あらすじ
「一日に五千回ぐらい、死にとうなったり、生きとうなったりする」男との束の間の奇妙な友情(表題作)。トマトを欲しながら死んでいった労務者から預った、一通の手紙の行末(「トマトの話」)。癌と知りながら、毎夜寝る前に眉墨を塗る母親の矜持(「眉墨」)。他に「力」「紫頭巾」「バケツの底」等々、日々の現実の背後から、記憶の深みから、生命(いのち)の糸を紡ぎだす、名手宮本輝の犀利な「九つの物語(ナイン・ストーリーズ)」。
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Posted by ブクログ
現実からはみ出すぎないぎりぎりの範囲、尼崎の交差点に1人の男の大事な大事な手紙が埋まってるなんて、夢のある話ではないか
あぁっどうして、もったいない、のような後悔と焦りの気持ちにさせられる、単なる恐怖よりもこういう気持ちの方が僕は感情が揺らぐ、トマトの話も、ライターの話も
今更どうしようもないやん、みたいな事柄を積み重ねて大人になってゆくのかな
宮本輝、大阪育ちということで大変没入しやすい場面設定。
五千回の生死 宮本輝
トマトの話:伊丹、梅田
眉墨:軽井沢病院