【感想・ネタバレ】夏帆―The Tale of KAHO―のレビュー

あらすじ

私はこの世界の出口を見つけなくてはならない――。女性を主人公にした初の長編小説。「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」 26歳の絵本作家、夏帆は初対面の男にいきなりこう告げられた。とびきり美しくも賢くもなく、ただ少しばかり好奇心の強い彼女は、怒りよりもショックよりも、ただ純粋に驚いた。しかしそれから彼女の周りでは、実にさまざまな奇妙な出来事が起こりはじめる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大好きな村上春樹の新作をですが高校生の息子が先に買ってきてくれました。私は高校生の時は村上春樹を読めず大学生になってからでしたが息子はちゃんと読めているんでしょうか。

それはいいとして夏帆はまさに主人公夏帆をめぐるファンタジーと現実が入り混じった物語。
若い女性が一貫して主人公って村上作品では珍しいですが海外文学の下りやクラシック音楽の細かいウンチクなど随所に(気にならない程度の)村上節が溢れてて良いですね。
そしてバイクをあえてモーターサイクルというのもこだわりが強そうで好きです。

ありくいやらジャガーやらシロアリの女王なんかが出てくるファンタジーな要素は夏帆が描く絵本とも絡めて良い味出してますし現実のストーリーと絵本の世界が重層的に展開します。また、現実パートでは武蔵境やら花畑やら浦和など地味なエリアにスポットが当たってますし脇役で登場するアウトローな叔父さんの昭和感も好きです。

普通一人娘だと母親とは友達のような関係になると思いますが
夏帆と母親はそこに普通とは違う確執があり、見て見ぬふりをしてきたそのしこりのようなものを精算するというのも一つのテーマかと思いますがシロアリの女王の抹殺により解決したようなしてないような描き切られてはいませんがなぜか読後は大団円的な安心感がありました。

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2026年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

非現実的でありながらとても現実的な村上春樹の作品が好きなんだと改めて思った。
現実的たらしめるのは秀逸なメタファーあってのこと。
読みやすいしデフォルメ加減が振り切っていて面白みも感じた。
最後に大団円と思いきや少し様子が違うというかゾッとする瞬間もあった
好むと好まざるとにかかわらず
第一章の終わりは希望を感じる、絵本を書くことが夏帆の心を癒していたというのは作者自身の自己療養であるという考えが反映されている。「どこか暗くて、深いところで」というのがまたいい。

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2026年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わって、自分の物語だったなと思った。

読み始めは、すいすい読みやすく、でも、のっけからのハラハラはありつつも、絵本作家の若い女性が主人公だからか、ほっこりのんびり暮らしの話な気がしてしまった。以前途中で読むのをやめてしまった三浦しおんの「指先に魔法」を思い出した。
お決まりのユーモラスな動物や悪しき存在、忌避したい存在、2つの世界が交互に展開するなど、村上ワールドが展開。
村上春樹は好きなんだけど、またこういう感じか、昔のもっと荒くてドロドロした方が好きだったな、早く終わらないのかなと思っていた。
母親との描写が増えだして、ああ、これは母娘の話なんだな、と。
血は繋がっていても、毒親とは言えなても、何か馴染まない、平行線の関係。一番近くてもおかしくないのに、愛せない存在。その事に知らず知らずに罪悪感を抱いてしまい、ずっと心の奥底の大きな傷になっていた。
いつかは、向き合わなければならなくて、その比喩的な形での殺人。お互い、愛しているとは言えなくても、または愛していなくても、向き合っていければいい。
向き合えたことで、お互いがお互いを救うことができた。

夏帆は村上春樹自身の投影のように感じた。同じ作家で、夏帆が絵本の内容を考える様子がこの小説を練る村上春樹自身に重なって、入れ子のよう。
村上春樹も父親との関係について「猫を棄てる」などで語っていたけど、強い印象を持っている一方で距離があったようだし、性別を反転して夏帆の母娘関係に投影されているように感じた。
母娘の愛憎というのは昨今は娘に干渉する毒母の話などでフューチャーされようになっているし、物語として描きやすく、読み手にも共感されやすくなっていると思う。

