あらすじ
五社英雄監督、仲代達矢・夏目雅子主演の映画でも名高い宮尾登美子の代表作。大正4年、鬼政こと鬼龍院政五郎は土佐高知の町に「男稼業」の看板を掲げ、相撲や飛行機の興行を打ったり労働争議に介入したりの華やかな活躍を見せる。鬼政をとりまく「男」を売る社会のしがらみ、そして娘・花子、養女・松恵を中心とした女たちの愛憎入り乱れた人生模様を艶冶の筆にのせた傑作長篇。
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んーー。凄い。
映画は何度も見たが、原作は初めて読んだ。途中から自分の知っている「鬼龍院花子の生涯」とは違う話になってゆく。そうか、そういう話だったのか。と、今更ながら知った。すごい作品だ。とても感慨深い。
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人の因果みたいなのを感じる作品だったかな。
鬼龍院花子……夏目雅子さんの役かと思えばそうではなく夏目さんはヤクザ鬼龍院一家に先に貰われた養女という役柄。
その花子の生涯を終いまで見ることになる松恵さんの物語。
任侠らしい任侠が女性の視点で描かれていて面白かった。
Posted by ブクログ
鬼政の養女の松恵の視点から見る物語。
しかしまあ、甘やかされ放題で育った花子と、学費すら出してもらえないヤクザの家の養女という肩書きのせいでの苦労人の松恵の対比はすごい。
生活力のない花子を見捨てなかった松恵もすごいが、ヤクザの家もヤクザっぽくなくなれば、転落します。
栄枯盛衰を全て見た松恵だから語れるそんな気がする。
Posted by ブクログ
花子が生まれて、これだけ松恵の苦しい気持ちを読んだ後で、花子を嫌わずにいられるだろうか?と不安が過ぎった。だが杞憂だった。『鬼龍院花子の生涯』ではあるが終始松恵の目から見た花子であったから。タイトルは花子だけれど、主人公は松恵と言えるだろうから。
鬼政が権力を失っていく段階になるとページをめくる手が止まらない。子分にしても女にしても、意地でも死ぬまで関わりを切らさないのにも関わらず、実際はどんなに寄り添うたところで常に1人で、心から頼れる者もない虚しさ。
他に登場した女たちが心の中ではどう思っていたのかも、少し知りたい気もする。
この本の中で1番義理を通したのは、他ならぬ松恵だった。とにかく松恵が幸せになってくれればいいのだが、それも定かではないのだった。ここまで酷く苦労をしてきたのだから、なんとか報われてほしい。
読者を没入させる筆力のある一冊だった。
Posted by ブクログ
読み進める途中、何度か「花子の生涯」ではなく鬼政、あるいは松恵の生涯に思う。
でも読み終わって思った。
宮尾氏が書いたのは「花子の生涯」ではなく「(松恵が語る)鬼龍院花子の生涯」なんだと。
Posted by ブクログ
良い作品なのだが、何というか松恵が不憫過ぎて。映画の様に啖呵切ってやり返してやる訳でもないし。
もう少しバランスというか、苦労が報われる部分もあって良かったのではと思ってしまう。
Posted by ブクログ
実話だと思い込んでいたが、違うんですね。にしては、花子に触れるページ数少なく、父親の鬼政に大部分のページが割かれ、時系列に沿った構成はノンフィクション本を髣髴される。戦後ヤクザの物語り。
Posted by ブクログ
再読。かれこれ3回目かな。
鬼龍院花子の生涯といいつつも
花子の父 鬼政の物語であり
鬼政の養子 松恵の生涯である。むしろ主人公は松恵と言っても過言ではない。