容やフランクルのことについて知ることができて面白かった。「夜と霧」の内容で、「誰か」や「何か」が待っているというところが1番印象に残った。この本を読んで「悼む人」の主人公の考え方を思い出した。この本を読んで「夜と霧」が読みたくなった。今悩んでいる人に薦めたい本。
Posted by ブクログ
201904/
人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。そのことをわれわれは学ばねばならず、また絶望している人間に教えなければならないのである。/
人間の原点は「人生から問われている者」であるところにある。したがって、人間にできること、しなくてはいけないことは、人生のさまざまな状況に直面しながら、その都度その都度、状況から発せられてくる「問い」に全力で応えていくことである。/
私たちがなすべきこと、行うべきことは、私たちの足下に、常にすでに送り届けられてきている「意味と使命」を発見し、実現していくこと。「自分の人生には、どんな意味が与えられており、どんな使命が課せられているのか」それを発見し、実現するように日々を全力で生きていくこと。ただそれだけであり、私たちは、何も、それを求めて思い悩む必要はないのだ。/
自分を待っている何か(仕事)、自分を待っている誰かとのつながりを意識した人は、けっしてみずからの生命を絶つことはない、とフランクルは言います。/
苦悩そのものが問題なのではない。「何のために苦悩するのか」という叫びに対する答えのないことが問題なのである。/
これを裏返していえば、もしその苦しみに意味を見出すことができたなら、人間にとっては大きな救いとなる可能性がある、といえます。たとえば、「愛する家族を逃がすために、自分はおとりになってとらえられたのだ。だから、自分は今ここで苦しいが、それは愛する家族に安全なところで幸せに暮らしてもらうためなのだ」といったふうにです。意味に満ちた苦悩であれば、多くの人が耐えることができるのです。/
渡辺崋山がみずからの命を絶つとき、考えあって一週間、期日を遅らせたのです。なぜならば一枚の絵を描くためでした。彼は「邯鄲の夢」という中国の故事を描いたのです。
人生はかくも長く、かくも短い。かくも短く、かくも長い。まさに夢まぼろしのごとくなり。そんな崋山のつぶやきが聞こえてきそうです。
崋山のその絵はいかにも悠々自適の境地に遊んでいて、私は初めて見たとき、たいへん胸をうたれました。咎めの渦中にあったころは、彼もさぞかし悩み苦しんだことでしょう。しかし、その果てに永遠の至福が訪れたのです。/
Posted by ブクログ
フランクルの『夜と霧』を読む前の事前知識をつけたいと思って読んだ。
アドラー心理学はあまり自分に合わなくて期待していなかったけど、フランクルの考え方はある意味現実的ですごくすっと受け入れることが出来た。
人生の価値について、フランクルは①想像価値、②体験価値、③態度価値があると考えている。
このどれも他人軸ではなく、自分の中で感じられることであり、実生活の中でありありと感じられるものだからこそ、この3つに価値があると信じれば前向きに生きれそうな気がする。
Posted by ブクログ
人生の意味は人間側が問うものではない。すでに人生のほうから答えは送られてきている。あとは足元にある答えに気付くだけである。それを真摯に受け止めさえすれば良いのだ。
答えを探そうと必死に悩んで生きる人たちにとっては、そんなことしなくて良かったんだ!と、見方を変えることで救いになったのではないかな。
カンサンジュンさんの解説には泣いたなぁ。この人の心という本も読んでみたい。人には言いたくないことも他人のためになるよう公開してくれたことで多くの人が救われたでしょう。ぼくたちも深い悩みをもっと話し合ったりけんかしたりできれば良かったのかなぁ。
Posted by ブクログ
「幸福」も「自己実現」も、追い求めるとどこまでいってもきりがない。決して満足することはなく、「永遠の欲求不満の状態」に陥ってしまう。
他者からの、或いは世界からの問いかけに応えようと無心に取り組んでいるとき、その結果として自然と生じてくるもの。
「自分の幸福」を追い求める自己中心の生き方から、「人生からの呼びかけ」に応えていく意味と使命中心の生き方へと転換することで、幸福も自己実現もおのずと生じてくるのではないか。
苦悩は正面から引き受けよ。
悩むべき時には徹底的に悩め。
底まで落ちきったときにこそ、不思議に自然と道が開けることがある。
人は物事の意味さえ確信していれば、相当悲惨な状況にも耐えられる。裏返せば、人は相当の苦難にも耐えられるけれども、無意味には耐えられない。
生きる力というのはあくまで自分の意志の問題であり、あたかも自分の内部から湧いてくるもののように考えがちだが、実際にはそうではないことが多い。
自分ではない誰か、自分ではない何かとのつながりによって生きる力を得ているというのが本質。
Posted by ブクログ
