あらすじ
ネットニュース、ブログ、SNS……
情報が溢れる現代において、私たちは日々多くの文章を読んでいます。
一方で、文章を「きちんと読めているか」と問われたらどうでしょうか。
自信を持って「読めている」と答えられる人は少ないのではないかと思います。
本書では、文章を読むというのはどういうことなのか、
1.正確に読む
2.深く読む
3.批判的に読む
の3つの視点から、具体例をもとに考えます。
AI時代にこそ、私たちが文章を読む意味がわかる
「人間による人間のための読解力」を日本語研究者の著者が教えます。
※カバー画像が異なる場合があります。
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Posted by ブクログ
本物の読解力
著:石黒 圭
出版社:SBクリエイティブ
SB新書 725
難しい内容です。
正確に読む
深く読む
批判的に読む
が本書のテーマです。
対象となる文章を構造的に把握した上で、一文一文を解析していくような記号論的アプローチではなく、読み手と書き手の意図を類推しながら進むことなど、GhatGPTにはできない人間的な「生き延びるための読解力」をめざしています。
ハイコンテクストな、日本国民に期待されるのは、以心伝心と、行間を読むである。
なによりも、太古からあいまいで、中間色なニュアンスを大切にする民族であり、その根幹は現代においても変わらない。欧米の二元的な白黒はっきりつけるではなく、やんわりと、おもんばかった表現をとるので、それを読み取るのが、「本物の読解力」では?
また、多言語に翻訳するのに、最低翻訳AIを使えばいいが、そこに入力するコンテクストが不完全であれば、でてくる文章も的外れになってしまう。
「はじめに」に、本書全体の地図があります。各章の後ろにまとめがあって、うれしい、わかりやすい。
また、著者のしおりがはいっていて、「読むことは、考えることです。本書がその一歩になればうれしいです」とあり。気がきいている。
気になったのは、以下です。
・国語の授業では、「読む」「書く」「聞く」「話す」というコミュニケーションの四技能が重視されます。
・母国語さえできれば、外国語が弱くても、機械翻訳や生成AIがカバーしてくれます。しかし、母国語である日本語の読み書きの力が乏しい人は、多言語に変換したくても、基盤となる言語力が乏しいので、情報の理解力も弱体化してしまいます。
・読解力向上に不可欠な力は、語彙力と文法力です。
・「なんとか読める」レベルの理解に必要な語彙カバー率は95%、「十分に読める」レベルの語彙カバー率は、98%というのが定説です。
・未知語の意味を推定する方法は3つ、
①語彙的手がかり(表意、語構成、表音)
②文脈的手がかり(連語、文法、関係)
③内容的手がかり(常識、経験、直観)
です。
・文章理解において誤解を招きやすいのは、多義語です
・助詞 「は」と「が」の使い分け
・文章が長く連なる原理を考える上で、大事な要素は、接続詞である
・意見や感情があらわになった文章を読むと、読み手はそれに共感したり、反発したりする気持ちになる
・感情が前面に出た文章を読む場合、その文章の感情の源泉となる事実がどこにあり、それに対して書き手がどう感じているのかを丁寧に分析しながら読むと書き手の気持ちに寄り添うことができる。
・断りの婉曲的表現
~できません
⇒~しかねます、
⇒~難しいです
⇒~厳しいです
・行間を読めというのは、書かれていることから、書かれていない内容を推測して読めということです
・情報の真贋を見分ける方法
①自分の常識に照らしてみること
②情報源を確認すること
③複数のことなる情報源にあたること
・文章理解とは、ボトムアップと、トップダウンの2つの方法がある
ボトムアップ:言葉という記号の組み合わせを積み上げ式に理解していく方法
トップダウン:読み手がもっている文章の内容や構成についての知識をつかって意味を理解していく方法
・情報過多になっている現代人は、文章を読むというより、見るだけですませてしまいがちです。
・読まないで済む情報は、読んだ振りではなく、あえて読まない勇気が必要です。
