あらすじ
「罪の償いの期限がきたので、迎えにきた」といい、かぐや姫を月の都に連れ戻しにきた天人たち。しかし『竹取物語』ではどんな罪を犯したのか説明されていません。「かぐや姫が犯した罪」とは何か? 「消えたかぐや姫の前世譚」とは? 「霊峰富士山とかぐや姫」との関わりとは? 「聖母マリアとかぐや姫の不思議な共通点」とは? 日本文学ではなく、神道学の視点から、天上界でのかぐや姫の意外な過去に迫る一冊。
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Posted by ブクログ
他のコメントにもあるように、かぐや姫の罪にたどり着くまで結構時間がかかります。でも、その過程で出てくる寄り道話が面白いので星4です☆
ぜひ久しぶりに道草をくってみてください!
Posted by ブクログ
映画の公開に合わせて発売が決定したのなと、うがった考えをしてしまったが……。
薄さの割には、なかなかの読み応えだった。
かぐや姫から聖母マリアまで話が飛躍したのは驚いたが。共通点が多いのも驚いた。
Posted by ブクログ
神道学者の方が神道学の視点からかぐや姫の罪を解き明かそうとする本。
文庫の値段で竹取物語絵巻がカラーでついてくるので、それだけでも価値があるかもしれない。
すっきりするダイレクトな答えとか、どんでん返し的な裏話は書かれていません。
結論の要約は「おわりに」の部分で書かれているので、買うのを迷ったらまずはそのページだけ読むのがいいかもしれない。本文はその論拠をあの手この手で語っている、そんな感じ。
当たり前だけど「竹取物語」という物語自体は続編があるわけでもなくあれが全てなので、読者が「物語」の謎を解明したいという、一般的な小説を読むような姿勢であれを読むならば、それは各自で頑張って竹取物語を読み込んで謎をあれこれ推測するしかないわけです。
ご存知のようにかぐや姫の罪が何かは原作本文には一切書かれていないので。
それでも罪がなんだったか知りたければ、答えは物語中に求めるのではなくもう少しメタ的な視点に求めるしかない。作者の意図とか当時の社会的背景とか、そういうやつです(竹取物語は作者不詳、接ぎ木のように長い時間をかけて複数人の手で作り上げられたみたいです)。
そういう意味で、神道学の視点で彼女の罪を推測するというやり方は確かに役立ちます。こじつけづくしではありますが、決して胡散臭い三流オカルト的こじつけではないし、ソースも著者なりの理屈も記されているので全部真に受けなくとも、少なくともかぐや姫の罪を考察する際の参考にはなります。
なので、この本では古典文学のパターンや各地の神社の縁起物語、神話、昔の日本人の価値観などなどを考え併せて、「順当に考えてかぐや姫の罪とされていたのはこれだろ」と結論づけられる、という感じです。
以下、かなり乱暴なたとえですが。
戦争映画で「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ」と言った若い男性キャラクターがいたとしましょう。で、物語終盤の戦争終了大団円のシーンで何故かそのキャラクターがいないとする。そのキャラクターに何があったのか?
これは俗に言う死亡フラグというやつです。なのでたとえ当該キャラの死亡シーンが明確に描かれていなくても、観客は「死んだのかな」と思うでしょう。それがお決まりのパターンだからです。
さらにこの映画の監督が後のインタビューでインスパイアされた作品に別の戦争映画の作品名を挙げて、そちらには「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ→後に死亡」というシーンがはっきりと描かれていたとしたら。観客はますます「あのシーン、明らかにあの映画意識しているしやっぱり彼は死んだんだろう」と思うことでしょう。
物凄く単純化して乱暴なたとえではありますが、本書において「かぐや姫の罪」はこんな感じの考え方で推測され結論づけられています。