あらすじ
アイルランドは人口僅か三五〇万余の小国ながら現在、世界各地に住むアイルランド系の人々は七千万を超すといわれる。現大統領メアリー・ロビンソンは就任演説で「七千万同胞の代表として」と抱負を語った。紀元前数世紀いらいの古いケルト文化と伝統を継承するこの国は、いま統合ヨーロッパの息吹の中で、新たな飛翔を試みている。本書は五千年に及ぶ民族の哀歓の歴史を跡づけ、北アイルランド問題の本質にも迫ろうとする。
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Posted by ブクログ
優れた者を意味するケルトは、紀元前6世紀頃に大陸からアイルランドに渡った。大陸では中欧から西欧にかけて生息し、ローマ帝国の侵入やギリシャの神殿デルフォイの破壊を行った。そんなケルト人だが、文字を持たず、またそれゆえに自分たちの歴史を書き遺さなかったためか、現在でも不明な点があり、間接な情報から推測するしかない。キリスト教改宗以前では、ドルイド教と呼ばれる宗教を信仰していたが、こちらも不明な点が多い。本書では古代から90年代のアイルランドの歴史に触れるが、その中で欠かせないのがイギリスの存在である。長年イギリスの支配に悩まされたが、その発端はプランタジネット朝ヘンリー2世が原因である。
Posted by ブクログ
著者によると、アイルランドは古代から内乱が絶えなかったそうです。
その複雑な歴史から、現在は英国に組み込まれた地域と、独立を選んだ地域があります。2つの地域は互いに敵視しているようで、「政治的な考え方の違いがもとで、ここまで争い合うのか」と衝撃を受けました。
Posted by ブクログ
元大使でその前は記者だった著者だからこそ書けたのでは。記述は詳細を極めており、よくここまで調べて、この分量に収めたものだ。
なんと難しい状況を背負った国だろうか。
個人的にはイギリスの首相がグラッドストンになったあたりから、俄然面白く読めた。
Posted by ブクログ
駐アイルランド大使を務めた経験もある著者によるアイルランド通史。
アイルランドの起源から1990年代まで、一冊によくまとまっている。
島国として、グレートブリテン島とヨーロッパ大陸(北はスカンディナヴィア、南はスペイン、フランス等)の影響を不断に受け続けてきた歴史であった。
また、ヘンリー8世によるアイルランド支配や清教徒革命の頃から特に、カトリック対プロテスタント、英国との連合派(ユニオニスト)対独立派(ナショナリスト)といった対立軸が常につきまとうようになり、複雑な歴史を形作っている。
記述が相前後しやや分かりにくい箇所があるものの、アイルランド理解にはうってつけの一冊といえる。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
アイルランドは人口僅か350万余の小国ながら現在、世界各地に住むアイルランド系の人々は七千万を超すといわれる。
現大統領メアリー・ロビンソン女史は就任演説で「七千万同胞の代表として」と抱負を語った。
紀元前数世紀いらいの古いケルト文化と伝統を継承するこの国は、いま統合ヨーロッパの息吹の中で、新たな飛翔を試みている。
本書は五千年に及ぶ民族の哀歓の歴史を跡づけ、北アイルランド問題の本質にも迫ろうとする。
[ 目次 ]
序章 古代アイルランド
第1章 中世アイルランド
第2章 イギリスによる植民地化
第3章 近世初期のアイルランド
第4章 カトリック教国アイルランド
第5章 アイリッシュ・ナショナリズム
第6章 独立運動の高揚
第7章 アイルランド自由国から共和国へ
終章 戦後のアイルランド
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
アイルランドの歴史が新書サイズで読めるありがたい書籍。ケルト住民が移住してきた古代から現代に至るまでの歴史が書かれている。しかし、本土以外の従事した戦闘に関してはスルーされているので他国での戦闘はその地域の国の歴史書で補完したほうがいいだろう。英国側として参加したはずのアメリカ革命は単語が出てきただけで終わった。
Posted by ブクログ
ちょっとした読みものとして十分合格点に達してます。
ケルトは謎めいた魅力的ですなぁ、アイルランドでビール飲みたくなってきた。夢のまた夢ですが。