あらすじ
村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒──後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。
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Posted by ブクログ
吃音の非常勤講師である村内先生が、たくさんの中学生に出会っていく話。吃音って言葉を初めて知った。中学生の打ち明けられない思いに対して、ムラウチ先生は寄り添ってくれる。そばにいてくれることの安心感は絶対に力になってくれる。きっと中学生たちはムラウチ先生を忘れないし、周りに優しくなれると思う。どんな時もムラウチ先生は大切なことしか言わない。だからこそ、その言葉には嘘がない。勝手に判断しないで、真実を見極めてくれる、そんな先生だから安心出来る。先生みたいな大人になりたい。
Posted by ブクログ
読んでよかったなと思う本。
村内先生が教えてくれる「たいせつなこと」
それはとても大事なことだと思いました。
社会人になった中で自分の在り方や社会に疑問を持ってた自分も自分らしく生きることが大事ということが自分らしくある中で当たり前ながらに大事なんだなあと感じました。
Posted by ブクログ
吃音で最低限の大切なことしか話さない、だからこそ話す言葉は全て大切なことである村内先生の言葉が好きです。
個人的には最後の短編である「カッコウの卵」の「人はひとりぼっちになりなくないから嘘をつく、嘘をつかなければひとりぼっちになってしまう人が嘘をつく」というセリフが心に沁みました。
もし自分が村内先生と出会っていたら…という想像が広がる心温まるいい作品でした。
Posted by ブクログ
重松清好きの息子のおすすめで手に取った本。
正直、重松清は好みに合うかわからなかったけど、ひとまず読み始めた。読むのを途中で一度中断。前半は感動を狙った作品のように思えて、単調さが気になったのもある。しかし、後半は引き込まれるように、そして大切に読みすすめた。
一番最後のお話が一番いいんだ、と教えてくれた息子のお勧め、カッコウの卵。村内先生の「バンザーイ!ばんざーい!」が素朴で胸に刺さった。「ひとりぼっちにさせない」だからこそ、「共感する、寄り添う」。言葉は違っても、結局教師の仕事ってそこなんだろうなぁと改めて思った。この本を「書架に置きたいくらいいい本だと思う!」といった息子の感性が嬉しく、そしてそんな素直な気持ちをもった息子を誇らしく思う(親バカながら)。
Posted by ブクログ
吃音の国語教師、村内先生が人には打ち明けられない悩みを抱える中学生たちに寄り添い、大切なことに気づかせるハッピーエンド短編集。村内先生は、「自分は上手く話すことは出来ない代わりに、大切なことだけを一所懸命しゃべります。」と言う。その言葉通り、孤独な生徒たちにそっと寄り添い、様々な苦悩に希望を与える。いじめ関連4章、打ち明けられない悩み系4章で構成されている。前者はいじめ発生後に学校が用意した偽善的な学級目標や学校目標、いじめ告発box..etcいずれもどこか表面的で胡散臭く、むしろ歪な友情を作り出してしまう中、村内先生と接することでそれらに違和感を覚え始めるいじめ加害者の心理変容が興味深い。後者は悩みの種類は違えど吃音の村内先生に一人じゃないことを教えられ前を向いていく点は共通の印象。きっと先生も「ひとりぼっち」だったのだろうが、先生にも「村内先生」がいたのだと思う。著者の重松清氏も吃音であるらしく、間違いなくこの人にしか書けない作品だと感じた。個人的に「カッコウの卵」がイチオシ。