あらすじ
王冠のダイヤモンドが盗まれ、首相みずからがホームズのもとを訪ねる「マザリンの宝石」、赤ん坊の血を吸う(?)母親を相手にする「サセックスの吸血鬼」、若い女性に恋をした老教授の不思議な行動に端を発する「這う男」など12編。発表はみなドイル晩年のものだが、「ライオンのたてがみ」以外、事件はすべてホームズの引退前(1903年以前)に起きている。
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Posted by ブクログ
マザリンの宝石
この話は僕読んだことあるよ!ネグレット・シルヴィアス伯爵に盗まれたマザリンの宝石、ホームズはシルヴィアス伯爵を追い詰めるけど宝石の在りかだけはわからない、だから伯爵を罠にかけるんだ!「空き家の冒険」でも大活躍したあの蝋人形を使ってこっそり入れ替わって情報を聞き出す!ホームズかぁっこいい~!!カドミルア卿へのいたずらもお茶目で可愛いなぁ。「僕は頭脳なのだよ。残りの部分はただの付け足しさ」。僕も言ってみたいなぁ。今のところ専ら体専門だけどね………。
ソア橋の難問
ホームズの話の中でも一二を争うくらい凝った話だなぁ!ソア橋で銃殺されたギブスン夫人、お手伝いダンバーさんのタンスから拳銃が見つかりダンバーさんは捕まってしまう。真相は何とびっくり殺人に偽装した自殺だったんだ!拳銃に紐をくくりつけて撃ったら川に落ちるようにしておくなんて現代のミステリーでも通用するよ!さっすがドイルだね!
這う男
ホームズにはこんな珍妙な話もあるんだね。9日ごとに気性が荒くなり地面を這って歩くようになるプレスベリー教授。周りの皆が困惑する中、その真相は類人猿の血清を投与していたこと。えぇ!そんなことあるのぉぉ!!??幼妻を手に入れたプレスベリー教授は自分も同じくらい若返りたくなってオカルトに手を出してしまった………。おい!教授!学者なら理性はしっかりしなきゃ!!でも、そう思っててもやめられないくらい妻のことが好きだったってことだよね。何か悲しいな………。
サセックスの吸血鬼
話が重いよぉ。結末知ってるつもりでいたけどとんでもないね。思ってた以上に怖かったよぉ。ロバート・ファーガスンの妻が赤子の血を吸うという怪事件が発生!近代のイギリスに現れた吸血鬼!?かと思いきや、妻は赤子についた毒を吸い取っていただけで子供思いのお母さんだった。ここまではいいけど!まさか犯人が子どものジャッキーだったなんて!でも考えてみたら動機があるもんねぇ。再婚した妻が元妻の子どもを愛せないってことがあるなら、元妻の子どもが再婚した妻の子を許せないってこともそりゃああるよねぇ。
三人のガリデブ
これは僕でも推理できたよ!赤毛組合と同じだね!ジョン・ガリデブこと殺し屋エヴァンズはネイサン・ガリデブさんが住んでる家に用があった。でもネイサンさんが全く外出しないもんだから、三人のガリデブをでっちあげてネイサンさんが外出しなくちゃいけない理由をでっちあげたんだ。でも今回の犯人は過去にも殺人犯してる犯罪者だし、ワトソンさんも撃たれるしヒヤヒヤしたよ!
高名な依頼人
こんな話あったっけ?僕は全然覚えてないや。ジェイムズ・デマリー大佐を通じて高名な依頼人から依頼されたヴァイオレット・ド・メルヴィル嬢の結婚の妨害。ロンドンでもかなりの危険人物グルーナー男爵が自分の邪悪さを隠してヴァイオレット嬢と結婚しようとしていたのだ。ホームズに要注意人物と思われているだけあって、手強いよねぇグルーナー男爵。事後暗示も抜かりないし、ホームズであることやワトソンのこともすぐに見抜くし、有言実行でホームズに怪我も負わせるし、かなりの強敵だよね。でも、そこはさすがホームズ。キティ・ウィンターさんの情報を元に切り札になる手帳を見事に盗み出す!敢えてホームズに企みがあるぞって読者にも思わせてくれるからワクワクしながら読めたね!最後はウィンターさんの復讐で幕を下ろすわけだけど、いくら計算高い悪党でも過去の女の恨みまでは計算できていなかったわけだね。
三破風館
これも全っ然覚えてないや。メアリ・メイベリーさんの三破風館を調度品そのまま言い値で買いたいと言ってくる不動産屋。ホームズに相談したところホームズはスティーブに脅される。スティーブの背後にいるバーニー、その後ろにいる黒幕は何故三破風館を狙っているのか?何か裏があることまではわかるけどそれが何かまでは一向にわからない。不動産屋が動いた時期から徐々に真相に迫っていって、結局背後にあるのは色恋沙汰。メイベリーさんの息子ダグラスさんをこっぴどく振った悪女イザドラ・クラインさんはダグラスさんの自叙伝を盗もうと画策した。でも指示した奴が乱暴だったから色々と話が物騒になったんだ。ホームズが自分の正義感で動いてることが良くわかったね。確かにクラインさん、悪女だけどめちゃくちゃ悪いことしてたわけでもないし、あれで良いのかも。いつか飼い犬に手を噛まれるって忠告、確かに実現しそうだなぁ。
