あらすじ
円を掘りに来る街。それがイェンタウンだ。日本人はこの呼び名を嫌い、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを逆にイェンタウンと呼んだ。ヒョウとリンとフニクラは墓荒らしで小金を稼ぎ、グリコは売春で生計を立て、身寄りのないアゲハを引き取った。ある日、客のひとりがアゲハを襲い、隣人のアーロウが客を殺してしまう。すると腹の中からテープが飛び出し、代議士のウラ帳簿が見つかる。飽和状態のイェンタウンで、欲望と希望が渦巻いていった。
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Posted by ブクログ
映画 スワロウテイルを観たのがいつかは定かではないがおそらく30年近く前なのだろうけれど、世界観と音楽とが圧倒的に好きで印象に残りまくった作品で、それから何回か見直したはずだけど、なぜかストーリーをうっすらとしか覚えていない作品です。
改めて小説を読んでみたくなり、記憶を遡りながら読みました。
どうやらキャラクターの設定が何人か違うようではあるが、大筋はそのままの様に思います。
読みながらもどうしても映画の場面を思い浮かべてしまうのですが、架空の円都で描かれる世界観になぜか不思議な懐かしさやノスタルジーを感じるのと同時に、決して幸せとは言い難い環境や時代を見て何故か羨望感を抱き、それぞれのキャラクターがカッコよく美しく虜になってしまいます。
小説だけ先に読んでいたらどう感じたか、もう確かめる術はなく正直感想を書くのもとても難しいですが、間違いないなと思うのは、映画は小説では文字だけでは感じ取りにくい雰囲気や情景を何倍にも表現していた様に思います。でももしかすると映画よりはストーリーはわかりやすいのかもしれません。
キャストのCHARA、三上博史、渡部篤郎、江口洋介、そして小林武史作曲のスワロウテイル・バタフライがただただ印象深く忘れられない作品です。
映画も再度見直したい気持ちはあるが、決してハッピーエンドではなかった記憶があるので若干躊躇いもあります。機会があれば見てみたいです。
Posted by ブクログ
不法入国者たちが集う街、円都(イェンタウン)。
そこに住む人々の営みの中で起こる事故と事件が混ざり合う。希望と絶望が交錯する物語だった。
世界観はすごくおもしろい。荒廃した街が頭の中で想像できるし、どこか某漫画の世紀末感を思い浮かべずにはいられなかった(笑)
個人的には登場人物への考察に苦労した。もう少し詳しく人物を描いてくれれば、色々と深入りできたような気がする。
スワロウテイルズというバンドは物語のほんの一部。ほんの一瞬の光だった。
Posted by ブクログ
映画の企画小説を出版化したやつ。汚い社会だからこその人情。底辺階級だからの可愛らしさ、爽やかさ。
映画より小説のほうが好き。
岩井俊二の作品で一番に有名かもしれんけど、あんま好きじゃない。もっと狭い世界を描くほうが向いてる。イェンタウンはちょっと世界観が大きかった気がする。田舎が舞台のストーリーがちょうどよい。
作品としてはテンポが速くていいですね。読み飽きない。ちょうど良い浅さ。大風呂敷を広げて変になったりしていないのがすごい。こじんまり。
アゲハがきっかけになってる。だから登場する。
アゲハが来なければ、ずっとグリコは町はずれの娼婦だったろう。でも、事件に巻き込まれて、家を出なきゃいけなくなって、そのおかげでプロデビューする。でもそのおかげでみんなバラバラになって、切なくなって…。
最終的にみんなサバサバしてんだよね。そこがいいね。スラムの人間は切り替えが早い。
小市民は小さい規模のまま生活していたほうが幸せなんだ。自分の身の丈に合った生活ってのがある。そういう、日本人らしいほんわか作品なんだよな。結局。舞台はイェンタウンというパラレルワールドな日本で、スラムの不法移民たちだし、もっとでかいことやるのかと思いきや、これだもんな。だから好きになれないのかな。
下町ストーリーを異世界でやりましたってことか。
Posted by ブクログ
円を掘りに来る街。それがイェンタウン。
日本人はこの呼び名を嫌い、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを逆にイェンタウンと呼んだ。
ヒョウとリンとフニクラは墓荒らしで小金を稼ぎ、フニクラの妹、グリコは売春で生計を立てる。
ある日、飲み屋街のあるお店に、母親に置き去りにされた12歳の女の子。
国籍も名前も行き場所もないその少女をグリコは引き取ることになり、アゲハと名付ける。
アゲハは、ヒョウやリン、フニクラに可愛がられ、家族同然の平和な生活を送っていたのだが、ある日、グリコの売春相手であった客のひとりがアゲハを襲い、隣の住人であるアーロウがその客を殺してしまう。
アーロウの死体を始末しようとした時、おなかの中から不可解なテープが飛び出し、そこから多くの事件に巻き込まれることになる。
いくつかの予想しない展開があり、読んでいて楽しかった。
だけど、お墓を掘り起こして死体を埋め隠す場面や、巻き込まれた事件での闘いの場面は、あまり綺麗じゃなかった。