あらすじ
\NHK「100分de名著」講師陣が贈る/
なぜ本を読んでも、
人生は変わらないのか。
情報はあふれている。
AIが考えてくれる時代。
それでも、なぜ本を読むのか。
速く読む。たくさん読む。
——それだけでは、人生は変わらない。
必要なのは、
本を「自分の人生」に接続する読み方。
「読むこと」の本当の意味。
斎藤幸平、小川公代、安田登。
名著を読み、人生を揺さぶられてきた人たちが、
その実感から語る、読書の核心。
マルクス、デカルト、孔子。
『フランケンシュタイン』『平家物語』ドストエフスキー。
遠い知識ではなく、
いまを生き抜くための視点を得る。
NHKプロデューサー秋満吉彦氏が、
制作の舞台裏と名著への補助線をひく。
本が読めなくなった人にも効く積ん読解消術。
「読んでおきたい名著77冊」リスト付。
多読や速読を超える、
「自分をつくる」ための読書論。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
『血肉となる読書』というタイトルに、私は強く心を惹かれた。単に知識を蓄えるための「読む」行為を超えて、本の内容を自分の一部とし、人生を形作る「血肉」とすること。それは、私が読書に求める究極の形であるからだ。
本書は、NHK「100分de名著」の講師陣である安田登、小川公代、齋藤幸平といった豪華な顔ぶれによって執筆されている。それぞれの専門分野の視点から、読書の深い意味や力、そして人生に与える影響について、多角的な考察が展開されている。
「いい本だった」で終わらせない。その力強いメッセージは、私の心に深く響いた。単なる情報の消費としての読書ではなく、本の内容を自分事として捉え、自らの思考や行動に反映させることの重要性を説いている。それは、本を通じて自己を深く見つめ、新たな自分を発見するプロセスでもある。
読書とは、単なる娯楽ではない。それは、未知の世界への扉を開き、多様な価値観に触れ、自己を成長させるための貴重な機会である。本書を読んだことで、私は改めて読書の持つ計り知れない可能性を感じ、今後も本と真摯に向き合っていきたいという思いを強くした。
読書は、私の人生を豊かにし、彩りを与えてくれるかけがえのない存在である。『血肉となる読書』は、そのことを再確認させてくれる、素晴らしい一冊である。
Posted by ブクログ
「100分de名著」のプロデューサー秋満吉彦さんをナビゲーターとして3人の知識人の読書との関わりを通して、血肉となる本の読み方を伝えてくれる。
本とともに生き、仕事としている方の経験談はとても深かった。秋満さんの補助線も広がりを感じた。
斉藤幸平さんの章は、ご本人の話を聞いたり著書を読んでいるためか特に驚きはなく淡々と読んだ。
小川公代さんの章では、ゴシック小説から見出す弱い立場の人たちの存在からケアの倫理に繋がっていくことに興味を持った。ゴシック小説家に女性が多いことは知らなかったし、ネガティヴケイパビリティを物語が養ってくれる、という点は納得。小川さんは無意識についても語っていたが、死が近い母親への語りに尽力する姿に感動した。これってミルトンエリクソンの無意識に語りかけるやつだよね?と浮かぶ。
本の読み方として柱リーディングを推奨。長い時間かけて一冊をじっくり読むことで、長期的なスパンで自分を育て、生きていく上で必要な「体力」をつけることができるとのこと。実践したくなる。
能楽師の安田登さんの章では、古典から吸収する力に圧倒される。
AIによってシンギュラリティが起きる未来。これと同じくらいの特異点を過去にあったかどうか考えてみるとそれは「文字の発明」ではないかと。
古典を読み解く術が複数紹介されている。漢字が中国から入ってきたとき、その概念が日本にあるものには「訓」を付けたわけだが、「死」には訓がない。ということは日本には死の概念がなかったのではないか。「問う」とはどういうことか考えると、「訪う」や「弔う」と同じく、自ら働きかけ何かの行為をすることである。故に答えのある問いは「問い」ではないと主張する。
古典は原語で読むべき、解釈が変わってしまうことがある。新約聖書の「悔い改めよ」は古代ギリシャの方言では「考えを180度変えなさい」という意味になる。など具体的な古典の面白がり方を伝えてくれる。「タウマゼイン」に出会える読書をしてほしい。「タウマゼイン」とは「wonder」「驚き」という意味。プラトン曰く「哲学の唯一の始まり」である、と。
最後にこの一冊を通して印象に残ったこと。
能にはシテとワキという役割がある。シテは何か問題を抱えている幽霊、ワキはシテの問題を解決するために、直接的には尋ねず、間接的に語らせる場を作る。シテが問題を語り昇華できたときに成仏できる。これが「弔う」である。
これって、小川さんの章で言っていた、死が近い母親に語りを通じて心を癒すことに繋がっているのではないか?と思った。直接的ではなく間接的に無意識に向けて語るという相手への思いやりが大切なのかもしれない…と。
直接的な読書のノウハウというよりは、読みたい本が増えた感覚が心地よく、読みたい意欲が高まった一冊だった。