ラストはスッと終わってしまったようにも思うけど、自分も、いやあ、そんなことはできない…とか感情移入しつつカタルシスを感じた。

後半にはキャラが立っていた叔父さんやアリクイがいなくなっちゃって、残念。もっとあとにも絡むかと思ったのに。

佐原/モーターサイクルは絶対悪のような存在かと思っていたら、守護天使!?とのこと。

とぎやのおじさんもジャガーが抜けたあとは協力してくれるし、悪だと思っていた存在が実は自分の味方だったり、そう変わってくれたり。

昔の村上春樹作品は、巨大な絶対悪に個人が精神的に立ち向かっていく話だったかなと思うけど、今回の作品は、絶対悪や受け入れられないと思われるものであっても、実は善であったり善に変わったりする、二元論ではない、和解や融和みたいな世界観に変わったのかなと思い。またそれにしっくり来た。


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2026年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章は全然まとまってない、読み終わった直後の感想。
父親がレコードとプレイヤーを大事にしていてリビングを占領したがるのわかる。何組かの夫婦でそういうの見たことある。しかし点滴打ってるし大丈夫だろうみたいな父親の態度は不安しかない。母親が無事でも主人公は「良かったぁ…」ってじわぁっとならないのが、そんなに好きじゃない感がリアルだった。

お母さんとの対決が消化不良。
「私を産まなきゃよかったんでしょ?」「知らないままの方がいいことも多いわよ。まあでも言うけど、あなたを身籠ったのは全くの予想外で、もしそうなっていなかったらお父さんの元を去っていたと思う、確実に。」のやりとりを本物の母としてくれ〜バトってくれ〜〜ってなった。あの時の本心とやらはシロアリの女王の人格でしかないから。
でもずっと前から乗っ取られてた可能性もなくはないって言ってたか。どうなんだろう。

母の代わりに朝6時に起きて朝食を作る夏帆の設定が、ジブリのヒロインみたいでもやもや。

『女主人公にしましたよ、母娘問題ってこういう点が対立しがちでしょー』って感じで、この本でこの問題については一番に深掘りしなくてもいいかなって今思ってる。タイトル夏帆ってなぁ…女主人公であるってこと以上の何かをタイトルに置く気にはならないの?と思う。
それよりは境界線というのか、「リアルと夢の境目が曖昧である」こととか、「一度ぺしゃんこに踏み潰されて生まれ直すことこそ、元の世界に戻るのに必要なのだ」みたいなことの方が深掘りできるのかもしれない。

前作の不確かな壁とか、読むのに時間かけすぎたから一気に読んでどっぷり浸かった感はなかなか良くて、ありくいもしばらく頭に住み着きそう。実際自分の家に現れた鼠のことも何か遠くから伝えに来てくれた存在だったのかなどと思う。

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2026年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったが、刺激が足りないような印象を受けた。童話的だが、どこか平凡。守護天使の件は印象的だった。
村上春樹の不思議な世界観の小説にしては全てが説明されている。
この話に、''語られている内容以上''の有用性や解釈を加えるのは難しい。簡潔が故に付加価値が少ない構造だと思った。

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2026年09月04日

ネタバレ 購入済み

愛と感謝

いったい、なんの意味があって女性が母親の性的な姿を思い浮かべねばならないのだろう?
読みながら「母親」という言葉から自分の母親を想像してしまったのは私だけではないのでは?
村上春樹は大勢にそんなことを想像させたかったのだろうか?
途中から本と自分の世界を切り分けて読んで、客観的に映像を見るかのように読み進めたものの、
なぜ、娘が母親の乳房を観察しなくてはならないのか?と少々不愉快だった。生理的に不愉快だった。
寝てたらどんなに形の良い乳房でもふっくらはしない。

女性には描けない物語だったろう。

読むんじゃなかった。
それともどこかに高尚な解釈でもある?

子供が山で置き去りにされるところも、なぜ多くの日本人が(村上春樹の読者は少なくない)少女が山で1人きり…ってイメージを想像することになってしまうのか。潜在意識で大勢がイメージしたことって現実になりやすいのに。

まして、読者は何回、キリのような刃物を寝てる他者の胸に刺すことを脳内で再生させられただろう?

ディズニーが買い取ってからのスターウォーズみたいに、大切な私たちのヒーローが息子によって殺されるのとおんなじような不快感と残念さだった。

娘が母親を殺すのはなんのメタファーなの?
どんな意味がこの物語にあるの?

作家に倫理を求めるわけじゃないけれど、どうして村上春樹がこれを書いたんだ?シロアリの女王が彼に書かせた?

読み終わった全ての読者の心に愛と温もりが訪れますように。

#シュール #怖い #ダーク

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2026年07月10日

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