・ネガティブ・リテラシーとは、入ってくる情報を無批判にうけいれないように、あいまいな情報をあいまいなままで受け流す情報との適切な距離の取り方のことをいう
結論
よい書き手になるためには、自分の書いた文章を読み手がどう読むかを考え、読み手の理解にあわせて文章をかくことが大切です。反対に、よい読み手となるためには、書き手がなぜ文章をこのように書いたのかを考え、書き手の表現意図にそって文章を読むことが大事です。
目次
はじめに
第1部 正確に読む―絞りこむ
第1章 未知語の意味を絞りこむ
第2章 多義語の意味を絞りこむ
第3章 文の組み立てを絞りこむ
第4章 文の展開を絞りこむ
第2部 深く読む―読みとる
第5章 気持ちを読みとる
第6章 怒りを読みとる
第7章 意図を読みとる
第8章 行間を読みとる
第3部 批判的に読む―距離を取る
第9章 疑って読む
第10章 謙虚に読む
第11章 多角的に読む
第12章 創造的に読む
おわりに
参考文献
引用資料
索引
ISBN:9784815640330
判型:新書
ページ数:280ページ
定価:1000円(本体)
2026年03月15日初版第1刷発行
Posted by ブクログ
▪️評価の理由
仕事の中で大量の情報に触れる中、本質的な課題解決を実践したいと考えていた際に出会った一冊。人生単位で役立つ内容だと感じたため、高く評価した。
▪️筆者の課題感
情報社会においては、大量の情報を迅速に処理する必要があり、浅い理解のまま効率を優先して進めてしまいがちな構造がある。
一方で、情報に振り回されずに生きていくためには、本質を読み解く力が不可欠であり、この重要性自体は従来から変わらない。ただし、情報量が増大した現代においては、その重要性がより一層高まっている。
▪️本書の位置付け
本書は、こうした社会的課題に対して、多様な情報を自分なりに正しく理解するための方法、「正確に・深く・批判的に読む」技術を提示している。
Posted by ブクログ
文書をきちんと読むために大切なこと
①正確に読む
②深く読む
③批判的に読む
守破離と同様に読み方の型を持ち、作者の意図を汲み取る読み方が大切。相手の考えを尊重した上で、自分なりの考え方ができる。
特にAIによって自分に都合の良い文章を大量に目にすると、視野が狭くなる。論理的に考えたり背景にある歴史や考え方を得ることで、一方的な考えに固執しないで、様々な観点から物事を考えることに繋がる。
読解で得たストックがあって、はじめて書く力も生きると改めて実感。
Posted by ブクログ
前半は日本語の読み方とか概念などの知識、後半は文章をどうやって読むか、又はこんな風に読んだら理解できないよといったお話。後半にいくほど面白い。
短歌やエッセイ、有名文学の一節を読んで、これをどう解釈するかという解説が結構出てくるんだけど、これも繰り返しこの一文からこんな想像ができる、ここは読み手の解釈にゆだねられている(いくつか解釈の可能性はあるけど、自分がそうと思ったほうでよい)、といったことを読んでいくうちに、自分もその本を一冊読んでみたいという気持ちになった。芥川龍之介とか、俵万智とか。短歌も、知識なしに読んでもいいのだなあと。
心動かされる文章を読んだ時、自身に創作意欲がわいてくることがある。心揺さぶられる文章に会うたび、その表現方法などを学び自分のものにしていく。感動する文章を出会うことが読解力を高める。最後のほうにこういたことが書かれているんだけど、わたしはここの文章が結構心を動かされる思いだった。心がうごかされた時、自分はまたその作者の書いた世界を通じて自分の世界が広がっていく、みたいな。そうやって人は心に宇宙を持つんだ、みたいな気持ちになった。
あと、文章を全部読まず一部だけ切り取って解釈して批判する事例も紹介は、まさにいまのXやマスコミだなあとも。
Posted by ブクログ
タイトルは仰々しいが、中身はそこまで堅苦しいものではない。たいへんわかりやすく「読むこと」を説明してくれている。文豪たちの作品がなぜ優れているかを理解できていなかったが、この本を読んで、なんとなくわかった気がする。