【感想・ネタバレ】かたちだけの愛のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ありきたりな言い方しかできないけど、ほんとに本当に、読み応えのあるすごい小説です。
「ドーン」も、宇宙開発から米大統領選まで、すごい壮大な話でありながら、最終的には「愛」のストーリーだったことに驚かされたけど、これはタイトルからしてもちろん「愛」の話です。
「愛とは何か」っていう究極の問いから書かれた小説なのか、分からないけど、お腹に「ずん」と来る読み応えのある場面が随所に出てくる。

事故の場面、事故にあった女優をたすけた主人公の“相良”が、彼女に会いに行く場面、彼女と体を重ねる場面、「魔性の女」と言われた彼女が縁を切れなかったヤクザな男との対決場面・・・。
あと、いい小説は、脇役のキャラが良い。興奮して自分の言うことに「ええ!ええ!」と相槌を打ちながらしゃべる「曾我」、小さなことでも大きなことでも驚きを「マジっすか」で表現する「緒方くん」。義足を作る装具師の「淡谷大三治(あやわだいさんじ)」。

「かたちのない愛」「かたちだけの愛」「愛のかたち」。
相良を導いた女性が言う、「愛にはかたちも大事ですよ。単なる恋とは違うんですから」。
うーん、深い!!!

平野くんは、たまたま小説家になったけど、もしかしたら宇宙飛行士になっても医者になってもデザイナーになっても一流なんじゃないかな、と思った。

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2021年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 約1年前に、新書「私とは何か」を手にとって以来、ようやく分人小説4部作を読み切った。文庫化を心待ちにしていたこの作品のテーマは、ずばり分人と愛。事故で足を切断した女優と、義肢のデザイナーによる恋愛っていうと、ちょっとアルモドバルのトークトゥハーを連想して「献身」がテーマなのかと先入観を持ったのだが、さすがに平野文学は圧倒的なリアリティー。
 刹那に宿る「恋」を花だとすれば、関係の維持に努める「愛」は果実であり、その狭間にあるセックスは、花が果実になるための季節の変わり目のようなものだという。愛は利他だけでなく利己が必要であり、利己の塊のような存在である三笠を通して相良は、完全な献身にも愛はなく、愛には献身と身勝手という両義的な価値が必要であることを気付く。谷崎の陰翳礼賛を引用し、光と影の絶え間ない反転こそが人間の関係性の本質であると。

 僕は、ずっと分人主義的な考えでは、同時にいろいろな人を愛することを肯定してしまうのではないかと疑問だったのだが、それにもしっかりと答えを出してくれる。愛とは、相手の存在が自らを愛させてくれることだからだ。だから、一生をかけて一人の人を愛し続けるということは、一回しかない自分の人生を一生かけて愛し続けることに他ならないのだ。

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2013年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎受け取ったメッセージ、感想
印象的なフレーズは、
「自分勝手に、自分の欲するまま見せること
 =遠慮のなさで愛を示す事」。
自分では思い至らず、ハッとさせられた。
遠慮する、気を遣うというのは、
時にその距離を見せつけられているようで
寂しい時もある。
どうしても欲しい!と激しく求める潔さの美し
みたいなものもあるよなぁと思った。



⚫︎あらすじ(本概要より転載)
事故による大怪我で片足を失った女優と、その義足を作ることになったデザイナー。しだいに心を通わせていく二人の前に立ちはだかる絶望、誤解、嫉妬…。愛に傷ついた彼らが見つけた愛のかたちとは?「分人」という概念で「愛」をとらえ直した、平野文学の結晶!

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2023年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

義足を作るということを通して、仕事とは、価値を生み出すとはということを問いかけてくる。自分自身でも良くわからない、処理できない気持ちにじっくり向き合って整理していく過程が印象的だった。
最後に希望が持てて良かった、

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2019年06月19日

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