なぜ生きているか?てはなく、「人生」に自分の価値を問われている、ってな考え方(見方)に感動。だっていつも自分が主だし、第一人称だしだから、苦しみ考えツメしすぎてします。でも、この発想だと私が楽になれるかも^_^ なすがままに未来を描き、想い創り、環境にもポジティブ。本来の人らしい人間性で思考すればイイ。楽になりました。でも、元来悩まない私はもっと前向きになりました(笑)
Posted by ブクログ
夜と霧と続けて読んだことでフランクルの思想の理解が深まりとても良かった。
「人が生きる意味を問うのではなく、常に人生から問われているのだ」という思想は、試練に押しつぶされずに生きていくために希望の光となる言葉だと思う。
Posted by ブクログ
よく様々な自己啓発書に出てくるフランクルの夜と霧。
それを短く解説しているこちらの本を見つけたので読んでみました。
全ては気の持ちよう。
人間は、どんな人生を送るのかではなく、常に人生に問いかけられているというところに感動した。
自分がやらなければならない事、自分を必要としてくれている人、自分で無ければできない事。
決して大きな事ではなく些細な事でもいい。
それらを日常の中で見つけて、生きる意味を考えてしっかりと生きていこうと思った。
次は夜と霧のオリジナル版を読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
“あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望することはない”
生きる意味を問うのではなく、目の前のことを一生懸命こなすことで見えてくるものがある。
そして今感じているつらさ、生きづらさにも意味があると知れたら
心が軽くなった。
Posted by ブクログ
解説本を読むことで、やっぱりフランクルは哲学者なんだなと実感したし、彼はユダヤ教徒だからこそキリスト教的考えに目覚めたのだと思った。
そう信じられたら楽だなと思う。
脳を騙すしかない。
Posted by ブクログ
読みやすかったですが、さすがにちょっとダイジェストが過ぎる気もしました。ただ、なかなかにして原作は読みにくいという話ですし、まずはこの本を読んでから原作を読むと理解が進むかも知れません。
フランクルの入門書
名作『夜と霧』とその他フランクル著作の要所を網羅的に解説された、読みやすく理解しやすい一冊です。
精神科医でありユダヤ人でもあるヴィクトール・フランクルの収容所での実体験をもとに、我々現代社会を生きる人間はどうやって生きていけばいいのかが説かれています。
著者、諸富さんの視点から見たフランクルを読み、それぞれ読者も自分自身の生き方を振り返ることができるはずです。
Posted by ブクログ
本書の中に「幸福は求めることができないもの」「求めようとすれば逃げて行くも」「仕事に没頭したり愛する人を愛せばおのずと幸福は手に入る」とあるが(少し略してあります)、何にせよ求めて行くから手に入ることが多いんじゃないかなとは思う。自分の欲の為に求めるなという意味かもしれないけど、結局は自分の為になる行為に繋がるものも多いだろうし。でも、とても大事な事だとは思う。生きて行く上で「深く愛したあった経験」の重要性も解いているが、「確かにそうだよな」と思わせてくれる。
勅使河原蒼風「花伝書」の「求めなければ授からない〜」を連想する内容だった。
Posted by ブクログ
フランクルの考える「人生を生きる意味」は、独特だ。自己実現のために努力して「追い求める」というポジティブ思考ではなく、人生で起こること=「人生から問われていること」ととらえ、それに全力で応えていくという使命感から成り立つととらえている。
追い求めていては、際限なく欲求が高まり、欲求不満状態に追い込まれるのだと。
「人生から問われている者」だと原点に立ち戻ることで、慢性的な不満状態から解放されるという。
これまでに読んできた哲学書とは異なる視点であり、このような考え方もあるのか…と感じる。
生きる意味の根本を「使命感」でとらえるのは、窮屈ではないかな?と思う一個人の感想。
Posted by ブクログ
フランクルの研究で有名な諸富先生による、わかりやすい解説本です。人生に意味はないと悩む方必読。強制収容所での体験を心理学的に考察したフランクルの、厳しくも優しい眼差しが、人生をふと立ち止まらせてくれます。姜尚中の寄稿も興味深い。
Posted by ブクログ
1ヶ月前にフランクルの「夜と霧」を読んだところだったが、分かりやすく解説してくれていて、理解が深まった。
夜と霧についてもそうだし、フランクルの生い立ちや、どのような思想家の影響を受けてきたのかがよりわかったので、フランクルの別の著書やフランクルに影響を与えた思想についても知りたいと思った。
諸富氏や姜尚中氏が引用している中の、「それでも人生にyesと言う」という言葉というかフランクルの思想に感銘を受けた。
夜と霧が、ジャーナリズムとして戦争の悲惨さを伝えるものではなく、一人の人間が究極まで生と死について悩み、希望を見出した過程を描いた作品であったことを再認識した。