白面の兵士
これは覚えてる!ホームズが書いた初めての話って思ったら良いのかな。ジェイムズ・M・ドットさんが見た真っ白な顔の親友ゴドフリー・エムズワースさん。彼を隠そうとするゴドフリー家の秘密とは何なのか?真相はハンセン病だったわけだけど、ホームズ目線で書かれると本当にホームズの推理力がめちゃくちゃ高いのがよくわかるよね!やってることは安楽椅子探偵と変わらないくらい早くから真相を見抜いてるんだから!それに、ホームズがワトソンさんのことをどれだけ大切にそして特別に思ってるかもわかって美味しい話だなぁ。
ライオンのたてがみ
印象に残る事件だよねぇ。動物が事件の犯人でしたって話の中でもトップクラスに特徴的なんじゃないかなぁ。フィッツロイ・マクファースンさんを襲った謎の襲撃犯。動機がありそうなイアン・マードックさんには完璧なアリバイがあった。その真相はサイアネア・カピラータっていう大クラゲ!キタユウレイクラゲともいう実在するクラゲらしいね。「ライオンのたてがみ」っていうダイイングメッセージもキャッチーだし、好きな話の一つだなぁ。
隠居した画材屋
こんな話あったっけ?の一つだけど良い話だねぇ。いかにもミステリーって感じ。ジョサイア・アンバリーさんの妻と近所のレイ・アーネスト博士がアンバリーさんの財産を持って駆け落ちした。ホームズは駆け落ちした二人と財産を見つけられるのか!?って話だけど、終盤でしれっと「死体はどうしました?」って聞くホームズにしびれるねぇ!これぞ名探偵!って感じ。ホームズのライバルが出てきたりするし長編で読みたいなぁなんて思わせてくる話だなぁ。
ヴェールの下宿人
ホームズの中でも特に変わった話だなぁ。メロリー夫人から相談されたヴェールの下宿人。下宿人ユージニア・ロンダーさんは過去のライオン絡みの事故の被害者だった。ロンダーさんは暴君な夫を殺すためレオナルドと共謀してライオンに殺されたように偽装するもライオンに襲われて顔に大ケガを負ってしまう。それでもレオナルドを守るために今まで真相を告げなかった。ホームズの推理が一切ないこの話だけど、最大の見所はロンダーさんが過去の呪縛から解き放たれたことだと思う。夫を殺し、真相を隠した罪に苛まれながら生きてきたロンダーさんがホームズの一言で自殺を止めて生きようとする。ホームズだからこそなし得たことなのかもしれないなぁ。
ショスコム荘
ジョン・メイスンが持ってきたショスコム荘の不思議な事件。ショスコム荘のロバート・ノーバートンさんと妹のビアトリス・フォールダーさんの関係がいきなり悪くなり、納骨堂や地下室で白骨死体が発見される。かなり後味の悪い話だったなぁ、ロバートさんは妹さんのお金に頼りきってたから、競馬のレースまで妹さんの病死を偽る必要があった。そこでメイドさんの旦那さんを使って妹さんが生きてるように見せかけた。ホームズも糾弾こそすれど警察に任せたし、警察や裁判の結果も寛大なものだった。若干良い話風に終わってるのはちょっと釈然としないなぁ。妹さんの死を冒涜したようにも思えるけどなぁ。
これで残るホームズも後一冊。49作の短編と4作の長編を読み終えたわけだけど、残るホームズは後7作。忘れてる話も覚えてる話も色々あった53作だった。さぁ、後7作。霧の都の冒険もそろそろサセックスが見えてきた。
Posted by ブクログ
ホームズシリーズ最後の短編集。
とうとう読み終わってしまったと思うと達成感より寂しさが勝る。
もっとたくさん読みたかったなぁ…。
今回は、ホームズ視点の『白面の兵士』と『ライオンのたてがみ』があってなんだか新鮮。
『ライオンのたてがみ』では引退してるんですが、ワトソンとはもうほとんど会わなくなってるという事実にちょっとショック。
そうかぁ…ずっと一緒にはいられないんだね。それはそうか。
でも、『三人のガリデブ』ではワトソンが撃たれて今まで見たことないほど取り乱して心配してるホームズや、撃たれたのにこんなホームズが見れたのなら報われたとか言っちゃうワトソンが見れて二人の仲良さというか関係性が見れて良かった。
『高名な依頼人』ではホームズが負傷してそれを心配してたり、『三破風館』ではホームズに迫る危険に対して火かき棒をすぐ構えちゃうワトソンの狂犬ぷりが個人的に好き。
これで終わるのはホントに寂しい…とりあえずパスティーシュものでも読もうかしら。
あとは再読もしたいな。