あらすじ
織田信長が天下布武(てんかふぶ)を掲げた頃、陸奥(みちのく)の南部家では内紛が続いていた。新たな時代を予見する九戸党の棟梁・政実(まさざね)は、ついに宗家を見切った。戦の天才「北の鬼」九戸政実が、武者揃いの一族郎党を束ねて東北の地を駆け巡る。著者が故郷を舞台に熱き思いを込めた歴史巨編「陸奥3部作」の最終章、待望の文庫化。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
主人公・九戸政実が率いる九戸党は、南部家を宗家と戴いている。
南部は隣接した地域・津軽との小競り合いが絶えない。
そして南部家(源氏の流れ)と敵対している安東家(蝦夷の一族)。
時は戦国。
右を向いても左を見ても戦のたねは転がっているというのに、南部家のお館様は自分のことしか考えない、器の小さな男であった。
政実は伊達や最上の動向を見、武田、上杉、織田などが着々と勢力を広げているのを忸怩たる思いで眺めている。
自分もせめて東国(関東)に生まれていたら、もっと活躍できたはずなのに、陸奥で仲間内の勢力争いばかり行っていることにうんざりしている。
結果を知る身からすると、政実は秀吉に勝たないのだから、どのように喧嘩を売ってどのような負け方をしたのかが読ませどころなのだろう。
一巻の最後では、信長より2歳年下の政実は43歳?
北条早雲並みに遅咲きと言える。
政実は最初から野心満々だ。
ただ、周囲がそれを許さなかった。
大きく活躍する場を与えられなかった。
でも、「なぜわからんのだ」と周りの無理解に腹を立てる前に、まず言葉をつくして説明したらどうだったのだろう。
彼の態度が無用な敵をつくったと言えなくもない。
義の人と言われる八戸政栄。
どこかで見た名前だと思ったら、「かたづの!」(中島京子)の主人公、袮々のお祖父さんですね。
世界が繋がっていって、楽しい。