自分にも絶望と呼べる時期があったし、毎日悩み苦しんでいた時期があった。その頃にフランクルの夜と霧に出会っていたら、あるいはもっと強く感銘を受けていたかもしれないし、絶望の時期ではない今だからこそ、穏やかな気持ちで理解できたのかもしれない。
いずれにせよ、絶望と思える人生の中で、悩みぬくことで希望を見つけた経験や自分を成長させてくれた経験を思い返し、それらを肯定することができた。
さらに読みを広げていきたい。
Posted by ブクログ
本作はフランクル『夜と霧』の解説本。フランクルの、人は人生に問いかけられている、という考え方や、ホモパティエンス(悩む人)について、説明されている。予約誤りで借りたけど導入本としては分かりやすく読みやすかった。自分の人生に与えられている意味と使命を見つけるための3つの手がかりである「創造価値」「体験価値」「態度価値」。どんな過酷な環境で、前の2つが奪われても態度価値は体現しうる、という考え方は良い指針になると思った。
Posted by ブクログ
人間の欲望には際限がないので「もっともっと」と何かを求め続けてしまいます。
そしてその結果、人は絶えざる欲求不満の状態に追い込まれていくのです。
p59
人間は、人生から問われている存在である。
人間は、生きる意味を求めて人生に問いを発するのではなく、人生からの問いに答えなくてはならない。
そしてその答えは、人生からの具体的な問いかけに対する具体的な答えでなくてはならない。
p60
幸福それ自体を追い求めるのはやめて、仕事にただ夢中になって没頭したり、愛する人を心をこ込めて愛し続けていれば、結果として、おのずと幸福は手に入ってくるもの。
p71
自分の幸福、自分の喜びを追いかけ回しているうちに、人は目の前にニンジンをぶら下げた馬のように「永遠の欲求不満の状態」に陥り、結局、ほんとうの幸福も喜びも得られなくなってしまう。
p72
「人間は結局、何によって救われるのか。
それは、たった一つでいい。
本当に自分が愛した人、自分が本当に大切に思う人と深く触れあうことができたという、その一瞬の思い出があれば人間は救われるのだ」
p89 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
否定的な気分や感情は、さらなる成長に向けてあなたが大きな一歩を踏み出し始めているからこそ生じているのかもしれない。
p109
Posted by ブクログ
<感想>
「成長欲求」と「退行欲求」という考え方がある。個人的には「現実に対してどのようなマインドセットにするか」というアプローチと、「自分自身の内面の問題を自覚する」というアプローチの違いだと捉えている。
本書籍は「現実」の前で人間はどのようなマインドセットになるのか、また、どのように戦えるのか、という内容になっている。ある意味で精神的な健全さ(人間を信じている)を前提にした前向きな書籍であった。
現状の自分にとって必要な知識は、自分自身の内面の課題を自覚する点にある。そのため、本書籍を読むには時期尚早だったと感じた。一年後に再読したい。
Posted by ブクログ
これとは別の本を読んでいたところ、コンタクトレンズが原因で右目を病んでしまい、痛いわそもそも見えないわで、本を読むどころではなくなってしまいました。
しかし眼科の薬のおかげで少しずつ読める状態になってきたので(コンタクトはまだ禁止)、字が大きめで紙面が見やすい本書なら、と思って手に取ってみました。
『夜と霧』は、これは必読だと思い、旧訳、新訳両方とも買ってあるのですが、恥ずかしながら未読です。
そんな私にとって、著者のフランクルがいつどのようにナチスにとらえられ収容所へ連れて行かれたのか、家族はどうなったのか、収容所ではどのように過ごしたか、終戦後はどうなったのかといった背景知識を得られたことは、とても有益でした。
また、フランクルの思想(ロゴセラピー)、傾倒した学者たち、人生の意味とそれを見つけるための手がかりである「三つの価値」、人間の一つの能力であり本質だとした「苦悩」についてなど、人々を苦しみから救う精神科医としてのフランクルを、豊富な写真とともに、『夜と霧』以外の著作からも引用して説明されているのも、彼の人物像をつかむ助けになりました。
ただ、同じ内容が繰り返されている印象を受けます。
フランクルの基本的な考え方としてある程度は仕方ないのかもしれませんが、本文のみならず、姜尚中氏の特別寄稿でも、さらにあとがきでも、フランクルの思想がまとめられているので、ちょっとくどいように感じました。
でもフランクルの言葉には、時代を問わず、生きる意味を見出せずに悩み苦しむ人たちの心にひと筋の光を差し込ませる力が、間違いなくあると思います。
だって、「何のために生きているのか」と問うて思い悩む必要なんてないとフランクルは言ってくれるんですから。
逆に〈人間は、人生から問われている存在である。人間は、生きる意味を求めて人生に問いを発するのでなく、人生からの問いに答えなくてはならない〉のだと。
こう言われたらさ、生きようと思うよね。