【感想・ネタバレ】楡家の人びと 第二部のレビュー

あらすじ

関東大震災による建物の消失、圧倒的なカリスマ性を誇った基一郎の突然の死。災いが続き衰退に向かう楡病院に、気位高く君臨する基一郎の長女・龍子、二代目院長を引き継いで病院経営と家庭の不和に悩む夫の徹吉、不幸な結婚で落ちぶれる龍子の妹たち、浮世離れした弟たち。時代は大正から昭和へ変わり、軍国主義の風潮が広がる中で、一族それぞれの運命は大きく分岐し変転する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

基一郎没後の楡家と楡病院、そしてそれを取り巻く社会情勢が描かれる。
第一部ではどこかでたらめな人物に見えた基一郎だが、いなくなってみると、あれほどのカリスマ性と頼りがいを持つ存在はもう現れそうにない。作中では、なんとなく神格化されつつあるようにも感じた。

登場人物は多いものの、物語の軸は婿養子の徹吉に置かれているように思える。読み進めてようやく腑に落ちたが、徹吉は斎藤茂吉であり、その次男にあたる周二が北杜夫なんですよね。
徹吉・周二は楡家の内部にいながらも本来は外から入ってきた存在で、その“内からの視点”と“外からの視点”をあわせ持つ立ち位置が、この作品の独特の冷静に全体を見渡す視点を生み出しているのかな。

冒頭から予感はあったが、第二部は太平洋戦争の開戦によって幕を閉じる。
真珠湾攻撃へ向かう空母に乗り込んだ城木(周二の兄・峻一の友人)の体験談が生々しく、引き返せない一線を越えてしまう瞬間が描き出される。そのほかにも当時の出来事を挟み込む場面が多く、全体として強い臨場感を生んでいると感じた。

ラストの徹吉と周二の会話場面は、急に私小説めいた空気になっていて面白かった。

0
2025年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これはとてつもなくいっちまっている作品ね。
ちなみに実話がどうも元になっているようで
ある本を書いている人は…なのです。


結局この家は欺瞞の塊だったのでしょう。
見せかけの栄華を見ている感じですね。
その裏側には目も当てられない負債があるというのに…

院代の望むとおりにならないところが
没落を示唆していて痛々しかったです。
どんなに良くしようとしていても独り歩きだからね…

0
2023年09月06日

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